【ミャンマー法務ブログ】第12回:ミャンマーの不動産所有権及び賃借権規制の概要

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本稿ではミャンマーの不動産の所有権及び賃借権規制の概要について解説します。

 

1.はじめに

事業を営む上で規模にかかわらず、建物や土地を使用することとなるため、不動産規制はいずれの業種にとっても重要であるが、特に、製造業等のように大規模な土地建物を使用する業種においては十分にミャンマーにおける不動産法制を理解した上で事業を行う必要があります。不動産法制における主要な法律としては、不動産譲渡制限法(The Transfer of Immoveable Property Restriction Act、1987)、登記法(The Registration Act, 1908)、投資法(The Myanmar Investment Law, 2016)、コンドミニアム法(The Condominium Law, 2016)等が存在します。

 

2.不動産の所有権に関する規制

憲法上、国家は、国内のすべての土地の所有者である旨規定されている(憲法37条1項)。したがって、個人または会社に土地の所有権は認められていません。

しかし、国は自由土地保有地(freehold land)、許可地(permit land)、宗教許可地(religious grant land)等の使用を認めています。土地の種類に応じて、期限の定めなく使用が認められていたり、90年、60年等の形で使用権の期限が規定されている土地もあります。しかし、その場合も原則として更新されることとなっています。かかる土地の使用権は、所有権とは異なるものの、賃借権とも異なるため、実務上かかる権利を所有権と称して取引がなされています。

不動産には、土地、建物、その他土地または土地に付着した物から生じる利益が含まれると定義されています(登記法2条6項)。ミャンマーでは、日本と異なり、原則として建物は独立した不動産所有権が認められるものではなく、土地の付着物として扱われ、原則として土地の所有者と建物の所有者は同一とみなされます。例外として、コンドミニアム法上のコンドミニアムについては区分所有権の登記が認められ、かつ、外国人であっても40%を超えない範囲で取得することが認められます。
その上で、外国会社または外国人は売買、贈与、質、交換または譲渡のいずれの方法によっても不動産を取得することはできないと規定されています。

なお、不動産譲渡制限法においては、外国会社はミャンマー国民によって管理もしくは支配されていない会社もしくはパートナーシップ、または過半数の株式もしくは持分がミャンマー国民に保有されていない会社もしくはパートナーシップと定義されています。しかし、実務上は、旧会社法時代は、1株でも株主に外国会社又は外国人が含まれている会社は外国会社として扱われていました。この点について、会社法改正により取扱が変更されるか注目されています。

なお、ミャンマーにおいても日本と同様に土地の種類が規定されており、農地、森林地、空地・休閑地・未開墾地、それら以外の土地が存在し、それら以外の土地上においてのみ商業ビルの建設が認められています。

 

3.不動産の賃貸借に関する規制

不動産の賃貸借に関し、外国人または外国会社に対して1年を超える賃借権は認められない旨規定されています。
例外として、投資法に基づく会社の場合、最大50年の土地賃借が認められ、10年の延長が2回まで認められています。

また、経済特区において事業を行う場合には、経済特区法に基づき、最大50年の賃借が認められ、更に25年の延長が認められます。なお、土地の転貸借、譲渡担保権設定、交換又は譲渡を行う場合、管理委員会の許可を得なければなりません。投資家の義務として、賃借地上の住宅、建物、農場又は農園の移転に必要な費用を支払わなければならず、移転者の生活水準が元の水準より低くならないよう保障しなければなりません。

上記規制の関係上、長期の賃借が必要となる製造業、ホテル業などの事業においては投資法または経済特区法の活用を検討することとなります。

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TNY国際法律事務所 TNYグループ
日本国弁護士:堤雄史
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