【タイ労働法コラム】第1回:タイにおける休日の捉え方

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初めまして。GVA法律事務所・タイオフィス代表の藤江と申します。
タイで事業運営するにあたって、よく「困った……」とご相談頂くのが労務管理です。そこで、タイと日本との違いを踏まえたタイの労務管理について、法律的な側面から概説します。
第1回目の今回は、日本との差が大きいタイの休日についての考え方を取り上げます。

<目次>
タイの休日はどうなっている?
タイでは休日にも賃金が発生する?
Sick Leaveという制度
タイにおける年次有給休暇
最後に

 
 

タイの休日はどうなっている?

タイにおける休日とは、週休日、慣習としての休日、そして年次有給休暇を指します。週休日は、1週間に最低1日は付与しなければならないので、多くの会社は土曜日・日曜日または日曜日のみを週休日に設定しています。

慣習としての休日というのは少し馴染みがない考え方ですが、タイには日本の「祝日法」に相当する法律がなく、5月1日の労働者記念日(メーデー)が法定されているのみとなっています。ただし、法律はないものの、政府の告示によって一般的に祝日とされる日はあるので、これをもとに会社が年間13日以上の祝祭日を休日として自ら設定することになっています。

 
 

タイでは休日にも賃金が発生する?

多くの方が戸惑ってしまう点が、会社は休日についても賃金を支払う義務があると法律上明記されていることです。例えば、従業員に月給を支払っている場合、会社は土日・祝祭日を含む全ての休日について、給与を支払っていることになります。

日本における会社が給与を支払う休暇は、いわゆる有給休暇だけで、だからこそ有給というのはいわば特別な存在です。タイではこれが逆転しており、休日は「有給が原則」であって、給与を支払わない休日というのは例外に位置付けられます。

 
 

Sick Leaveという制度

タイでは、よくSick Leave(病気休暇)が話題に上がります。従業員は、病気を原因として休暇を取得する権利を有していますが、このうち年間30日間は有給扱いとして、会社は給与を払わなければなりません。上で「タイでは有給が原則」と申し上げましたが、ここでもその考え方が現れているように思います。

実務上は、従業員がこのSick Leaveを悪用して休みを取ってしまうという問題がしばしば生じます。後述する年次有給休暇と合わせれば、最低でも年に36日の有給休暇が取れるので、月に3日間は有給で休める計算になります。そのため、従業員によっては「毎週のように休んでいい」と考える者もいるようです。

対策として、Sick Leaveの利用に医師の診断書を要求すれば悪用を防止できるように思われますが、労働法上、従業員は連続して3日間以上休む場合にのみ医師の診断書を出せば良いとされており、医師の診断書がないことを理由としてSick Leaveの取得を認めないことはできません。そのため、皆勤手当を支給するなどで、休まないことに対するインセンティブを付与する制度を多くの企業が利用しています。

 
 

タイにおける年次有給休暇

1年以上勤務した従業員には、6日間以上の有給休暇を与える必要があります。日本とは異なり、勤続年数に応じて付与日数が増加する仕組みにはなっていません。なお、未消化の年次有給休暇は翌年に繰り越すことが可能ですが、必ずしも繰り越しを認める必要はありません。

年次有給休暇の取扱いで注意しなければならないのは、未消化の年次有給休暇の買い取りです。未消化の年次有給休暇に関しては、休日労働したものとみなして、会社は割増賃金を支払う必要があるとされており、判例法理によれば、会社は原則として未消化の年次有給休暇を1年毎に買い取る必要があるとされています。

 
 

最後に

第1回目の今回は、タイの休日についての考え方を取り上げました。日本との差を考えると、少しタイの制度に不安を感じる方もおられるかも知れません。しかし、日本の考え方が常に正解とは限りませんし、異なる考え方と異なるルールに則っていることを理解すれば、タイ人の仕事に対する考え方と上手に付き合うことができると思っています。

 
 
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GVA法律事務所パートナー
タイオフィス代表・日本国弁護士:藤江 大輔
Contact: info@gvathai.com
URL: https://gvalaw.jp/global/3361

日本国弁護士

日本国弁護士

ICONIC

09年京都大学法学部卒業。11年に京都大学法科大学院を修了後、同年司法試験に合格。司法研修後、GVA法律事務所に入所し、15年には教育系スタートアップ企業の執行役員に就任。16年にGVA法律事務所パートナーに就任し、現在は同所タイオフィスの代表を務める。

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