タイの不動産開発進む道は発展か、 衰退か。Vol.3

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前回に引き続き、タイの不動産開発に関する記事をお届けします。

 

インフラ開発の意義

インフラ開発の目的は、人々が安心で安全な生活を送るために、経済の持続的発展、国土と環境の保全、情報通信網の普及など多岐にわたる。インフラの中でも道路網、鉄道、航空、港湾、通信、電力を支える設備などは民間経済の生産工程に必要なサービスや中間財として用いることが多いため、経済インフラと呼ぶ。

経済インフラ整備はフロー効果とストック効果がある。フロー効果とは、インフラ整備事業自体により生産・雇用そして消費などの経済活動が短期的かつ直接的に経済活動の活性化が促される。一方ストック効果は、整備された社会資本が機能することによって、整備後に中長期かつ継続的にその効果が得られる。安全・安心や生活の質の向上などはその一例だ。

 

インフラ開発にかける期待

2019年7月にプラユット首相の続投が決定し、新政権が樹立された。軍政時代から推し進めてきたインフラ開発計画は概ね引き継がれていくことになる予定だ。バンコク都心部ではBTSスクンビットラインの延伸や、バンナー南部のサムロンからバンコク北部のラップラオを繋ぐイエローラインの開発を皮切りに高架鉄道網の建設が急ピッチで進む。19年8月に運転が開始されるブルーラインの最終形態はタイ初の環状型メトロとなり平日の輸送人員数は35万人となる見込みだ。

その他にもマプタプット港とレムチャバン港の港湾拡張、ウタパオ国際空港、スワンナプーム国際空港、ドンムアン国際空港のターミナル拡張など百億バーツを超える大型インフラ開発が続々と計画されている(表2)。また、その主要3空港間を接続する高速鉄道計画は19年5月にタイ最大財閥のCPグループと中国国有企業の中国鉄建を中核とする企業連合が受注した。

世界経済フォーラムの世界競争力ランキングによると、タイのインフラ競争力は60位であり、国の競争力38位と比較すると低評価に甘んじている(表1)。1人当たりGDPが6,500ドルを超え中進国の仲間入りを果たしたタイ政府は、36年までに「高所得国」(世界銀行ではGNI12,746ドル以上)に入ることを目指す。これからタイが中長期的に進めていくインフラ開発は、タイ経済の底上げを図り、着実な成長を遂げるには欠かせない要素である。

インフラ開発の失敗事例

壮大に打ち上げられた開発計画に死角がないわけではない。レムチャバン港入札の不調、タイ版新幹線から日本勢の撤退、そして3空港間高速鉄道の契約遅延など先行き不安な状況も垣間見える。近隣国の大型インフラ開発でも、インドネシアのバタン石炭火力発電事業の大幅開発遅延や、スリランカのコロンボ国際コンテナ港では、大統領を巻き込んだ汚職事件へと発展した。また政権交代とともに、中国主導の鉄道計画の抜本的見直しを図ったマレーシアの例もある。中国との関係性を強化しているタイ政府にとっては他人事とは言えない。

莫大な資金を投下して進めるインフラ開発によって、タイが産業の高度化を実現させ、中心国の罠から抜け出し、先進国入りできるかどうかの重要な岐路に立っている。

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