【連載⑪】タイ人と働く~タイに住んで、食べて、そして働いて~

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今回は通常のビジネスコラムとは違って、たまには小休止といった趣で、タイで起業してからの、タイで住んで、食べて、そして働いていることを通じ、環境の違いなどを私の独断でお届けする雑記にしました。たまには肩の力を抜いて、こういったものを挟んでお届けしようと思っていますので、いつもより気楽にお目通しください。

というわけで、このコラムのコーナーを読まれている方に一番身近で知りたいことはと考えたときに真っ先に思い浮かんだのは、タイで就職あるいは赴任をするにあたって、タイ人と働くってどういうものなのだろう?ということではないかと憶測して選んでみました。

いくら日本でタイ語の勉強をしたところで、それだけでタイ人を理解したことにならないのは言うまでもありません。新しく赴任する駐在員ならまだ前任から聞くこともあるでしょうが、それも自ら直接見聞きしたものではないので、全てが当てはまるわけでもなく、たまたまその会社の事例に過ぎないかもしれません。
そういう意味ではタイ在住7年でたくさんのクライアントさんのケースも実際に直接見聞きしてきたので、これからお話するケースで少しでもタイで働くことのイメージが伝わればと思います。

 

言うほどルーズではないタイ人の社会常識

まず皆さんにお伝えしたいのは、南国だからとか、マイペンライ(なんとかなるさや大丈夫というニュアンス)の国だから、タイ人が画一的に仕事に対しても緩いのかといったら、もちろんそんな事はなく、性格によるということです。ただ、統計的なものがあるわけでもないでしょうが、感覚的にそういった人の割合が多いような気がするということだけです。
なのでちょっとタイのことを書いてあるような話のなかで、時間には遅れるのが普通だとか、交通渋滞が半端ないということについて半分はあたっていても半分はあたっていないかなというのが実感するところです。

確かに朝の就業時間に数分遅れるというのはままある話で、ここは厳しい目で見れば時間に遅れていると言えますが、通常の生活の場面でタイ人の誰かと待ち合わせるときに1時間待ったとかはほぼ聞かず、普通は時間どおりに合流できます。ましてや、今やLineやらFacebookやらのSMSもここタイでも日常のツールなので、交通渋滞や何らかの理由で遅れるときは事前に連絡もくれるので、そういった社会常識的なルーズさというものは思ったほどはないです。

 

職場のタイ人はシャイだけれどプライドが高い?

時間の感覚については上記のとおりですが、さていざ一緒に働くといったときにはどうでしょうか。ここからは特にタイ人らしい部分がたくさんお話できます。

まずそれぞれの職場上の立場が就業中は最重要で、日本人以上に自分を表現しない人が多いと言えます。
そのため上司の言うことに異論があっても、それを飲み込むか無視するかは人によって別れますが、表面上はまず従います。またその場しのぎ的な対応も多いため、その場では分からないことでも分かったつもりになるか、分かったと返事をします。

よくありがちなのが、これやっておいてと頼むと快くわかりましたと返事をするものの、何日経ってもできていないので理由を聞くと、できなかった理由だけは流暢にかえってくるというものです。本当は分からないからできなかったとは小さなプライドが邪魔するのか認めることができないのか、日本人的感覚と違って、まずお詫びからという返事はあまり期待しないほうが良いでしょう。
なのでものを頼むときは、理解しているかどうかの事前の確認と、理解できているとしていつまでに対応や回答してほしいかを必ず明確にしましょう。

 

トップダウンとボトムアップのバランスが難しい

それから、自分の意見を出さないということで、私も経験したことで大した話ではないのですが、困ったことがありました。当社では毎年ポロシャツを制服として支給しています。毎年デザインや色を変えているのですが、はじめは良かれと思ってスタッフに多数決などで意見を集約しようと思ったのですが、これがいつまでも決まらないのです。というより、意見があっても誰も決めたがらないといった体です。

この手の思考はこういうことです。仮にAさんの決めた色が採用されたとしましょう。そして後日本当は別の色が良かったBさんがAさんの同僚や上司の立場だった場合に起こりえるのが、この色はAさんが決めたからと嫌味を言われる可能性が高いということです。そういった心理状況だとどうなるかというと、皆の意見では水色か白色だけど、社長の好きな色で誰も文句言いません…となります。相談した意味ないじゃん!というようにこれは結構タイあるあるです。そして社員旅行の行き先もそうです。誰かに否定されるのを嫌がるので、トップが決めるのが一番丸く収まるのです。

そういうことなのでタイの職場ではトップダウンだと丸く収まったりします。目上や年上の人に対する道徳観は日本よりもあるようですが、悪い言い方だと他人任せ的なところもあり、そういった背景が良くも悪くも混在しています。

 

金銭面のトラブル防止には定期的なチェックが必要

そして職場で遭遇するかもしれないもう一つの困ったことを紹介します。
もちろん全ての職場に当てはまるわけではないものの、発生する確率が多少あるかもというくらいに思って読み進んでください。

それはずばりお金に関する多少のルーズさです。まあ言ってしまえば小口現金をごまかして懐に入れるとか、クライアントや仕入先とのキックバックなどを相手先と共謀して個人的に懐に入れているとかです。
小口現金は当社のお客さんの発覚した発生確率でいうと、50社くらいあるクライアントのうち1~2年に1社くらいのイメージです。これが多いか少ないかは個人的な感覚もあるでしょうが、経理専門家的な目線で言うと会計帳簿を正しく記帳している限りは必ず発覚することなのに、それでも発生してしまうのが不思議といったところです。実際の事例だと、金庫に入れていた現金を抜かれる場合が多いです。小口現金帳簿上はやたらと行き先不明のタクシーの記録が多かったり(通常のタクシーは領収書は発行されないので税務上も記録すれば損金処理可能)、もっと間抜けなのは充当する記録すらなかったりなどもあります。

それとキックバック。法人間で認識しているものであれば問題は少ないですが、仕入担当者が職務上の権限を利用して相手先に圧力をかけて自分のキックバックをのっけるというものがありえます。これは共謀されると結構発覚しづらいです。経理処理上も結局はある程度時間がたってみないと、対前年比での粗利益が下がって同じ商品と取引量で同じ相手先などの前提での比較を経てからでないと見過ごしやすいためです。会社としては内部監査などで相手先に抜き打ちでヒアリングすることなどで防御するのが一番健全かもしれません。ただ、優秀なスタッフだと任せっきりになってしまうものなんですよね…。
 
今回は字数があっという間に埋まってしまいましたのでここまでにしておきます。この手の内容ですが、まだまだ紹介したい事例や他のテーマもありますので今後もビジネスコラムの合間にご紹介できればと思います。

 
 
<本記事に関するお問い合わせはこちら>
Accounting Porter Co., Ltd.
Web:http://aporter.co.th/

タイ在住歴7年・累計100社以上のご相談に対応

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Accounting Porter Co., Ltd.にてManaging Directorを勤めています。弊社は日本からの進出や会計サービス全般をタイ国で提供して6年経つ会計事務所です。代表である私が日本で2社の上場会社のCFO通算6年の経験を活かして親身なサービスを提供できるよう心がけております。 これまで累計100社以上のお客様からご相談いただいた様々な実例もあり、本コラムではそんな実例の中からタイで就業するあるいは就業を想定した方向けに駐在員、現地採用の方を問わずお役に立てる情報をお届けしようと思います。 内容としては身近な給与などの取扱いから、経理処理、はたまたそれらをひっくるめたタイの日系企業で身近に起きたことなど雑感的なところも交えながら、気軽に読めるようなトーンで展開していきますのでどうぞよろしくおねがいします。

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