近年、日系企業の東南アジア進出が加速しています。日系企業にとって、東南アジアは魅力的な市場であり、どの日系企業にとっても事業拡大のために避けては通れない市場という位置づけではないでしょうか。
その中でも今回は東南アジア一の人口を誇るインドネシアのビジネス概況についてご紹介します。
目次
1. インドネシアのビジネス概況
インドネシアは、東南アジアの南部に位置する共和国家であり、大小多数の島から構成され、首都はジャワ島にあるジャカルタとなっています。
人口は、全土で約2億5,800万人、その内約1,000万人が首都ジャカルタに在住しており、これは日本の東京都とほぼ同規模の経済圏です。
経済規模、経済成長率を表す代表的な指標にGDPという概念があります。GDPとは、その国で生み出された付加価値の総和であり、よく新聞やニュースで今年の日本のGDP成長率は○%であったというようなことを耳にしますが、GDPは、その国の経済規模・成長率を表現する際に使われる最も代表的な経済指標の一つです。
以下は、東南アジア各国と日本のGDP成長率のグラフです。
出典:JETRO HPより筆者作成(2014年度 実質GDP成長率)
このグラフから見て分かる通り、人口減少・少子高齢化等の構造的な社会問題を抱える日本のGDP成長率に比して、東南アジア各国のGDP成長率は高く、そのポテンシャルは一目瞭然です。そして、この市場のポテンシャルこそが、日本企業を惹きつける最大の魅力です。
2. インドネシアのビジネス経済圏としての魅力
では、次に、日系企業のインドネシアへの進出状況について見ていきます。
以下は、インドネシア新規進出の日系企業数推移です。
出典:東洋経済「海外進出企業総覧」2015年版「国別にみた現地法人数」(進出年次別)
上表を見て分かる通り、2008年のリーマンショック以降、2011年頃からインドネシアへの新規進出企業数が大幅に増加傾向にあることが見て取れます。
では、近年、なぜこれほどまでに日系企業の東南アジア、とりわけインドネシアへの進出が加速しているのでしょうか。
これには、大きく3つの背景があると考えます。
i. 消費市場
最大の要因はその魅力的な消費市場です。インドネシアは、人口が2億5,000万人を超える世界4位の人口を有しており、未だ、その成長は続いています。
近年、電化製品、スマートフォン、自動車等の生活用品における需要が大幅に拡大しており、そういった点で、日本企業にとっては、日本製品の提供といった大きなビジネスチャンスが存在します。
ii. 労働人口
数多くの日系製造業が、安価な労働力とその製造拠点としてインドネシアを中心とした東南アジアに進出しています。近年では、インドネシア国内の賃金上昇も著しく、カンボジアやフィリピンといった更なる新興国に目を向け始めていますが、労働市場としての魅力は引き続き高いものと思われます。
iii. インフラ面でのチャンス
上述の経済発展に合わせて、インドネシアでは現在急速にインフラの整備が進められています。不動産建設のみならず、道路・地下鉄等の公共工事が急速に進められており、日系企業にとっても日本の先端技術を活かした海外入札への参加が新たなビジネスチャンスとなっています。