インドネシアビジネスの最前線②(2017年版)

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前回の記事では、日系企業がインドネシアのビジネス概況と日系企業の進出状況を解説しました。インドネシア進出において、当局の必要条件を満たした際には各種の投資優遇の恩恵を受けられることも可能です。

本稿では、そのインドネシアの投資優遇制度の概要について解説します。

 


1. インドネシアの投資優遇制度の概観

 
インドネシアにおいては、外国資本を呼び込むために、様々な投資優遇制度が存在します。これは、インドネシア政府が外国企業の投資や誘致を積極的に推し量っていることの表れで、日系企業にとってもこのような投資優遇制度は、インドネシア進出における魅力の一つとして考えられます。
インドネシアの投資優遇制度は、①新投資法における優遇措置(2007年法律第25号)、②特定の地域における優遇措置(2007年法律第44号、大統領令2000年 第20号)の2つに大別され、その中でもさらに業種や業態等によりさらに制度が細分化されています。

 
インドネシアの投資奨励制度の表

 
以下では、上表の中でも代表的な投資奨励制度について解説します。

 

2. 特定の投資に対する法人所得税一時免税(タックスホリデー)

 
パイオニア産業(基礎金属・石油ガス採掘/機械・再生エネルギー/通信情報/農産物・水産物等の業種)に1兆ルピア以上の投資を行う企業に、商業生産の開始より 5 年から 15 年、また特に財務大臣が重要と判断する場合は 20 年にわたり、法人税を減免するという制度です。その減免率は 10%~100%の間で、投資調整庁(BKPM)の定めにより決定されます。

 
 

3. 特定業種・地域への投資に対する法人所得税便宜 (タックスアローワンス)

 
特定の事業分野、特定の地域への投資には法人所得税便宜が供与されるという制度です。
対象分野は、143分野にも上り、地熱発電、織物製造、石油精製、潤滑油精製、基礎無機化学品製造、医薬品原料製造、 テレビ製造・組み立て、トウモロコシ栽培、大豆栽培、米作、 漁業、石炭採掘等が対象とされます。得られるメリットとしては、以下の4つが想定されます。

(1)課税所得の控除:投資額の30%までを年5%ずつ6年間、課税所得から控除
(2)減価償却期間の短縮:耐用年数を通常の2分の1に短縮(減価償却の加速)
(3)外国配当課税率の引き下げ:外国への配当にかかる税率を10%に軽減
(4)欠損金繰り延べ期間の延長:欠損金の繰り延べ期間を一定の条件を満たす場合に最大5年間延長可能

 
 

4. 保税区内の優遇措置

 
保税区に立地する企業は、原材料や資本財などの輸入にかかる関税を免除され、その他の輸入にかかる諸税も徴収されないという制度です。
例えば、具体的には、①物品および材料の加工に必要な資本財、設備、原材料を輸入する場合、関税、付加価値税、奢侈品販売税、および所得税法第22条に定めた課税(前払い法人税)を免除といったことや、②製品を加工するために保税地区外の会社もしくは他の課税地区内の会社に課税対象品を引き渡す場合、付加価値税および奢侈品販売税を免除といったことが想定されます。

 
 


上では、日系企業がインドネシア進出する際に受けられる可能性がある投資恩恵の概要を解説しましたが、どの制度においても実際の申請・適用において当局との密なコミュニケーションや必要書類の十分な準備が不可欠です。

一方で、いずれの制度においても日系企業にとっては節税等のメリットとなる制度ですので、各種制度のメリット・デメリットを事前に十分に把握し、必要に応じて現地に精通した専門化のアドバイスを受けながら、自社の受けられるメリットが最大化される制度を選択すべきと考えられます。
 

とーます

人と人とのつながりから生まれる幸せを大切に

ICONIC

マレーシア大手会計事務所勤務の会計士。会計・税務・M&A・ベンチャー支援・アジア進出支援等、大小さまざまな日系クライアントの経営課題と向き合う。クライアントの課題解決に向けて、クライアントと共に成長していくことを生きがいとする。

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