タイのビジネスビザ(VISA)と就労許可証(ワークパーミット)Vol 2. ~タイの経理現場から~

前回は主にタイでのビジネスビザ(VISA)と就労許可証(通称ワークパーミット、略してWP)についての取得・更新時のポイントとなるような事例をいくつか紹介しました。

今回はより全体のスケジュール的な視点に立ち、手続き全体の流れを追っていきたいと思います。

 

タイでの就業、Non-Immigrant Business VISAの取得

まず皆さんが一般的にタイで就業する時に、取得するVISAの種類は、ほとんどの方がNon-Immigrant Business VISA(通称NonB)と言われているものになります。読んで字のとおり、永住者でない人向けの就労するためのVISAということになります。配偶者がタイ人等の永住者であった場合はO-VISAという家族ビザも取得可能になりますが、ここではマイナーなので説明は省略します。ちなみにこのO-VISAでもNonB同様にタイで就業できることと、会社にとっては取得要件がNonBに比べると低いので受け入れ側としては受け入れやすいVISAになります。そのため面談時に伝えると採用活動には有利に働くかもしれません。

 

タイ国外で90日のNonBを取得

ということで、ここからは一般的なNonB取得における流れを、皆さんが準備する事と、会社側が対応する内容の両面で流れを追ってご案内します。

まず一番最初のアクションですが、タイ国外で90日のNonBを取得する必要があります。タイ国外ということなので日本である必要はありません。例えば既にタイ居住あるいは周辺国にて居住している人についてはわざわざ日本に戻らなくても、その周辺国で問題ありません。ただし、国によって難易度の違いがあります。よくあるのはシンガポールやラオスなどで、いずれにせよ、その国のタイ国大使館にて担当官と多少なりとも英語でやり取りが発生します。もっとも日本でもタイ国大使館・領事館などになるので書類をはじめ原則英語でのやりとりになります。

当社取り扱い国の事例としては、マレーシアのペナン島というのもありましたが、同じASEANのブルネイについては、日本人がタイ大使館でNonBを申請すること自体が難しいようです(2019年6月時点調べ)。

 

事前にタイ大使館へのWeb予約から

そうは言っても、一番事例が多く馴染みがあるのはやはり日本となるでしょう。なのでこの先は日本で取得する場合(在京タイ大使館)を想定して流れを追っていきましょう。

まず最初に入社先の会社からガイダンスがあるとは思いますが、入社日前後で上述のとおりNonBを他国で取得するために東京に向かう必要があります。既に日本国内から来る人はそのまま東京で申請手続きをします。最初の壁としてタイ大使館の申請予約が必要ということです。しかもWebでしか予約受付していない上に、予約が混雑していることが多く、通常は向こう1週間埋まっていることが多いです。予約は早めにとりましょう。日本行きの航空券だけを先にとってしまって、滞在中に予約を入れられないなどと、後悔しかねませんので注意が必要です。

予約と前後して、大使館のHPより必要な申請書を予めダウンロードしたものに必要事項を記入し、入社先が発行してくれているはずの現地法人の招聘状を携行して申請となります。申請書の記載方法はある程度HP上に見本もありますし、入社先の会社が日系企業であれば、不明点は事前に聞いても良いでしょう。場合によって、入社先の日系企業の本社採用で赴任するということなら、日本で申請代行業者が申請自体の面倒をみてくれるかもしれません。ただ、多くの場合は申請者による自力での対応が最初は必要です。タイ現地でVISA取得をサポートする会社に外注していたとしても、タイ国外でのサポートはサービス対象外であることが多く、せいぜい助言にとどまるので自力で対応する必要があります。

このあたり実は会社によっては初めての海外進出などで不慣れな場合もあります。前回コラムでも伝えたとおり、VISA対応に慣れたスタッフがいるか、外部専門会社を使っているかは聞いておいたほうが良いかもしれません。

 

タイVISA申請時の注意点

ここでさらに申請時の注意点を加えておきます。申請したその日は受付だけということが多く、翌営業日以降で実際の90日VISAが取得できることになります。また申請時にタイ入国日を決めたうえで航空券も予約済であることを求められますので日程もそれを加味しないといけません。

晴れて90日VISAを取得できたら、その前後でもうひとつやっておきたいことがあります。忘れてはいけないWPの申請に必要な書類の取得です。日本でしか取れないものとして、英文卒業証明書の取得があげられます。90日VISAでタイ入国後、早々とWPの取得申請をするために必要です。これは日本でしか取れないことと、学校によっては郵送などで対応してくれるところもあるようですが、それなりに時間もかかることから早めに準備しておいたほうが良いでしょう。

そしてようやくこの90日VISAが押印されたパスポートを持ってタイに入国するわけですが、ここでも注意点があります。入国カードの表裏とも入国目的をBusinessにしたうえで、入国審査を通った後、すぐに入国スタンプがVISAの期限までの日付で記載されているか確認しましょう。間違ってビザなしの30日までの期限でスタンプ欄に記載されていたら、その場で戻って係官に修正してもらってください。その場で対応できなかった場合は入国管理局に出向いての1日がかりの修正となりますので油断できません。

 

タイWPの取得手続き

無事に入国を果たした後は、早速入社先の会社にパスポートを預けるなど指示に従ってください。そこからは会社の担当者か会社から委託を受けた外部受託先が対応します。

この90日VISAなるものは名前のとおり90日までしか有効でないので、これを通常は1年のものとして更新する手続きがこの先の申請内容となります。それを終えたら無事全ての手続きが完了します。

早速、この更新に入りたいところですが、その前にやることがあります。そうです、WPの取得です。WPはVISA更新手続きに必要になりますし、そもそも法律上、外国人がタイで働くときに必要な就労許可証としてVISAの管理当局とはまた違う労働省で発行するものとして必ず携行する必要があるものです。

このWP取得は、90日NonB-VISAで入ってきたら、すぐに申請が可能で、これを申請しないとそもそも就業できないものなので会社側も待ったなしで対応してくれるはずです。WPの場合は半年から2年の期限のものまであり、通常は1年で取得できますが、立ち上げ時で売上がない場合などは最近は厳しく半年のみの事例も最近は多いです。

 

タイWP取得申請に必要な書類

WP取得申請に必要で本人の準備が必要なものとしては、英文卒業証明書と健康診断書、証明写真です。卒業証明書は既出のとおり日本で取得済みとして、健康診断書と証明写真は準備が必要となります。証明写真は場合によっては、会社委託の代行会社が一緒に準備してくることもありますが、健康診断書は当然自身で準備する必要があります。

健康診断書といっても証明内容として梅毒など通常の生活慣習上ほぼ起こりえない内容のものになるので、クリニックの医師の簡単な問診だけで済むことがほとんどです。最近はバンコク都内でも日本人のWP取得健康診断パッケージも多くなってきており、その場で診断書も発行されて、格安の1,000円くらいで取得できるところも出てきました。ちなみにこれらの内容が医師の責任のもと証明できれば採血すら不要なので、受付してから最短15分後に診断書が発行されたりもします。

上記の必要書類を会社側に提出し、しばらくするとWPが発行されます。まれに前回のコラムで少しご案内したような、会社側の認識不足などで、取得に時間を要する不幸なケースも時々あります。それは主に、タイ人スタッフの必要人数の不足などですが、そういったことがないように、入社前に前回コラムの最後のチェックポイント事項をさりげなく会社側に確認しておいたほうが良いでしょう。

ということで、上記WPの取得が完了すると、ようやくVISA更新の手続きになりますが、この続きはまた次回にじっくりご案内します。

<本記事に関するお問い合わせはこちら>
Accounting Porter Co., Ltd.
Web:http://aporter.co.th/

タイ在住歴8年・累計100社以上のご相談に対応

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Accounting Porter Co., Ltd.にてManaging Directorを勤めています。弊社は日本からの進出や会計サービス全般をタイ国で提供して6年経つ会計事務所です。代表である私が日本で2社の上場会社のCFO通算6年の経験を活かして親身なサービスを提供できるよう心がけております。 これまで累計100社以上のお客様からご相談いただいた様々な実例もあり、本コラムではそんな実例の中からタイで就業するあるいは就業を想定した方向けに駐在員、現地採用の方を問わずお役に立てる情報をお届けしようと思います。 内容としては身近な給与などの取扱いから、経理処理、はたまたそれらをひっくるめたタイの日系企業で身近に起きたことなど雑感的なところも交えながら、気軽に読めるようなトーンで展開していきますのでどうぞよろしくおねがいします。

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