フィリピン最古の教会!世界遺産「サン・アグスティン教会」

フィリピン観光の見どころとして外せないのが、スペイン統治時代に建てられたカトリック教会。

フィリピンは、アジアで唯一のカトリック教国ということをご存知ですか?スペイン統治時代だった16世紀に建てられた歴史ある教会がいくつも残っているんです。フィリピンに訪れたら、絶対に一つは有名な教会を見ておくべき!

数ある教会の中で一番のオススメは、バロック様式の教会、サン・アグスティン教会(San Agustin Church)。
(「サン・アグスチン教会」や「セント・オーガスティン教会」とも呼ばれています。)
サン・アグスティン教会は、観光地として有名な、マニラ旧市街・イントラムロス(Intramuros)の中にあります。石造りの教会としてはフィリピン最古の教会で、ユネスコ世界遺産にも登録されています。

今回は、そんなサン・アグスティン教会をご紹介します。

 

二度も崩壊している世界遺産、サン・アグスティン教会

サン・アグスティン教会の正面
 

フィリピンがスペインの統治下にあった16世紀、スペイン人の主な使命はフィリピンでカトリックの布教を行うこと。カトリックを広めるために、フィリピン各地にカトリックの教会が次々と建設されていきました。その一つが、サン・アグスティン教会です。

現在のサン・アグスティン教会は、実は三度目に建てられたもの。これまでに二度破壊され、その都度建て直されているのです。

一度目に建設されたのは、1571年。二パ(フィリピンに生息するヤシの木)と竹を用いて建設されましたが、1574年に中国の海賊がマニラに侵攻した時、炎で焼かれ崩壊してしまいます。
その後、二度目の建設では木材を使用して建てられます。しかし1583年、ろうそくから点火した炎によって、また崩壊してしまいます。

サン・アグスティン教会の修道士たちは、同じ過ちを繰り返さないようにと、三度目の建設では石を使う決断をします。1586年に着工し、1607年に完成。これ以降、16世紀・17世紀に起こった大きな地震にも耐え、現在まで残っているのです。

 

フィリピンの歴史を見てきたサン・アグスティン教会

▼2017年現在のサン・アグスティン教会。左側の塔の上部が取り除かれています。

2017年のサン・アグスティン教会

サン・アグスティン教会は、三度目の建設から現在まで、フィリピンの歴史的な出来事をたくさん見てきました。

1880年にマニラで大地震が発生。教会の東鐘塔に大きな亀裂が入ってしまいます。亀裂は修復されたものの、鐘の部分は取り除かれました。現在と昔の姿を比べると、左側の塔の上部がなくなっているのがお分かりいただけるでしょうか。

 
▼東鐘塔に亀裂の入ったサン・アグスティン教会

東鐘塔に亀裂の入ったサン・アグスティン教会

参照:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:San_Agustin_Church,_Manila_after_the_1880_earthquake.jpg

また、第二次世界大戦時は、サン・アグスティン教会も戦火の影響を免れることはできませんでした。
戦争によって、イントラムロスの街は崩壊。イントラムロス内にあった7つの教会のうち、残っているのはサン・アグスティン教会だけと言われています。(ただ、教会に隣接していた修道院は崩壊してしまいました。)

1976年、サン・アグスティン教会は国家の独立に貢献したとして、フィリピン政府によって「National Historical Landmark(歴史ランドマーク)」に認定されました。これは歴史的意義のある遺跡や建造物に贈られる、とても名誉あるものです。

 

教会に隣接する、サン・アグスティン博物館

▼サン・アグスティン博物館の入口

サン・アグスティン博物館の入口
 
サン・アグスティン博物館の中

 
第二次世界大戦時に崩壊した修道院は、現在、サン・アグスティン博物館(San Agustin Museum)となっています。
館内には、キリスト教美術が多く展示されています。

博物館の中に入ると、まず目に入るのは広く巨大な廊下。壁には聖アウグスティヌスの僧、聖人、殉教者が描かれた、高さ2メートルを超える肖像画が飾られていて、その迫力に圧倒されます。

博物館からサン・アグスティン教会の聖歌隊席にも入ることができて、堂内のインテリアを見渡すことができます。見どころは、バロック調の巨大なパイプオルガン。このオルガンは何百年も前に作られたものだそうです。

 
▼サン・アグスティン博物館のパイプオルガン

サン・アグスティンのパイプオルガン

参照:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:SanAgustinMuseumjf4757_03.JPG

その他、木彫りのスタチューやさまざまな美術品が展示されているので、時間をかけてゆっくり見学するのがおすすめです!

 

サン・アグスティン教会での結婚式は、フィリピン人のあこがれ

▼サン・アグスティン教会の内部。結婚式の真っ最中です。

サン・アグスティン教会での結婚式

わたしは何度もサン・アグスティン教会を訪れていますが、実は「結婚式のため入場禁止」となることが多々あります。今回訪れた時も、ちょうど結婚式の真っ最中!
残念ながら結婚式の間は、中には入れてもらえませんでした・・・。

サン・アグスティン教会で結婚式を挙げることは、多くのフィリピン人女性のあこがれなのです。
結婚式を挙げるには、新郎・新婦どちらもフィリピン人で、かつどちらもカトリック教徒でなければなりません。一方が外国人、またはカトリック教徒でない場合も利用可能だそうですが、追加のドキュメント提出が求められるそう。

 
ちなみにサン・アグスティン教会で結婚式を挙げるには、ウェディングマス(※1)、セレモニー、ドキュメンテーション(※2)など含め、33,500ペソ(73,700円)ほどかかるようです。

※1 ウェディングマス
→ローマ・カトリック教会における、結婚式そのものを指す言葉です。一般的には、新郎が教会前方にある説教壇台の前に立ち、新婦が教会の中に入ってくるところから、指輪交換をして、神父が終了の合図をするまでが「ウェディングマス」となります。

※2 ドキュメンテーション
→地方自治体に提出する結婚証明書(Marriage Certificate)の作成を指します。ローマ・カトリック教会の結婚式では、ゴッドマザー(God mother)とゴッドファーザー(God father)がいて、神父と新郎新婦の目の前で、結婚証明書に署名をします。
(ゴッドマザーとゴッドファーザーは、一生を通じて新郎新婦に結婚生活のアドバイスをしていく人です。新郎新婦によって選ばれます。)

 
サン・アグスティン教会、いかがでしたか?
外見の重厚感もさることながら、内部は約440年の歴史をじんわりと感じさせてくれる教会です。
フィリピン旅行の際には、ぜひ訪れてみてくださいね。


サン・アグスティン教会(San Agustin Church)
サン・アグスティン博物館(San Agustin Museum)

【料金】
サン・アグスティン教会 :無料
サン・アグスティン博物館:大人 100ペソ/シニア 80ペソ/大学生 50ペソ/高校生 45ペソ/4歳~12歳 40ペソ

【時間】
サン・アグスティン教会 :月曜~土曜 8:00-12:00・13:00-17:00/日曜 8:00-12:00
※結婚式とマスの間、観光客は入場禁止
サン・アグスティン・博物館: 8:00-12:00/13:00-18:00

【住所】
General Luna St, Corner Real St. Intramuros, Manila, Metro Manila

好きな食べ物はタコス

好きな食べ物はタコス

カジコ(外部ライター)

カジコと申します。フィリピン人の楽観的でなまけものなところに惹かれ、フィリピンのマニラに住みはじめました。いまは愛しい彼氏と、のんびりマニラの生活を楽しんでいます。好きな食べ物はメキシコ料理のタコスです。

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