ベトナムでは鉄道が日本ほど発達しておらず、路線バスも旅行者にとってはややハードルの高い乗り物です。
そんなベトナムでの移動に必須なのが、配車サービス「Grab(グラブ)」。
ただし、配車サービス自体に馴染みがなく「事前にGrabの使い方や注意点を知っておかないと不安......」。という方も少なくありません。
そこで今回は、Grabの基本的な使い方から、メリットやデメリット、さらには利用時の注意点などについて詳しく解説いたします。
この記事をお読みいただくことで、Grabについての理解が深まり、ベトナムへ来た際に安心してGrabを使えるようになるはずです。記事の後半ではGrabをお得に利用する方法も紹介してますので、ぜひ最後までご覧ください!
※記事内の情報及びレートは2024年6月時点のものです(1円 = 0.006VNDで計算)。
Grabとは?
Grabを一言で説明すると、東南アジア各国で安価に利用できる配車サービスです。
都市部であれば、基本的にどの場所でも自由にタクシーを呼ぶことができ、初乗り料金は150円前後と日本でタクシーを利用する際の1/5程度の価格。
また、タクシーといえば車のイメージが強いかと思いますが、バイクや(国によっては)トゥクトゥクを配車することもでき、日本にはない新鮮な体験を得ることができます。
Grabを利用できる場所
Grabの公式Webサイトによると、ベトナム国内にある56の省・市で利用できるようです。
(参照元:Grab公式Webサイト)
様々な地名が並んでいますが、基本的に、観光客が訪れる全ての場所で利用できると言っても過言ではないでしょう。
またベトナム国外では、カンボジア、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイでもGrabを利用することができます。
<参考データ>
Grab:https://www.grab.com/vn/en/locations/
Grabの料金
Grabの利用料金は、利用場所や時間帯、さらには配車する乗り物に応じて変化します。
一例として、ホーチミン市内で日中に利用する場合の配車料金を東京都内でのタクシー料金と比較してみました。
初乗り(1kmに換算) | 初乗り以降1kmあたり | |
東京都内のタクシー(車) | 460円 | 390円 |
Grab:4人乗りの車 | 約90円 | 約60円 |
Grab:7人乗りの車 | 約100円 | 約80円 |
Grab:バイク | 約35円 | 約26円 |
あまりの安さに心配になる方もいるかもしれませんが、物価の安いベトナムでは比較的妥当な価格設定ですのでご安心ください。
また、Grabの初乗りは2kmなので(日本は約1.1km)、実際は上記の2倍の料金が初乗り価格として表示されます。
<参考データ>
・Grab:https://www.grab.com/vn/en/blog/driver/bike/thongtindichvu-2023/
・全国ハイヤー・タクシー連合会:http://www.taxi-japan.or.jp/content/?p=article&c=125&a=11
Grabのメリット
1. どこでも、いつでも呼べる
日本でも配車サービスが浸透しつつありますが、タクシーについて、
- タクシー乗り場や大通り沿いで探さないといけない
- 深夜などはタクシーがつかまりにくい
といった印象を持つ方が多いのではないでしょうか。
しかしGrabであれば、大通りから外れた場所でも呼べますし、タクシーが来るまで涼しい屋内で待つこともできます。
また、筆者(ベトナム在住歴1年)の経験上、都市部であれば24時間いつでも、すぐにタクシーを見つけることが可能です。
実際、午前1時頃まで食べ飲みした際や、早朝の飛行機に乗るため朝3時にホテルを出発した際でも、すぐにその場でタクシーが見つかり、数分で乗車することができました。
2. アプリ上で目的地を設定できるので口頭での説明が不要
海外でタクシーに乗る際「ドライバーに目的地を正確に伝えられるか心配......。」という方も多いのではないでしょうか?
Grabでは事前に目的地を設定してからドライバーを探すため、乗車時には既にドライバーが目的地を理解している状態になっています。
また、観光地や商業施設であれば、目的地の名前を日本語で入力しても正しく表示されることが多く、検索機能の性能がとても高いのも特徴です。
3. 料金は前払い制なのでぼったくられる心配がない
海外のタクシーを利用する際、特に気をつけたいのが「ぼったくり」。
その国に訪れたばかりで、物価の相場や通貨の価値がわからない状態でタクシーを利用すると、料金をかさ増しされたり、お釣りをごまかされたりしても中々気付けないものです。
しかし、Grabであれば目的地を設定した時点で、目的地までの距離と利用する乗り物の種類に応じた料金が表示されます。
クレジット決済の場合は自動で料金が引き落とされますし、現金払いを選択した場合でもお金を事前に準備できるので、ぼったくりの被害にあうリスクは格段に小さいと言えるでしょう。
4. 周辺の東南アジア各国でも1つのアプリで完結
旅行でベトナムに訪れる方の中には、ついでにマレーシアやタイといった周辺の国を合わせて行かれる方も多いのではないでしょうか。
ただ、サービスの内容は変わらなくても、利用する国や地域が変わると現地のアプリやサイトを別途利用しなければならない場合が多々あります。
しかしGrabの場合は、ダウンロード済みのGrabアプリ1つで他の国でもサービスを利用できるため、アプリを再度ダウンロードして情報を登録する手間がかかりません。
5. 待ち時間のイライラを軽減してくれる機能
多くの配車サービスには、迎えに来るタクシーの現在位置をアプリの地図上で確認できる機能が備わっています。
しかし、「なかなかタクシーが近づいてこない」「進みが遅すぎて停車しているように見える」といった理由から、待ち時間にイライラしてしまう方も少なくありません。(恥ずかしながら、筆者もそのうちの一人でした。)
しかしGrabでは、迎えに来るタクシーの現在地を地図上で確認できるだけでなく、道中の混雑状況や信号待ちをしている状況なども地図に表示されるため、前述したようなイライラが大幅に軽減されます。
Grabのデメリット
1. ドライバーから電話やメッセージがくる
Grabアプリ内には、ドライバーと直接メッセージや電話でやり取りできる機能があります。
そのため、ドライバーとのマッチングが完了した際に、ドライバーから自動応答のメッセージが届くことや、タクシーが所定の場所に到着して2〜3分経ってもドライバーが利用者を見つけらないと、電話がかかってくることもあります。ただ、基本的には、メッセージに返信をしたり、無理して電話に応答したりする必要はありません。
しかし、指定した乗車場所まで行くのに時間がかかるなど、ドライバーに伝えるべきことがある際は、Google翻訳などを利用してドライバーにメッセージを送ることをオススメします。
2. 基本は英語が通じない
観光地の周辺であれば英語が通じる場合も比較的多いですが、ベトナムのほとんどのタクシードライバーは基本的に英語が通じません。
そのため、ドライバーとのやり取りはベトナム語で行う必要がありますが、Grabを利用する場合は、目的地の設定や料金の確定といった大半のことがアプリ内で完結するため、ドライバーとやり取りをすること自体が非常に少ないです。
ただし中には、乗車時に、スマホの予約画面を見せながら名前の確認をしてくれるドライバーもいるため、自身の名前が表示されていることを確認できたら、「Yes」や「OK」などの簡単な返答をしましょう。
Grabアプリのダウンロード〜基本的な設定
1. Grabアプリのダウンロード
Google PlayまたはApp Storeで「Grab」と検索すると、トップに表示されます。
ただし、検索結果でGrabアプリのすぐ下に、ドライバー向けの「Grab Driver: App for Partners」が表示されることがあるので、こちらを間違えてダウンロードしないように気をつけてください。
2. Grabアカウントの作成
ダウンロードが完了したら、次は「新規登録」からGrabアカウントの作成を行います。
電話番号を入力し、SMSに届いたコードで認証を行うため、その場でSMSを受信できる環境が必要です。
ただし、電波が入るエリア内であれば海外でも日本の電話番号に紐づくSMSを受信できる場合があるため、使用しているキャリアが国際SMSに対応しているかどうか、事前に確認しておきましょう。
3. ユーザー名の登録
最後にユーザー名を登録します。
基本的にはフルネームで問題ありませんが、ユーザー名は配車したタクシーのドライバーにも表示されるため、心配でしたらニックネームや覚えやすい名前で登録しましょう。
Grabアプリにクレジットカードを登録
Grabタクシーの利用時にクレジットカード決済を行いたい方は、アプリ内の「アカウント >> お支払い方法」から登録します。
「Add methods」にある「Card」を選択し、カード番号・有効期限・Pinを入力して認証を行なってください。
なお、Grabの公式Webサイトによると、登録可能なクレジットカードの主な国際ブランドにはVISA・Mastercard・JCBなどがありますが、American Express・Diners Clubは対象外となっています。
もし何らかのトラブルで、クレジットカードが上手く登録できなかった場合でも、Grabタクシーの配車時に現金払いを選択することができますので、ご安心ください。
<参考データ>
Grab:https://www.grab.com/vn/pay/
Grabでタクシーを呼ぶ方法
1. 目的地の指定
ホーム画面にある、バイク(Xe máy)または車(Ô tô)のアイコンをタップしてください。
次に、以下のいずれかの方法で目的地を設定します。
① 住所をコピーして検索バーに貼り付け
② お店や建物の名前を検索バーに入力
③ 右上の「地図」から地図上で目的地を直接指定
2. 乗車場所の指定
目的地の設定が完了したら、乗車場所を指定する画面に移ります。
自身の現在地を示す青い点と共に、水色のピンが表示されますので、周囲で乗車可能な場所にピンを移動させてください。
この際、観光地や商業施設の周辺では、特定の場所でしか乗車できないケースが多いため、指定した場所と現在地との距離を確認した上で「Choose This Pickup」をタップしてください。
3. 乗り物の指定・マッチング
「Choose This Pickup」をタップすると、目的までの道順・利用する乗り物・料金が表示されます。(参考までに、10.000₫ = 約60円です。)
車であれば4人乗り・7人乗りを指定することもできますので、利用したい乗り物・料金を選択して、右下の「を予約する」をタップしてください。
すると、ドライバーとのマッチングが開始し、右の画像のようにドライバーのアイコン及びナンバープレートの情報が表示されたら、マッチング成功です。
都市部であれば1分程度でマッチングすることができますが、もし時間がかかるようであれば、前の画面に戻って、再度マッチングを実行してみてください。
4. ドライバーと合流
街中には数多くのGrabタクシーが行き交っているため、ドライバーが到着したら必ずアプリに表示されているナンバープレートと一致しているか確認してください。
また、ドライバーが見当たらない時は、道を挟んで向かい側に停車していることが多々あるため、周囲を見渡して確認してみましょう。
到着したタクシーが配車したものであることが確認できたら、乗車して目的地に到着するのを待つだけとなります。
なお、クレジットーカード決済の場合は自動でお金が引き落とされるため、目的地に到着したらそのまま下車して大丈夫です。
【実体験】Grab利用時の注意点
1. 流しのGrabタクシーには要注意
「Grabはぼったくられる心配がない」と前述しましたが、それはあくまでもGrabアプリでタクシーを配車する場合に限ります。
というのも、空港や観光地を始め、アプリでの予約を介さない流しのGrabタクシーも街中には多く存在し、これらは相場よりも高い値段を請求される確率が非常に高いです。
ただし、流しのタクシーの中には、ぼったくられる確率が低く安心して利用できるものもありますので、詳しくは以下のブログをご覧ください。
2. 高速道路を使用・乗車後に目的地を変更する場合は追加料金が発生
Grabアプリでタクシーを配車する場合、予約時に料金を確認できることは前述の通りですが、高速道路を利用する場合や、乗車後に目的地を変更する場合は別途で料金が発生します。
ただ、ベトナムの高速道路を30分利用する程度でしたら、200円程度の追加料金で済みますのでそれほど心配する必要はありません。
また、乗車後に目的地を変更する際には、差額に加えて変更手数料が別途かかりますが、Grabの公式Webサイトによると、バイクタクシーの場合は5,000VND(30円)、車の場合は15,000VND(90円)程度で済むため、やむを得ない場合はためらわず目的地を変更しましょう。
<参考データ>
Grab:https://help.grab.com/passenger/en-vn/360001999827
3. 郊外へ行く場合は取り残される可能性がある
ベトナムに中・長期で滞在される方の中には「折角だから郊外や田舎にも足を運んでみたい」という方も少なくありません。
都心部から田舎へ行く時には問題なくGrabを利用して移動できますが、田舎から戻る時に、ドライバーが見つからず取り残されてしまう、といった可能性があります。
実際、私がホイアン(ベトナム中部の都市)から約50km離れた田舎を訪れた際は、Grabのドライバーが一切見つからず、Google翻訳を利用して現地の人に車を出してもらう事態になりました。
そのため、Grabを利用して郊外や田舎へ行く際には、ドライバーに待っていてもらうか、ZaloやFacebook等の連絡先を交換して、いつでもドライバーを呼べる状態にしておくことをオススメします。
4. Grabバイクの乗車時は気を抜かないように
Grabの魅力の1つでもあるバイクタクシーについて、イメージが沸かない方も多いかと思いますが、基本的にはバイクの2人乗りに他なりません。
「タクシーなら快適な乗り心地だろう」と思われるかもしれませんが、日本よりも格段に交通量が多いベトナムでは、タクシーであっても急発進・急ブレーキは日常茶飯事。
よそ見をしていてバイクから落ちそうになったことは何度もありますし、乗っていたバイクタクシーが他のバイクと衝突して横転しそうになった経験もあります。
そのため、注意しすぎる必要はありませんが、Grabでバイクタクシーを利用する際は、乗車時に気を抜かないようにしましょう。
【おまけ】Grabをお得に利用できるサブスク
日本のタクシーと比べて破格のGrabタクシーですが、さらに安く、お得に利用できるサブスクが充実しています。
現在(2024年6月)利用できるサブスクの中でも特に魅力的なのは、月額30,000VND(180円)で、
- 車の配車時に25%割引(1回あたり50,000VNDまで・月99回まで利用可)
- バイクの配車時に15%割引(1回あたり30,000VNDまで・月99回まで利用可)
というもので、Grabタクシーを数回利用するだけで元を取ることができます。
この他にも、バイクタクシーをよく利用する人向けのプラン(月額1,000VND (6円))など、個々の利用スタイルに合わせたサブスクが提供されています。
詳しく確認したい方は、アプリ内で「アカウント >> サブスクリプション >> Browse」をご覧ください。(サブスクに関する説明はベトナム語で書かれていますので、スクショを取ってGoogle翻訳を利用するのがオススメです。)
まとめ
ベトナムでの移動に必須のGrabについて解説しましたが、いかがでしたか?
ベトナムへ行く予定のある方で、まだGrabアプリをダウンロードしていない方がいましたら、この機会にぜひダウンロード及びアカウント登録してみてください。
Grabには今回紹介したこと以外にも、便利な機能や利用するメリットがたくさんあります。
ベトナムを訪れる際はぜひ、Grabを利用して快適な移動を楽しみながら、充実した日々をお過ごしください!