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テトを前に、今年の昇給や賞与をどう考えるべきか。そして、その判断の前提となる「考え方」は整理できているでしょうか。
本日より、全4回の特別連載【テト前講座|昇給・賞与の考え方】を毎週木曜日にお届けします。本連載では、現地法人経営者や人事部門の方々から、この時期によくいただく「今年の昇給や賞与の市場動向は?」「賞与や昇給原資の決め方は?」などの論点を中心に、テト前に整理・復習しておきたい昇給・賞与の考え方を取り上げていきます。
第1回目となる今回は、その前提として、ICONICが1月6日に発刊した最新版「2026年版ベトナム昇給・賞与レポート(詳細版)」をもとに、2026年に向けたベトナム市場の昇給・賞与を取り巻く潮流の中から、今年ならではの特徴をいくつかピックアップしてご紹介します。
地域×業態で、昇給と賞与の組み合わせ方に違いあり
今回の調査結果からまず見えてくるのは、昇給と賞与をどう組み合わせるかという考え方が、地域や業態によって異なっている点です。
たとえば北部地域では、製造業と非製造業で対照的な動きが見られました。
- 北部の製造業では、2025年度よりも昇給率を引き上げる一方で、賞与はやや抑制する方針を取る企業が主流となっています。
- 同じ北部でも非製造業では、昇給を抑え、その分を賞与で補填しようとする方針が多く見られます。
次に、南部地域では、全体として昇給・賞与ともに2025年度実績より抑制する方針が主流ですが、ドンナイ省やロンアン省の製造業では、例外的に前年より高い昇給率を設定する企業が比較的多く見られました。
また、中部地域(特にダナン市)では、
- 非製造業では、昇給・賞与ともに前年より上昇させる方針
- 製造業では、直接労働者に限定して前年より高い昇給を行う方針
といった動きが見られ、地域×業態の特性条件によって、異なる判断が行われていることがうかがえます。こうした動きの背景には、限られた昇給原資の中で、どこに優先的に原資を配分すべきかを選別せざるを得ない状況(例:人件費予算に限りがある中で、周辺の人材競合環境が激化するなど)があると考えられます。
業界別に見た主な昇給・賞与動向の特徴
業界別に見ると、 昇給・賞与ともに前年対比で上昇傾向を示している業界としては、
- 自動車業界
- 化学・プラスチック・ゴム業界
- 縫製・履物業界
が挙げられます。細かな職位差はあるものの、総じて昇給・賞与ともに昨年対比で上昇傾向にあります。
一方で、昇給・賞与ともに前年水準より抑制する方針を示している業界としては、
- 物流業界
- 金属・金型・機械加工業界
が該当します。ただし、物流業界については、2025年度の実績が例年に比べて高水準であったことから、平年並みの水準に戻すという意味合いが強いものと考えられます。
また、昇給を抑えつつ、賞与で一定程度補填する方針を取る業界も見られます。
- CADセンター業界
- IT業界
- 消費財業界(特に非製造部門)
などがこれに該当し、基本給の引き上げには慎重である一方、単年度で洗い替えられる賞与を通じてトータルでの報酬還元額を維持しようとする姿勢が、数字の動きに表れています。
また今回の結果からは、好業績者への処遇を過度に引き上げるというよりも、組織全体のベースラインとなる給与水準を底上げする必要性が高まっていることを示唆する動きも見られます。特に、間接部門に比べて直接部門での改善を重視する傾向は、採用・定着力を維持するうえでの処遇の優先順位を、企業側が模索している状況を反映しているとも考えられます。
おわりに
このように、昇給・賞与の検討においては、単純な前年踏襲や平均適用ではなく、地域・業態・業界・職位ごとに、最適な判断を行うことが重要になります。
こうした判断に必要な昇給賞与動向データをより定量的に把握したい方は、「2026年版ベトナム昇給・賞与レポート(詳細版)」で、地域別(11+省市)・業界別(14+業界)・業態別・職位別の最新データをご参照ください。
📍次回予告(第2回)
業態で異なる!現地法人の賞与原資の考え方
「自社で売上や利益をコントロールしにくいできない場合の、賞与原資の決め方は?」
そんな声を、現地法人経営者の方から頂くことがあります。次回は、賞与原資を決める際に、何を指標として考えるべきか。拠点の役割や業態の違いも踏まえながら、賞与原資の考え方を解説します。