皆さん、こんにちは。
タマリンド金子です。
今回はいつもおなじみのベトナムとは違う場所からお送りしています。
いつもと場所が違うからか、Tシャツも心なしかピチピチですね。
さて、ここがどこだか分かりますか?
・・・そう、タイトルにもあるとおり、今回はシンガポールへと足を伸ばしました。
初めて訪れたシンガポールでしたが、「マリーナ・ベイ・サンズ/Marina Bay Sands」や「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ/Gardens by the bay」など近代的な建造物が立ち並ぶ様子は、まさに圧巻!
すっかり心躍らされてしまいました。
しかしそんな洗練されたイメージのシンガポールとはある意味、正反対。
“カオス”と称されることの多い、知る人ぞ知る珍スポット「ハウパーヴィラ」をご存じでしょうか?
タマリンド金子がその全貌に迫ります!
ハウパーヴィラとは?
シンガポールの鉄道、MRTのCircle Line「Haw Par Villa駅」を降りて、徒歩10秒。
すぐにその顔を覗かせるハウパーヴィラは、日本でも有名な軟膏「タイガーバーム」を世に送り出した胡兄弟の兄・胡文虎(Aw Boon Haw)によって1937年に建造された巨大庭園です。
虎の絵が描いてあるこの瓶に見覚えがある方も多いのではないでしょうか?
僕は友達(男)と首筋にタイガーバームを塗りあって、「スースーするぅ~」とじゃれあった甘酸っぱい小学生時代を思い出します。
そんな僕らのように(?)仲の良かった、胡兄弟。
胡文虎は弟の胡文豹(Aw Boon Par)のために大金をつぎ込み、このハウパーヴィラを建造しました。
兄弟の名前に因んで命名された「Haw Par Villa」という名前からも、仲の良さが伺えますね。
園内には、中国の神話や伝承をモチーフにした像やジオラマが所狭しと並んでおり、華僑である胡兄弟の思想が強く反映されています。
実は1985年からはシンガポール政府観光局が所有・管理している、れっきとした観光地なんです。
シンガポール随一のカオスさを誇る園内
「なぜ作ったの?」という疑問にお答えする前に、まずはハウパーヴィラの園内を、一部ですがご紹介いたします!
こちらがハウパーヴィラの入口にある門。
中国的な建築に、タイガーバームの象徴・虎が散りばめられています。
既に突っ込みどころのありそうな老人の像が写真の右端に見えていますが、ここはスルーしましょう。
え? なんでですかって?
突っ込みどころのある像がありすぎるからです。
虎を前面に押し出したかったのは分かりますが、それ以外は何も分かりません。
夜道で後ろに立っていたら失神確実です。
そしておそらく世界で一番自由な「自由の女神」。
心なしか微笑んでいるように見えるのは気のせいでしょうか。
この時点で皆さんの頭の中には「中・・・国・・・?」という疑問が浮かんでいることでしょう。
大丈夫、僕も同じです。
でもご安心を。
園内にはもちろん中国的な施設も存在しています。
それがこちら。
冒頭の写真にも出てきたので、鋭い方はこれが何の建物か、もう気がついているかもしれませんね。
そうですね。
皆さんお察しのとおり、地獄です。
この建物の中には10個の地獄が広がっており、仏教における死生観や罪に対する考え方に触れることができます。
皆さんにもその全貌をぜひお見せしたい!
・・・ところですが、人形とはいえ、ちぎれたり、血まみれだったり、潰れていたりと正に地獄のオンパレードで、とてもお見せできる代物ではなかったので、ご興味をお持ちの方はぜひご自身の目でお確かめください。
同行した上司の桝田も、あまりのおどろおどろしさにこのテンション。
その他にも『西遊記』や『封神演義』、『白蛇伝』などの中国小説に基づいたジオラマもあり、見所は盛りだくさん!
と思いきや、こんなゴリラだって唐突に現れちゃいます。
ちなみに何の説明もなかったので、中国とは関係ないただのシンプルなゴリラだと思われます。
何とも言えない味のある顔をしていますが、こっちは見ないでほしいですね。
・・・あなたも、こっち見ないで。
ハウパーヴィラはなぜ作られたのか?
ここまでで、ハウパーヴィラのカオスっぷりは皆さんに十分伝わったかと思います。
さて、胡文虎はいったい何のためにこのハウパーヴィラを作ったのでしょうか?
その大きな目的は販売促進、そして実は教育にあったとされています。
胡文虎は弟・文豹とともに「タイガーバーム」を販売して巨万の富を得ましたが、その半分近くを教育・福祉施設への支援、道路建設などの慈善・公共事業に寄付していたそうです。
つまり胡文虎はハウパーヴィラを通して、中国の思想や人生の教訓を伝えたかったんですね。
さまざまな捉え方があると思うので、彼が何を伝えたかったのかは、ぜひご自身の目で確かめ、考えてみてください。
また寄付金の多さだけではなく、純粋に人格者としても知られた彼が作ったハウパーヴィラは、近隣の住民の憩いの場にもなっていたんだとか。
約80年も前に作られた庭園が今もなお、その姿をありありと残していることからも、彼とハウパーヴィラの愛されようが伝わります。
今やアジア有数の都市となったシンガポール。
その発展の裏には、胡文虎の熱い想いと未来への投資があったのかもしれません。
今もハウパーヴィラに眠る彼は、その姿に何を想うのでしょうか。
いかがでしたでしょうか?
ハウパーヴィラはある意味“シンガポールらしくない”場所かもしれません。
ただ学びとカオスが融合した、あの独特の雰囲気はハウパーヴィラでしか感じられない。
そんな気がするんです。
ぜひ一度足を運んでみてください。
シンガポールの新たな一面が発見できるかもしれませんよ!
<観光地情報>
Haw Par Villa
住所:262 Pasir Panjang Road, Singapore 118628
営業時間:毎日午前9時~午後6時(最終入場:午後5時45分)
入場料:無料