ベトナム人は「犬食」をどう思っているのか?保護活動から考える犬・猫との絆

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みなさん、こんにちは!
ホーチミン在住のベトナム人Hanです。

今回は、ある可愛い動物と道徳についての話をします。

 

ペットとしての犬、食用としての犬

ベトナムの若者の間では、「恋人がいないなら犬を飼うべきだ」という流行り文句があります。その言葉どおり、ペットは私たちベトナム人にとっても大切な存在です。
犬と一緒に生活をしていると、疲れがとれて老いにくくなり、コミュニケーション能力も高まるという科学的な証明もされています。毎日帰宅した際に、可愛い犬がしっぽをフリフリして迎えてくれたら、本当に嬉しいですよね。

一方で、ペットとしての犬を好まない人もいます。ベトナムは「犬を食べる」国の一つで、特にハノイでは犬はスタミナ食として知られています。しかし、国イメージダウンや感染症のリスクなどから、ハノイ市人民委員会が犬食を止めるよう要請したり、アメリカの下院でも、犬・猫の食用を禁止する法令の立案が進んでいます。

 

「飼い犬以外は食べる」という意見も

犬食禁止の論争が起きるたびに、ベトナムでは賛成派・反対派の意見が飛び交います。犬食賛成派は「家畜の肉は食べるのに、どうして犬や猫は食べられないのか?」という意見や、一部では「自身の飼い犬は食べないが、他の犬を食べるのは普通」といった考え方を持っています。
犬食となった犬は野犬と捉えられており、飼い犬は犬食の対象になりません。対して犬食反対派は、彼らの考え方は本当に矛盾していると感じています。

ある時、私は犬肉店の近くまで行きましたが、店内は見ずとも肉や内臓の臭気が漂ってきて、実際に食べる人の気が知れませんでした。

捕まえられ、食用にされる犬たち

 

国内で広がる犬食への反対活動

国内の新聞情報によると、近年は犬肉の販売量が大幅に減少しているそうです。実際、ハノイのいくつかの屠場は休業しました。
その理由は分かりませんが、私は犬肉を販売する人々の考え方が変わってきているのかなと思います。ベトナム人は仏教徒が多いため、犬食に罪悪感を感じ、販売したことに後悔しているのではないか…と思います。
犬肉を食べる側の人にも、そんな気持ちになってほしいです。犬食のニーズがなければ、提供されることはないからです。

また、犬食反対派の活動も活発化しています。犬食禁止の法令化に向けて官庁に意見を提出したり、署名活動も行われています。飼い主のいない犬・猫を世話する人もおり、たとえ自身の生活が苦しくても、彼らを守るために頑張っているのです。

 

可愛い“子どもたち”と暮らす、八百屋のおばあさん

ここで、犬や猫の保護活動をする3人のベトナム人女性を紹介します。

ホーチミン1区のNguyen Huy Tu通りには、薄暗い軒下のカウンターで野菜を売る、Nguyen Thi Tamさんというおばあさんがいます。彼女は1930年にTien Giang省で生まれ、ホーチミンに来てからは約50年野菜売りをしています。現在は家族もおらず、近所の人々に助けられながら生活しています。

カウンターにいるTamお婆さん
引用:http://kenh14.vn/xa-hoi/nhung-chu-cho-meo-bi-bo-roi-va-hang-rau-cua-ba-cu-ngheo-o-sai-gon-20150628071347957.chn

 
ある日、お腹を空かせた迷い猫がTamさんを見て鳴き、彼女は残ったご飯をあげたそうです。Tamさんは猫がご飯を食べたら去るだろうと思っていたところ、足元にすり寄ってきたそうです。それからTamさんは猫を子どものように感じ、お客さんがいない時などに抱き上げて可愛がっています。

今では10匹以上の猫が集まり、夜になるとカウンター裏で“子どもたち”と一緒に寝ています。時々犬もやって来るそうで、「息子・娘がいる気分だ」と冗談を飛ばしています。彼女にとって一番大切なことは、子どもたちがお腹いっぱいにご飯を食べて、元気に成長する姿を見ることだそうです。

引用:http://kenh14.vn/xa-hoi/nhung-chu-cho-meo-bi-bo-roi-va-hang-rau-cua-ba-cu-ngheo-o-sai-gon-20150628071347957.chn

Tamさんは2015年に交通事故で亡くなりましたが、子供たちは最後まで安全で楽しい暮らしを送っていたのだと思います。彼女が犬・猫と共に映る姿は、私たちの心にずっと残ることでしょう。

 

わが子同然の動物たちと過ごした60年

もう1人、Tamさんと同じような活動をしている、Le Thi Quyおばあさんを紹介します。

Quyさんは80歳、ベトナム北部の出身です。17歳の時にご主人と結婚して、南部に引っ越しました。娘さんが一人いるそうですが、悲しいことに、出産後ご主人の家族に赤ちゃんを奪われ、今は一人で暮らしています。
Quyさんは一人になった時から、犬・猫の鳴き声を聞くと赤ちゃんを奪われた瞬間を思い出し、頭から離れなくなってしまうそうです。それで、見捨てられた犬や猫を飼い始めました。

Quyさんはホーチミンに来てから60年、捨てられた動物たちを保護し続けてきました。何匹助けたのか覚えられないくらいだそうです。
彼女は朝5時に起きて、ケースを洗って新聞紙を敷き、“子どもたち”の寝床を用意します。その後市場へ出向き、帰宅した後も掃除をして、ご飯を作ってと、夜遅くまで世話をします。時にはミルクを用意したり、獣医にも診せに行きます。

子どもたちの寝床を用意するおばあさん

おばあさんは痩せているが、健康そうな体型の猫たち
引用:https://thanhnien.vn/doi-song/gap-lai-nguoi-me-nuoi-ca-ngan-cho-meo-hoang-van-gian-truan-don-doc-cuoi-doi-951786.html

Quyさんは子どもたちを自身のペットとして飼わず、みな動物救護会に移送するそうですが、野良猫を見るたびに自身の辛かった経験を思い出し、自宅に連れて帰ってしまうそうです。

 
現在、Quyさんがどのように過ごし、子どもたちがどうなったのかは分かりませんが、私は彼女が健康で、子どもたちの世話ができていることを願っています。

 

屠場から猫を救出し、飼い主を見つける

最後に、Nhu Quyenさんという女性を紹介します。

QuyenさんはHoc Mon区で家族と住んでおり、これまで紹介したお婆さんとは少し異なる活動をしています。彼女は捨てられた犬・猫を助けることに留まらず、食用を避けるために、屠場で動物たちを買い取っているのです。活動を始めて4年、都市周辺の屠場から百数もの犬・猫を助けています。

猫小屋で世話をするQuyenさん
引用:http://2saigon.vn/chuyen-nho-saigon/chuyen-kho-tin-ve-nguoi-phu-nu-cuu-hang-tram-con-meo-khoi-nhung-lo-sat-sinh.html

 
Quyenさんは非常に行動力があり、1匹の猫を助けるために何キロも運転して屠場に駆けつけ、多いときは1日で40匹もの猫を連れ出します。現在は猫が増えてきたため、Hoc Mon 区内で間借りをし、300匹以上の猫と21頭の犬を保護しています。

活動費が足りない時は、動物たちのライブストリームを配信したり、写真をポストしたりします。この方法で飼い主も見つけ出し、ホーチミン市内の外国人駐在員などに無料で引き取ってもらっています。

広くて安全な猫小屋
引用:http://2saigon.vn/chuyen-nho-saigon/chuyen-kho-tin-ve-nguoi-phu-nu-cuu-hang-tram-con-meo-khoi-nhung-lo-sat-sinh.html

保護した動物たちが何匹居ようとも、Quyenさんは彼らにご飯を食べさせ、世話をし、安全な環境で成長できることに幸せを感じています。

 
以上のように、動物を保護する活動には、多くの関心を払い時間をかけなければなりません。こうした活動ができる人は、決して多くはないと思います。それでも私は、犬や猫を食べる人がいなくなり、販売禁止の法令が認められてほしいと強く願っています。

 

HanT

人生は一度きり!

ICONIC

大学で日本語学科を専攻していましたHanです。2013年よりICONICでアルバイトとして働き始めました。かれこれ4年もの間、いろいろな外国人の方と接する機会をいただいています。人生は一度きりなので、これからも有意義に楽しんでいきたいと思います。

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