近年、日系企業の東南アジア進出が加速しています。
日系企業にとって、東南アジアは魅力的な市場であり、どの日系企業にとっても事業拡大のために避けては通れない市場という位置づけではないでしょうか。
その中でも今回は、特に近年日系企業の進出が加速しているベトナムのビジネス概況についてご紹介します。
1. ベトナムのビジネス概況
ベトナムは、東南アジアのほぼ中央に位置する国であり、北に首都のハノイと南に経済の中心地であるホーチミンが位置する縦長の国です。人口は、9,000万人、国土面積は日本の約90%と、比較的日本と同規模の経済圏です。
経済規模、経済成長率を表す代表的な指標にGDPという概念があります。GDPとは、その国で生み出された付加価値の総和であり、よく新聞やニュースで今年の日本のGDP成長率は○%であったというようなことを耳にしますが、GDPは、その国の経済規模・成長率を表現する際に使われる最も代表的な経済指標の一つです。
以下は、東南アジア各国と日本のGDP成長率のグラフです。
出典:JETRO HPより筆者作成(2014年度 実質GDP成長率)
このグラフから見て分かる通り、人口減少・少子高齢化等の構造的な社会問題を抱える日本のGDP成長率に比して、東南アジア各国のGDP成長率は高く、そのポテンシャルは一目瞭然です。
そして、この市場のポテンシャルこそが、日本企業を惹きつける最大の魅力です。特に、ベトナムは東南アジアの中でも特に今後成長が期待されるマーケットとなっています。
2. ベトナムのビジネス経済圏としての魅力
では、次に、日系企業のベトナムへの進出状況について見ていきます。以下は、ベトナム日系企業数の推移です。
出典:外務省 国別日系企業数
上表を見て分かる通り、2012年以降、毎年100社以上の新規進出があり、日系企業数は一貫して増加傾向にあることが見て取れます。
では、近年、なぜこれほどまでに日系企業の東南アジア、とりわけベトナムへの進出が加速しているのでしょうか。これには、大きく2つの背景があると考えます。
1)まず、最大の要因は、比較的質が高く、安価な労働力です。近年、東南アジア諸国でもマレーシアやタイ等は産業として成熟しており、労働力という観点からは日本企業にとっての魅力は薄れてきています。
一方で、ベトナムはその豊富な人口と質の高い労働力に魅力があり、そういった観点から日系企業の進出が加速しています。
2)二つ目に、ベトナム政府の積極的な外資受け入れ姿勢です。
インドネシアやマレーシア等、比較的外資規制が根強く残る国に比して、ベトナムは国をあげて外資の受入を奨励しており、そのためにさまざまな規制緩和が進んでいます。こういった政府の取り組みは、日系企業の進出においても追い風となっています。
このように、東南アジアの中でもベトナムは今、最も注目されている地域であり、中国やインドに次ぐ、最もポテンシャルを有する国と予想されています。今後の成長に大きな期待が寄せられます。