2025年4月、ベトナム・ホーチミンの玄関口「タンソンニャット空港」に、新しい第3ターミナル(T3)がオープンしました。国内線専用として建設されたこのターミナルは、今後ベトジェットを含む主要航空会社の移行も見込まれ、今後ますます注目が集まる空港施設です。
とはいえ、「どこにあるの?」「どうやって行くの?」「乗り継ぎはスムーズ?」「施設は使いやすい?」など、まだ情報が少なく不安に思う方も多いのではないでしょうか。
そこでホーチミン在住の筆者が実際に第3ターミナルを現地取材し、詳しく調査してきました、本記事では、アクセス方法から施設案内、シャトルバス、チェックイン手順、周辺施設まで、すべてをまとめてご紹介します。
国際線⇄国内線の乗り継ぎ予定の方や、これからベトナム旅行・出張を予定している方必見の内容となっておりますので、ぜひ最後までお読みください。
基本情報|第3ターミナルってどんな場所?
概要:対応航空会社と利用状況(2025年5月末時点)
タンソンニャット空港の第3ターミナルは、2025年4月に新たに開業した国内線専用のターミナルです。年間2,000万人の利用を想定した設計となっており、旅客処理能力の拡充を目的として整備されました。
2025年5月17日には、ベトナム航空(Vietnam Airlines)の国内線が全面的にT3へ移行。同社の国内路線のうち、カマウ、コンダオ、ラックザー行きの一部小型機路線を除く、ほぼすべての便が第3ターミナルから発着するようになっています。
(参照元:ベトナム航空公式発表)
なお、VietJet Airをはじめとする他の航空会社については、現時点(2025年5月末)では引き続き第1ターミナル(T1)を使用中であり、T3への移転は今後の予定とされています。
本記事では、ベトナム航空の移行直後となる5月23日に実施した現地取材をもとに、T3の施設や導線を詳しく紹介していきます。
場所:第1・第2との位置関係
タンソンニャット空港の第3ターミナル(T3)は、第1・第2ターミナルと同じ敷地内に位置しており、やや南西側に新設された建物です。
アクセス方法:第3ターミナルまでの行き方まとめ
1.バス
取材時点(2025年5月23日)では、第3ターミナル(T3)までの市バス運行情報があるものの、実際に乗車したというレポートがネット上にありませんでした。「本当にT3までバスで行けるのか?」という疑問を検証すべく、実際にホーチミン市内から路線バスでのアクセスを試してみました。
使用アプリ:「Go!Bus」で路線を確認
ホーチミン市内のバス情報が確認できる「Go!Bus」アプリで調べたところ、109番のバスが“T3まで就航している”との表示を確認。
早速近くのバス停で109番のバスに乗車してみました。
実際に乗ってみた:乗務員とのやり取り
乗車後、乗務員の方に行き先を尋ねられ、「エアポート」と答えると、料金は15,000VNDとのこと。市内から空港へ向かう通常料金で、現金払いが可能です。
その後、車内に掲示されていた案内板を眺めていると、「この109番路線の終点が第3ターミナルになった」という趣旨のお知らせが貼ってあるのを確認しました。
空港が近づいてくると、再び乗務員から「どのターミナルに行くの?」と尋ねられたため、「ターミナル3」と答えました。
バスが停車した場所で降りてみると、そこはまさに第3ターミナルの目の前。
下車場所は、ターミナル1階のタクシー乗り場のすぐ前にあたり、バスを降りてそのまま建物へスムーズに入ることができます。
他の乗客で「1」や「2」と答えていた人たちには、乗務員が口頭でそれぞれのターミナルへの行き方を丁寧に説明していました。
2.タクシー
第3ターミナルへは、Grab(ライドシェアサービス)やタクシーを使ってのアクセスも可能です。
2025年5月現在、Grabアプリでは、目的地として「T3(Terminal 3)」がすでに選択肢として登録されており、スムーズに呼び出しが可能となっています。
配車サービスを利用してT3に到着すると、車はターミナルの出発階(3階)前で下車することになります。
荷物を持ったままでも、タクシーから降りてすぐにチェックインカウンターに向かえる導線になっており、利便性は非常に高いです。
現地レポ|ターミナルを実際に歩いてみた
入口から1階:バス降車&駐車場フロア
今回は市内から109番の路線バスで第3ターミナルに到着したため、バスの降車地点でもある1階(地上階)の駐車場フロアからターミナル内へ入りました。
このフロアには、空港タクシーとしてよく見かけるVINASUN(ビナサン)やMai Linh(マイリン)の車両が複数停車しており、乗降が行われていました。
建物側に向かうと、すでに営業中の飲食店が2店舗ありました。
・BIG BOWL(フォーなどのベトナム料理)
・STAR CAFE(軽食・コーヒー)
ただし、周囲を見渡すと、まだ内装工事中の区画も多く、今後さらに飲食店舗が増える可能性があります。実際に、ベトナムの人気コーヒーチェーン「Legend Coffee」の看板がすでに設置されており、開業準備が進んでいるようでした。
この1階から出発階・到着階へは、エスカレーターまたはエレベーターで上がることができます。
2階:到着フロア(Arrival)
1階からエスカレーターで上に上がると、2階の到着ロビーに到着します。
建物内には、受託手荷物の受け取りレーンが設置されており、既に稼働しているベトナム航空が一部利用している模様でした。
3階:出発フロア(Departure)
さらにエスカレーターを上がると、最上階にあたる出発ロビーに到着します。
取材時点(5月23日)では、稼働しているのはベトナム航空のみでしたが、案内表示にはすでにVietJet(ベトジェット)も表記されており、今後の受け入れ準備が進んでいる様子がうかがえました。
いざ館内に足を踏み入れると、その空間の美しさと開放感に圧倒されました。
天井は非常に高く、自然光が多く差し込む造りとなっており、明るく清潔感のある印象を受けます。
この天井のデザインは、ベトナムの伝統衣装であるアオザイ(Áo dài)からインスピレーションを得たものとのことで、曲線を多用した構造により、空間に優美さと柔らかさが演出されています。
出発ロビーの中央部には顔認証レーンが設置されており、チェックインを終えた利用者は、ここを通過して奥の保安検査場へと進む導線となっています。
現時点(5月23日)では、ターミナル3を利用している航空会社はベトナム航空のみのため、館内の電光掲示板にはすべてベトナム航空の便名が表示されていました。
館内の右手側がベトナム航空のチェックインゾーンとなっており、下の写真がその様子です。
チェックインカウンターは、利用者の目的や便種に応じて、以下の4つのレーンに分かれて設置されていました:
- ハノイ行き専用レーン(利用者数が多いため独立)
- 家族・団体用レーン
- オンラインチェックイン済みの手荷物預け専用レーン
- その他行き先レーン
一方、出発ロビー左手のエリアは現在、稼働準備中の状態で、利用者の姿は少ないものの、ベトジェットエアのチケットカウンターがすでに設置されていることから、今後はこの一帯がベトジェットエアのチェックインカウンターとして使用されると見られます。
そのさらに奥、フロア左奥には小さなコンビニとカフェがありました。
ターミナル間のアクセス方法
空港内では、T1・T2・T3を結ぶ無料シャトルバスが運行されています。
目印は、鮮やかな黄緑色の車体。今回は実際にT3からこのバスに乗車してみました。
朝4時台から深夜0時30分頃まで運行されており、早朝便や夜便の利用者にも対応しています。
乗車場所は、第3ターミナルの1階(地上階)にあります。
なお、バスは空港敷地内を直線的に結ぶのではなく、一度市街地側に出て空港周辺をぐるりと回るルートを取ります。体感としては、T3からT2まで約10〜15分程度を要しました。
T2(国際線)でのバス乗降場所
第2ターミナルは国際線専用のターミナルです。
シャトルバスは、T2の到着出口を出て右奥、バーガーキング付近に停車します。国際線から国内線に乗り継ぐ方は、この場所でバスを待つことになります。
T1(既存の国内線)でのバス乗降場所
T1の到着出口を出ると、目の前には道路があります。この道路を渡って中央分離帯のような場所にあるのが、シャトルバスのバスストップです。そこから少し奥に進んだ位置が、実際の乗降ポイントになっています。
周辺施設|利用者向けの便利スポット
ターミナル3は、2025年5月時点で一部のエリアのみが稼働中という状態であり、館内にはまだ工事中の区画が多数残っています。利用者の導線は整備されているものの、本格稼働に向けた拡張工事が並行して進められている最中です。
中でも注目したいのが、ターミナル最上階(出発ゲート奥)に計画されている「ショッピングモール」と「ホテル」の存在。現在はまだ絶賛工事中ではあるものの、館内にはすでにこれら施設の案内板が設置されており、完成後は旅行者の滞在利便性が大幅に向上することが予想されます。
今後、ベトジェットエアの運航が本格的に始まり、他航空会社の移行も進めば、T3全体の利用者数は急増する見込みです。それにあわせて施設面も整備されていくことが予想されるため、今後のアップデートにもぜひ注目したいところです。
余談|警備員さんの“神対応”
今回の取材中、ちょっとしたハプニングがありました。
空港でふと気づくと、ワイヤレスイヤホンの片方がない……!記憶を辿ると、空港に向かう際に利用した109番バス車内に落としてしまったようでした。
そんな時、空港の警備員さんに相談したところ、 状況を親身になって聞いてくれた上で、バス会社に直接連絡を取ってくれたのです。
それだけでもありがたかったのですが、
なんと、バス会社のスタッフが見つけたAirPodsを空港まで届けてくれたうえに、最終的にはその警備員さんが、私のいる空港内カフェまで直接届けてくれました。
彼のホスピタリティ精神と優しさに、心から感動した出来事でした。
海外での旅や生活では、言葉の壁や文化の違いに不安を感じることもありますが、こうした人の優しさに触れられる瞬間こそが、現地に住んでよかったと思える一番の財産かもしれません。
まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は、ホーチミンのタンソンニャット空港に新しくオープンした第3ターミナルの現地レポートをお届けしました。
実際に足を運んだからこそわかった最新情報や利用時のポイントが、これからベトナムを訪れる皆さまや、国内線に乗り継ぐ予定のある方の参考になれば幸いです。