みなさん、こんにちは。
ベトナム留学とベトナム語学習法について紹介するシリーズ第4段です。
みなさんはどんな基準で留学先を選びますか? 学力? 立地? 規模?
「教育・研究の質」も選定基準の一つだと思います。
実は、ベトナムの大学は、ここ数年で教育・研究の質が急成長しているのです。
そこで今回は、ベトナムの大学事情と「QSアジア大学ランキング2016」にランクインした、ベトナムのトップレベル大学をご紹介します。
それでは本編スタート!
ベトナムの高等教育機関
ランキングの前に、まずは簡単にベトナムの高等教育についてご紹介します。
ベトナムの高等教育機関は、短期大学、大学、大学院などがあります。
標準的な修学年限は、日本と同じく、準学士2年、学士4年、修士2年、博士3年。
(※工学学士5年、医学学士6年など例外もあります。)
ベトナムの大学区分は、
「国家大学」、「国立大学」、「私立大学」の3つに大分されます。
ここで、「国家大学と国立大学の違いってなに?」という疑問が浮かんだ方も多いのでは。
国家大学=首相に直属の大学
国立大学=教育・訓練省の管轄にある大学
行政的区分が異なっているのです。
国家大学の方が国立大学より、研究費などが優先的に配分されます。
また、「総合大学」と「専門(単科)大学」がの2種類に分けられます。
総合大学は、複数の大学が集まってできていて、「ベトナム国家大学ホーチミン市校の人文社会科学大学」のように、大学の中に大学があります。
こちらもまた疑問に思う方、いるのではないでしょうか。
一言で説明するならば、“人文社会科学大学”は、日本の大学でいう「学部」のイメージです。
専門(単科)大学は、1つの学問領域を専攻している大学。日本の単科大学とほぼ同じと思っていただければ大丈夫です。
ベトナム国内には、436もの大学があります。
(参照:Ministry of Education and Training 2015)
さて、その436校の頂点に君臨する大学とは?
「QSアジア大学ランキング2016」ランクイン校
イギリスの世界大学評価機関(Quacquarelli Symonds)が、毎年発表しているアジアの大学のランキング、QSアジア大学ランキング(QS University Rankings: Asia)。
QSアジア大学ランキング(QS University Rankings: Asia)は、大学ごとに「研究者からの評価」「学生1人あたりの教員数」「外国人教員比率」「留学生比率」「教員1人あたりの論文引用数」など7つの基準で評価した総合点を算出し、ランキング形式で上位350校を発表したものです。
QSアジア大学ランキング2015では、選出されたベトナムの大学は2校のみでしたが、なんと、QSアジア大学ランキング2016では5校も選出されました。
それでは、QSアジア大学ランキング2016にランクインしたベトナムの大学トップ5を一挙ご紹介!
※参考値として、QSアジア大学ランキング2016での 近い順位にある日本の大学を記しています。
① ベトナム国家大学ハノイ校 Vietnam National University, Hanoi(VNU)
QSアジア大学ランキング2015 191位
QSアジア大学ランキング 2016 139位 ↑
(参考:横浜国立大学 136位、大阪市立大学 140位)
ベトナム国家大学ハノイ校(ハノイ大学・ハノイ国家大学と呼ばれることも)は、歴史と伝統ある大学。前身である、インドシナ大学は1906年に創設されました。名実ともにベトナムNO.1の大学です。
現在のベトナム国家大学ハノイ校は、次の7大学で構成されています。
- 自然科学大学 VNU University of Science
- 人文社会科学大学 VNU University of Social Sciences and Humanities
- 外国語大学 VNU University of Languages and International Studies
- 工科大学 VNU University of Engineering and Technology
- 経済大学 VNU University of Economics
- 師範大学 VNU University of Education
- 日越大学 VNU Vietnam-Japan University (2016年現在、修士課程のみ)
学生数は34,257名。内留学生は255名。
中でも、2016年にベトナム国家大学ハノイ校に新たに設立された、日越大学は注目ですね。ベトナムの政府や産業界、日系企業などで中核を担う人材の育成を目的に設立された本大学。
東京大学・大阪大学・筑波大学・立命館大学・横浜国立大学といった名だたる日本の大学と協定を結んでいます。
② ベトナム国家大学ホーチミン市校 Vietnam National University – Ho Chi Minh City (VNU-HCM)
QSアジア大学ランキング 2015 201位
QSアジア大学ランキング 2016 147位 ↑
(参考:大阪府立大学 151位)
ホーチミンの大学の頂点に君臨する、ベトナム国家大学ホーチミン市校。(ホーチミン国家大学と呼ばれることも)ベトナムに2校しかない国家大学の1つです。
1995年設立の新しい大学で、次の6つの大学から構成されています。
- 工科大学 University of technology
- 自然科学大学 University of Natural Science
- 人文社会科学大学 Univevrsity of Social Sciences and Humanities
- 国際大学 International University
- 情報工学大学 University of Infoemation Technology and Resources
- 経済法科大学 University of Economics and Law
学生数は46,882名。内留学生は179名。
本シリーズに登場する、人文社会科学大学は、ベトナム国家大学ホーチミン市校の一員です。
3年生までは、学生全員がThu Duc区にあるキャンパスで過ごします。
キャンパスはもちろん、学生寮もきれいなことで有名です。
ベトナム留学の定番ホーチミン。ベトナム最大の都市で留学生活を送りたい方は、ベトナム国家大学ホーチミン市校へGO!
③ カントー大学 Can Tho University
QSアジア大学ランキング 2015 圏外
QSアジア大学ランキング 2016 251位 ↑
(参考:中央大学 251位、高知大学 251位)
1966年設立の国立総合大学。
去年まで圏外でしたが、今年になり、ランキング急浮上の大学!
カントー大学には、次の8大学が所属しています。
- 農業・応用生物大学 College of Agriculture & Applied Biology
- 水産大学 College of Aquaculture & Fisheries
- 経済大学 College of Economics
- 工科大学 College of Engineering Technology
- 環境・資源大学 College of Environment & Natural Resources
- 情報・通信技術 College of ICT
- 農村開発大学 College of Rural Development
- 理科大学 College of Natural Sciences
学生数は42,737名。内留学生は30名。
メコンデルタ地域に位置するカントー大学。バイオテクノロジー・R&D研究所 (Biotechnology R&D Institute)やメコンデルタ研究所 (Mekong Delta DR Institute)を持ち、農学・環境学系では、ベトナム国内最高峰の研究機関です。
そのため研究目的の留学生が多く、なんと留学生の63%が大学院生です。
④ フエ大学 Hue University
QSアジア大学ランキング2015 圏外
QSアジア大学ランキング2016 301位 ↑
(参考:関西大学 301位、日本大学 301位)
1957年に創設された、歴史ある国立大学です。カントー大学と同様、今年、初めてQSアジア大学ランキングに選出!
フエ大学は次の8大学から成る総合大学です。
- 師範大学 College of Education
- 科学大学 College of Sciences
- 医科・薬科大学 College of Medicine and Pharmacy
- 農林大学 College of Agriculture and Forestry
- 美術大学 College of Arts
- 経済大学 College of Economics
- 外国語大学 College of Foreign Languages
- 法科大学 College of Law
学生数は31,250名。内留学生は185名。
また、フエ大学には、1年半ベトナム・1年日本のキャンパスに通うことで、日本の大学の修士号が取れるコースもあり、国際交流が盛んな大学の一つです。
フエ大学のあるベトナム中部は、ホーチミンやハノイと比べると、外国人は圧倒的に少なく、ほどよい田舎感があり、勉強に集中するにはうってつけの環境です。
⑤ ハノイ工科大学 Hanoi University of Science and Technology
QSアジア大学ランキング2015 圏外
QSアジア大学ランキング2016 301位 ↑ ※フエ大学と同位
(参考:関西大学 301位、日本大学 301位)
1956年に設立。ベトナム最初の国立技術系専門大学です。
学生数は29,442名。内留学生は72名。
ベトナムの工業界を担うエンジニア育成と工学研究を推進する基幹大学として、国の工業化に大きく寄与すると共に国際連携にも積極的に取り組んでいます。
近年では、日本のODAによる、HEDSPI(Higher Education Development Support Project on ICT) という、日本語が使えるITエンジニアを育成するプロジェクトを行っているのも特徴です。
なお、ベトナム国家大学ハノイ校の工科大学 (VNU University of Engineering and Technology)とは別の大学です。
ベトナムへの留学方法は?
留学方法としては、
- 正規留学
- 語学留学
- 交換留学
- 研究生・聴講生留学
などがあります。
正規留学の場合は、ベトナム語も必須です。正規生として大学に入学するために、語学学校に通う留学生も多くいます。
語学留学は、上記の中でも挑戦しやすい留学形態。各大学で開講されている語学コースに通うパターンです。
そして、交換留学は、協定を結ぶ日本の大学から、交換留学生として派遣してもらうパターン。交換留学の場合、ベトナムの大学で取得した単位を派遣元の日本の大学の単位としてカウントできる、単位互換制度がある場合がほとんどです。(大学によって異なります。)
留学したい大学はあるけど、「自分の通う大学とその大学は協定を結んでいない」なんて場合もあるかと思いますが、諦めるのは早いです。
研究生や聴講生として留学するなんてパターンもあります! 海外からの留学生を積極的に受け入れている上記に挙げた大学では、研究生や聴講生として在籍することができます。(基本的には、単位互換はできません。)
その場合、リサーチプロポーザルや日本の大学の教授からの推薦状などが必要になりますが、ベトナムの大学で学ぶことが可能です。
一口に「留学」といっても、いろいろな形があるので、自分にあった留学方法を選んでみてくださいね。
いかがでしたか?
国家大学2校は「さすがは天下の国家大学」といった結果でした。その一方で、地方のカントー大学やフエ大学といった農学・環境学系の研究に力を入れている大学が、ランクインしていましたね。
世界からの注目と評価が年々高まるベトナムの大学。
みなさんも、ベトナム留学してみませんか?
【ベトナム留学のすゝめシリーズ一覧】