【マレーシア法務ブログ】第20回:特殊な商標保護制度

TNYグループのマレーシア事務所の弁護士の荻原と下田です。今回は特殊な商標保護制度について解説していきます。

 

第1 団体商標(Collective Marks)

1.概要
団体商標は、団体商標を所有する団体の構成員の商品又はサービスとそれ以外の者の商品又はサービスとを区別するために用いられる商標を意味します。ここでいう「団体」とは会社法以外の法律によって設立・登録された組織をいい、労働組合等が含まれます。
一定の要件のもと、地理的表示からなる標識を団体商標として登録することも認められています。

2.団体商標の登録要件
団体商標の登録に際しては、通常の商標登録の要件に加え又はそれに代えて、以下の要件が要求されます。
 ・商標が登録を受けるためには第15回で解説をした「識別性」の要件が要求されますが、団体商標における「識別性」の要件は、団体商標の所有者である団体の構成員の商品又はサービスを団体構成員ではない事業者の商品又はサービスから区別できることと解釈されます。
 ・団体商標は、団体商標以外の何かと誤認されるおそれも含め、団体商標の性質又は意義について公衆に誤認を生じさせるものであってはなりません。登録官は登録申請がなされた団体商標について、団体商標であることの表示を含むよう要求することができます。
 ・「(3)登録手続」で解説する通り、登録申請に際して提出する団体商標の使用の管理に関する規則(以下「団体商標使用管理規則」と表記します。)が一定の要件を満たしていることが要求されます。

3.登録手続
団体商標の登録申請に際しては、団体商標使用管理規則を作成・提出しなければなりません。団体商標使用管理規則は、以下の内容及び登録官が別途指示した事項を定めたものでなければならないとされています。
 a. 団体商標の使用を許可される者
 b. 団体の構成員の条件
 c. 団体商標の使用条件(条件を定める場合)
 d. 団体商標の誤った使用に対する懲罰(懲罰を定める場合)

また、団体商標使用管理規則が以下の内容を含む場合には、登録の拒絶事由となります。
 a. 公衆の利益又は道徳に反する内容
 b. 中傷的又は攻撃的な内容
 c. 国家安全保障を害する内容

 

第2 証明商標(Certification Marks)

1.概要
証明商標は、それが使用されている商品又はサービスが原産地、材料、商品の製造方法、サービスのパフォーマンス、品質、正確性又はその他の特性について、商標所有者が証明をしていることを示す標識です。

商品又はサービスの出所を表示するために用いられる通常の商標と異なり、証明商標は商品又はサービスが一定の特性を持っていることを表示するために用いられます。証明商標の所有者は、第三者に対し基準を満たす商品又はサービスへの証明商標の使用を許可する権限を有しますが、証明商標の対象となる商品又はサービスを自ら取り扱うことはできません。

また、一定の要件のもと、地理的表示からなる標識を証明商標として登録することも認められています。

2.証明商標の登録要件
証明商標の登録に際しては、通常の商標登録の要件に加え又はそれに代えて、以下の要件が要求されます。
 ・商標が登録を受けるためには第15回で解説をした「識別性」の要件が要求されますが、証明商標における「識別性」の要件は、認証された商品又はサービスをそうでない商品又はサービスから識別できることと解釈されます。
 ・証明商標は、証明商標以外の何かと誤認されるおそれも含め、証明商標の性質又は意義について公衆に誤認を生じさせるものであってはなりません。登録官は登録申請がなされた証明商標について、証明商標であることの表示を含むよう要求することができます。
 ・証明商標が用いられる商品又はサービスを認証する能力を申請者が有していることが必要となります。
 ・証明商標の所有者が認証をする商品又はサービスを提供する事業を行うことは認められていません。
 ・「(3)登録手続」で解説する通り、登録申請に際して提出する証明商標の使用の管理に関する規則(以下「証明商標使用管理規則」と表記します。)が一定の要件を満たしていることが要求されます。

3.登録手続
証明商標の登録申請に際しては、証明商標使用管理規則を作成・提出しなければなりません。証明商標使用管理規則は、以下の内容及び登録官が別途指示した事項を定めたものでなければならないとされています。
 a. 証明商標の使用を許可される者
 b. 証明商標によって証明される特性
 c. 所有者がこれらの特性を検証する方法
 d. 所有者が商標所有者の使用を監督する方法
 e. 所有者と許可された使用者との間の紛争を解決するための手続

また、証明商標使用管理規則が以下の内容を含む場合には、登録の拒絶事由となります。
 a. 公衆の利益又は道徳に反する内容
 b. 中傷的又は攻撃的な内容
 c. 国家安全保障を害する内容

 

第3 防護商標制度の廃止

旧商標法(1976年商標法)は、登録商標所有者に対して、当該登録商標が周知性を獲得していることを条件として、自身が商標を使用していない又は使用を予定していない商品又はサービスについても防護商標登録という特殊な商標登録をして保護を受けることを認めていましたが、現行商標法(2019年商標法)はこの制度を廃止しています。

そのため、前回(第19回)解説をした周知商標の保護制度を利用して商標の保護をはかることとなります。

 
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