前回の記事では、マレーシアのビジネス概況と日系企業の進出状況を解説しました。
本稿では、実際に日系企業がマレーシア進出をする際にどのような進出形態がありうるのか、代表的な進出形態とその留意点について解説します。
海外(マレーシア)での日系企業の進出形態
日系企業が、海外(マレーシア)に進出する際の方法として大きく分けて以下の4つの方法が考えられます。
1. オーガニック進出
日系企業が、自前でマレーシアに会社を設立し、事業運営を行っていくケース。
この場合、会社の設立場所や設立手続き等、全て自社でマーケット調査を行う必要があるため、日系企業の負荷は大きく、また、相対的に事業成功の不確実性が高い進出形態といえます。
2. マレーシアローカル企業との業務提携
資本関係はないが、日系企業が、販売チャネルや物流、製造機能等の一部をマレーシアローカル企業に委託し、協業していくケース。
この場合、現地に精通したローカル企業の販売チャネルや製造機能等を活用できる点でメリットを有する一方、資本関係がないため、緩やかな結びつきであり、有事の際には簡単に業務提携が解消されるといったリスクを有する点留意が必要です。
3. マレーシアローカル企業との資本提携
日系企業が、マレーシアローカル企業に資本を入れて合弁(JV)形式で事業運営を行っていくケース。
この場合、2の業務提携に比べ資本を入れている分両者の結びつきが強く、また投資から得られる配当収入等も見込めます。一方で、実際にお金の拠出(投資)を伴うため、投資の失敗リスクを有する点留意が必要です。
4. マレーシアローカル企業の買収
日系企業が、完全にマレーシアローカル企業を買収し、完全に日系子会社化して事業運営を行っていくケース。
この場合、完全買収のため、既に出来上がった会社をスピーディーに手に入れられ、事業が成功した場合の利益は全て享受できる一方で、事業が失敗に終わった場合の損失額は最も大きくなります。
上では、日系企業がマレーシア進出する際の代表的な方法を解説しましたが、どの手法においても海外進出においてリスクは付き物です。一方で、海外進出はどの日系企業にとっても避けては通れない重要な事業戦略の一つかと思います。
各手法のメリット・デメリットを事前に十分に把握し、必要に応じて現地に精通した専門化のアドバイスを受けながら、自社の戦略に最も適合した方法を選択すべきと考えられます。