金融大国シンガポールのお金の話

日本はついに消費税が10%に引き上げられ、キャッシュレスによるポイント還元がすっかり日常化しました。最近は、大手銀行の「口座維持手数料」の導入についても随分と話題になっています。

今回は家計を支える働き盛りのサラリーマンにとって最も関心の高い、金融都市シンガポールのお金事情についてです。以前「海外転職先にシンガポールを選ぶ5つのメリット」では、シンガポールの所得税率の低さ、決済のデジタル化が進んでいる社会事情や日本に比べて現地銀行の口座の利息やキャッシュバック還元率が高いことについて触れました。今回は金融事情をさらに深掘りして、その魅力をお伝えしたいと思います。

 

1. Tax Havenと呼ばれるシンガポールの所得税率

シンガポールに関して最もスタンダードな話題として、先進国の中でも「所得税率」が低いことがあげられます。日本とシンガポールの所得税率の差は、世界的にみても対照的な位置付けとされています。しかし実際どれくらいの差があるのか、日本と比較して少しだけ考えてみたいと思います。

シンガポールは日本と同様、累進課税制度となっており、2016年(YA2017)以降、2019年12月時点での最高所得税率は、日本の45%に対して22%となっています。シンガポールに住民税はありませんが、日本は住民税を含むと、最高税率は50%以上にもなります。また年収1000万円程度で比較した場合、シンガポールにおける年収(120,000-160,001SGD。1 SGD=80 JPYとすると、約960-1280万円)の所得税率が15%であるのに対し、日本は33%(年収900-1800万円)と、約2倍の差がありますね。なおシンガポールの所得税率の詳細は、シンガポール税務局のHP
(https://www.iras.gov.sg/irashome/Individuals/Locals/Working-Out-Your-Taxes/Income-Tax-Rates/)を参照いただけます。

 

2. ローカルバンクの魅力

所得格差が大きいシンガポール社会ですが、低所得者から富裕層にまで人気が高いのがローカルバンクです。数ある銀行の中で最もデジタルバンキングを先導し、ローカルの支持が熱い代表的な銀行がDBS(The Development Bank of Singapore Limited)です。まず外国人が現地に口座を開設するとなると、銀行ごとに審査基準があります。例えば、シンガポールで雇用証明書や賃貸契約書、就労ビザ、給与明細書の提示や最低口座残高の維持などが求められます。中でもDBSはローカル密着型の銀行であることから口座開設の基準が他の銀行と比較して低いのと、口座の即日開設が可能です。これとは反対に外資系銀行のシティバンクなどは利息も高い分、富裕層をターゲットとしているため、開設時に一定の基準以上の給与所得額を満たした上で、100万円前後のまとまった資金を開設時に預金する必要があり、資金運用のスモールスタートには不向きで、口座開設のハードルも高いです。

DBSの魅力は、口座運用が全てアプリ上でデジタル化されており、口座開設後は一般的な機能は支店に行かなくとも、全て手元で完結します。問い合わせなどは全てチャットで対応され、国内外の口座への送金やクレジットカード・ローンの申請なども容易です。国内の銀行同士であれば、送金にかかる手数料は無料で、海外送金の手数料も他と比べて断然安価です。さらに利息は毎月0.05%~3.8%(2019年11月時点参照: https://www.dbs.com.sg/personal/deposits/bank-earn/multiplier)と高く、それとは別にキャッシュカード兼デビットカードの利用額に応じて毎月3%キャッシュバック(20$の上限値)を受けられます。

さらに私が重宝しているのがマルチマネー口座で、アプリから数秒で申請して開設ができ、世界中の12の主要通貨にも対応しています。主要口座から自分のマルチマネー口座に好きな通貨で比較的良いレートで換金します(例えばSGD1,000をJPY79,090に換金します。この日のレートは1 SGD=79.09 JPYでした)。日本で生活する際に、そのままDBSのマルチマネー口座のデビットカードを使って、日本円で支払いができます。口座から引き落とされた記録は即座に反映されます。

もちろん、まだまだ様々な資金運用があると思いますが、口座開設直後から利用できるスタンダードな機能を主にご説明しました。日本のように預金しても増えないどころか、ATM引き出しや送金の手数料、最近は預金の手数料などがかかることを考えると、ずいぶんと銀行の印象にも差がありますよね。

 

3. クレジットカードのキャッシュバック率

次に決済のデジタル化の一環として、クレジットカードによるキャッシュバック還元率が高いことについても触れておきたいと思います。前提として現地のクレジットカードを所有するためには、当然ですが審査があるため、現地の住所や雇用先の情報、年収、現地口座や就労ビザなどの身分証明書等の情報は必要となってきます。作成タイミングは、通常は支払い用に現地に銀行口座を開設した後になることが多く、銀行によっては口座開設後にクレジットカードが作成できる期間が定められている場合がありますので、確認しましょう。

次に、年度に応じてお得なクレジットカードの特典を比較するサイトなどが数多くあります。例えば、こちらのサイト(https://blog.moneysmart.sg/credit-cards/best-cashback-credit-cards-singapore-review/)などです。基本的にはライフスタイルやカードの用途に応じて、最適なカードを選ぶことになります。日本のクレジットカードは、商品やサービスに変換できるポイントやマイル還元を取っているところが多い印象ですが、シンガポールではキャッシュバックやキャッシュリベート(現金の払い戻し)が主流である点が特徴的です。基本的にはどのカードも年会費が100ドル以上はかかるのですが、還元額がそれ以上になるので、キャッシュレス化が進んでいます。例えば、私が利用しているカードの1つに、シティバンクのキャッシュバックカード(Citi Cash Back Card:https://www.citibank.com.sg/gcb/credit_cards/dividend-card.htm?icid=SGCCUSUENCRCRCAFM)があります。毎月最低利用金額(888 SGD)を満たせば、カテゴリーごとに毎月25SGDまで8%のキャッシュバックを受けることができます。クレジットカードや銀行のキャッシュバックや利息と合わせると、毎月平均で70-80 SGDくらいのキャッシュバックを受けられます。

 

4. キャッシュレス化が進む社会的背景

キャッシュレス化が進む背景には、これまでご紹介した通りの還元率の高さが最大の理由であると思いますが、その他にキャッシュレスの利便性としてVisaのpayWaveやNETS (Network for Electronic Transfers)、EZ-Linkなどのシームレスで端末非接触(タッチ)式決済方法の普及や公共交通機関や商業施設などの決済の統合化による貢献も大きいです。また、支出情報がデジタル化されているために即時に反映され、スマートフォンのアプリからカテゴリー別に、ユーザーが管理・分析できる点も魅力です。国際的な個人事業を効率的に運用する上でも、こうした国内外に資金繰りのしやすい、デジタル化された金融基盤は重要に思えます。今後日本においてもキャッシュレス化が進む上での比較対象として、シンガポールはこのままキャッシュレス先導国であり続けるでしょう。

日本の川育ち。海を越えシンガポールに渡りました。

日本の川育ち。海を越えシンガポールに渡りました。

ICONIC

東南アジアにいながら、実は南アジアが専門。日本の低気圧が苦手で、常夏のシンガポールでは何故か活力がみなぎる。小籠包とJolliebeeを愛する外資系ウーマン。日本に残るサラリーマンの夫を連れてくるため、戦略検討中。

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