ベトナム料理と言えば、フォーやバインセオや生春巻き。生野菜と一緒に食べるからヘルシーで美味しく、バラエティーが豊か。国土が南北で細長いため地方によって味に様々な個性があるのが特徴です。また、ヌックマムという日本でいう「醤油」並みに料理に欠かせない調味料が存在する、それがベトナム料理!
…なんて言われていますが、もう少し詳しく知りたい方必見!この記事では、「そうなんだ!」と思えるベトナム料理の特徴をまとめました。
●自由自在に形を変えるお米・米粉料理
●鮮度が命のベトナム料理
●北部、中部、南部で好まれる味
それでは、知られざるベトナム料理の世界をのぞいてみましょう。
1 ベトナム料理とは、「自由自在に変化するお米料理」
結論から言うと、ベトナム料理とは「お米料理」です。ベトナム料理として代表的なフォー、バインセオ、生春巻き、このすべてにお米が使われています。
米・米粉料理はベトナム料理として独自の地位を確立していて、形を変えて毎日食卓に上ります。ベトナム人にとって米は、生きる上で欠かせない、何にも代えがたい主食であることが、料理のバラエティーの豊富さからわかります。
理由:東南アジアNo.1の米生産国「ベトナム」
農業国ベトナムは、2019年度米の生産量が東南アジア第一位になりました。米の生産量は4340万トンで同じ東南アジア諸国であるタイの約2倍、インドの1.5倍生産しています。(ちなみに、日本の約5.6倍:770万トン)。
生産地は、北部紅河エリアと南部メコン川エリアの2か所。ベトナムの北部と南部の気候の違いにより、北部では二期作、南部では三期作で、1年に同じ畑で3回もお米が収穫できる南部の方が生産量が圧倒的に多いです(ちなみに、日本は九州などの温暖地方を除いて1期作が主流)
お米が沢山取れるので、米製品の製造技術も優れ、ベトナム人は様々なお米の食べ方を知っています。
https://vov.vn/kinh-te/nang-suat-lua-cua-viet-nam-cao-nhat-dong-nam-a-1023488.vov(ベトナム語)
2 バラエティー豊富なベトナムのお米・米粉料理
お米のまま食べる、麺にする、粉にする、乾燥させる、丸くする、薄くする・・・・など、自由自在に変化するベトナムのお米。今回は3つのタイプに分けました。なお、米粉系は、種類が多いため更に3つに分けてあります。
●【麺 系】ベトナム料理
●【米粉系】ベトナム料理
-焼き物
-ライスペーパー
-蒸し物
2-1【ご飯系】ベトナム料理
白飯を代表に、お米の形そのままのタイプです。比較的イメージしやすく、同じように食べる日本料理もあります。
- 白飯
- チャーハン
- おこわ
- お粥
- COM TAM
- バインテット・バインチュン
おすすめ:COM TAM
お米が飲める感覚のさらさらご飯のCOM TAM。その秘密は、1粒が半分程度に砕かれた、クスクスみたいな状態だから。ワンプレートには
- 焼きヒレカツ(各店舗特製タレ漬け置き後、炭火焼き)
- 炒め豚皮
- 卵とひき肉の蒸し焼き
- なます
- トマトときゅうりの輪切り
が、豪快にのっています。大抵汁物もついてきて、約35000~50000ドンくらいです。
2-2【麺 類】ベトナム料理
フォーを代表に、ベトナム料理の麺類は種類に富んでいて、朝ごはんとしても一般的です。なお、米粉麺は、「こし、つるっ、もちっ」とした食感がなく、ぷつっと切れるタイプです。
【麺の種類】 | 【特徴】 |
PHO | フォー:平らに伸ばしたきしめんのような麺 |
HU TIEU | フーティウ:春雨のように細い米粉麺 |
BANH CANH | バンカン:タピオカ粉と米粉を混ぜた、ぷりぷり食感の麺 |
MI QUANG | ミークアン:フォーよりちょっと厚みがあるきしめんのような麺 |
NUI GAO | ヌイガオ:米粉でできたマカロニ |
BUN | ブン:そうめんのような太さでぷつっと切れやすい米粉麺 |
おすすめ:BUN
実は、BUNはPHOより食されている(であろう)麺の一つで、どんなトッピングやスープにもあいます。以下、BUNを使った料理一覧を
- スープありのBUN料理
- スープなしのBUN料理
に分けて、地方別名物も明記してご紹介!(ちなみに、ホーチミン市ではすべて食べることができます!)
BUN BO HUE:中部名物/豚骨スープ
BUN RIEU:カニみそベース
BUN NUOC LEO:南部名物/海老トッピング
BUN MOC:すり身
BUN THAI:タイ風の味
BUN MAM:南部名物/発酵調味料
BUN MANG VIT:アヒル肉トッピング
BUN CA:川魚トッピング
BUN THANG:北部名物
BUN THIT NUONG:南部名物/BUNの上に焼き肉をトッピング
BUN CHA GIO:北部名物/つくねと野菜を一緒に食べる
BUN DAU MAM TOM:北部名物
GOI CUON:南部名物/生春巻き
2-3【米粉/粉もの】ベトナム料理
言われなければお米だと気づかないかもしれない米粉料理。米粉は、蒸すと「もっちり、とぅるん」としてまた違う食感が楽しめます。米粉のベトナム料理は、ものすごく種類が多いので、ここでは、3グループに分けてご紹介します。気になるものがあったら、料理名をコピペしてググって写真をチェック!
- 蒸し物
- 焼き物
- ライスペーパー
・BANH CUON
・BANH BOT LOC
・BANH NAM
・BANH IT TRAN
・BANH BEO
・BANH XEO
・BANH KHOT
・BOT CHIEN
・生春巻き
・揚げ春巻き
・おせんべい
・BANH TRAN TRONG
・BANH TRAN NUONG
おすすめ:BANH TRAN TRONG
Banh TRAN TRONGは若者に人気のおやつです。専門店というより、道端で売っている軽食です。
- 干しえび
- 干し牛肉
- 干しイカ
- マンゴー
- 香草
- ウズラの卵
- ピーナッツ
- ニンニクフレーク
- 特製タレ
- 唐辛子
- レモン等
を混ぜて食べます。その他、ライスペーパーは、茹でた豚肉、揚げた魚、野菜、BUNと一緒に手巻きずしのように巻いて食べるのが主流ですが、塩をつけてそのまま食べたりと小腹を満たしたい時もOK。
3 ベトナム料理とは「鮮度と素材の味を贅沢に楽しめる料理」
ベトナム料理はお米料理である‥‥そう宣言しましたが、お米料理だけではありません。もう一つの特徴と言えば、「鮮度と素材を十分に味わえる料理」でしょう。その理由は、身近な市場の存在があります。
3-1【鮮度】採れたては当たり前!市場の存在
ベトナムでは、都市部はもちろん地方にも、至る所に大小の市場が点在しています。市場に行けば、新鮮な食材がお手頃な価格で手に入ります。生きた海老や魚などを目の前でさばいてもらうのは当たり前。もちろん下処理は、無料です。毎日鮮度のいい食材が手に入る、そんな贅沢な環境なので、おかずの作り置きをほとんどしないのもベトナムの料理の特徴でしょう。
3-2【素材】シンプルな調理法で味わう
代表的なのが、炭火焼き。日本で炭火焼きは高級なイメージですが、ベトナム、特に南部ではいたって普通。雨が降っても、開閉式の屋根を広げて、外で焼きます。肉や魚介類を焼いたり、フォーなどのスープを長時間火かけ続けたり、エコで、節約できて、さらにおいしくなる素晴らしい調理法です。他には、
- 下味をつける
- 素揚げする
- 巻いて食べる
- 蒸す
- 煮る
- 炒める等
シンプルな調理法が多いです。
しかし、豚骨スープを炭火にかけ半日煮込む、薬味のみじん切りや、野菜の下処理、漬け置き時間が長いなど、ベトナム料理では準備に手間暇をかけています。
3-3【楽しむ】地方によって好まれる味
●中部は辛い【唐辛子】
●南部は甘酸っぱい【砂糖レモンココナッツ】
南部メコンデルタ地方では、カインチュアというタマリンドで味付けしたさわやかな酸味の川魚のスープが代表できで、甘酸っぱいのが特徴です。
4 まとめ
●ごはん系、麺系、米粉系3つに分けられる
●米粉系は焼き物、蒸し物、ライスペーパーの3分類
●鮮度と素材の味を楽しむシンプルな調理法が好まれる
●北部はしょっぱい、中部は辛い、南部は甘酸っぱい
その他、日本人料理研究家によると「ベトナム料理は五味五彩二香である」としています。ベトナムではそのような定義はないようですが、興味深い考え方です。
この記事が、ベトナム料理好きの方のお役に立てたら嬉しいです。ここで紹介したベトナム料理は、ごく一部です!奥が深いベトナムのお米・米粉料理!ぜひ本場のベトナム料理を味わいに来てくださいね。