【ベトナム進出日系企業トップ×ICONIC】 ベトナムでは、どんな人材が求められているのか、「INTERFOOD SHAREHOLDING COMPANY Chairman – Genneral Director 山崎様」にお話をおうかがいしました。
ローカルブランドを日本の技術でどう再生するか
安倉:本日はお時間をいただき、ありがとうございます。早速ですが、まず貴社の事業展開の話からお聞かせいただけますか?
山崎:こちらこそ、ありがとうございます。インターフード社といっても、日本の皆さんには馴染みがないかと思いますが、キリンホールディングス社が約96%の株式を所有するベトナムにおける飲料事業の会社です。
ベトナムにおいては、もともと日本のキリンビバレッジ社がベトナムでビジネスパートナーと組み合弁会社を設立しました。キリンの技術力を活かした工場を建設して、ビジネスを開始しました。
一方でタイでは、工場を持たずに、小さいマーケティングカンパニーのような会社を作り、製造も外部委託、チャネルも外部に出して展開しました。それぞれの国の市場特性に合わせて、ベトナムでは「インフラが無いので、工場を建てるところから始める」、タイでは「モダントレードが発達しているので、コンパクトに会社を作って立ち上げる」というように2つの形式を試すかたちで東南アジアでビジネスを始めました。
この動きとは別で、親会社のキリンホールディングスの提携戦略チームがベトナム事業の更なる拡大のために、提携先を模索しはじめて、インターフード社が候補に挙がってきたんです。当時、ビジネスパートナーとの合弁を解消し、ベトナムキリンビバレッジ社単独で商品を販売していたのですが、どうもいまひとつ売れず。
安倉:マーケットシェアが思うように拡がっていかなかったと。
山崎:はい。販売チャネルを拡大できませんでした。インターフード社買収の狙いはブランドというよりも販売チャネルの拡充です。このチャネルを使って、ベトナムキリンビバレッジ社の商品を拡売しようという考えです。
安倉:やはりベトナムではモダントレード(近代小売)が発達していないので、一般小売店まで届く販売チャネルの獲得が重要と考えてのことでしょうか?
山崎:そうですね。キリンブランドのペットボトルのような先進的な商品を販促しようと思っても、それを売れるモダントレードの市場の10%も無いので「キリンの商品をジェネラルトレード(一般流通)にどうやって流すか」という課題と、逆に「ジェネラルトレードに強い商品が無いとやっぱり成り立たない」という両面がありましたね。
安倉:私がベトナムに住んでいて受ける印象ですが、今はまだそこまでキリンさんも広告投下はされてないですよね?様子を見ている段階でしょうか。
山崎:はい。だいたい飲料のユーザーベースで、ワンダーファームは80%くらい認知がありますが、キリンはまだ20%いっていないぐらいのレベルなので。ホーチミンやハノイといった都市部に限るともっと知られているのですが、全国区になるとそうもいかない。
※ベトナムで人気の冬瓜茶(ベトナム読みで、チャビダオ)。
安倉:どちらも戦略的に商品を販売していくと考えていらっしゃるんですね。
山崎:そうですね。今後は2つのテーマがあります。まず、ワンダーファームの商品自体は徐々に老齢化してきているんです。缶だとやっぱり若い人達の受け入れがいまひとつ悪い。昔から飲まれ続けているから、今ユーザーは30代40代が中心。この現代化というのが1つ。
冬瓜茶だとかツバメの巣などの商品は、時間が経って古いものとして認識されていますが、ニーズとしては不変的なもの。例えば冬瓜茶なんてベトナム人にとっては体を冷やす効能を持った飲み物として非常に一般的なんです。若い人達にも需要が高いので、それをどうやってブランディングしていくかというのがもう1つのテーマです。
現代化させるというのはイメージもありますが、効能だとか機能だとかそういうところでも若い世代に受け入れてもらわなければならないので、そこにキリンの技術が活かせるだろうと考えています。「ローカルのブランドを日本の技術でどのように再生できるのか」はミッションですね。
安倉:キリンさんのメインの商品となるのは、午後の紅茶とIce+(アイスプラス)の2つでしょうか?
山崎:Ice+(アイスプラス)、Latte(ラテ)というミルク系、そしてTea Break(午後の紅茶)ですね。
安倉:3本立てなんですね。まずはもっと認知をはかっていくのでしょうか?
山崎:そうですね。今は“キーアカウント”と呼んでいるのですが、学校だとか工場だとか、そういうまとまった食堂があるところを切り口としてターゲットにしています。
安倉:それは給食みたいな感じなんですか?
山崎:いえ、工場とかって業者が入っているじゃないですか。そういうところと交渉をするとその冷蔵庫の取り扱いが取れるんです。学校にもキャンティという売店があります。
安倉:なるほど。では、そこに商品が入った冷蔵庫を置かせていただいて。
山崎:仰るとおりです。
安倉:結構地道なマーケティングですよね。テレビCMとかもまだ、やっていないですよね。
山崎:全然やっていないですね。事業のインフラの規模をもっと大きくしていかないと。まだ投資のレベルには至っていないです。
過渡期だからこそ、マネジメントは地道に、細かく
安倉:ベトナムで始められてから5、6年くらいかと思いますが、社員さんは何名くらいいらっしゃるんですか?
山崎:全体で1400名います。営業で約900名、工場で400名、本社で100名くらいですかね。日本人は全部で17名。多いですよね。
安倉:日本人の皆さんは、日本のキリンさんからいらした駐在の方ですよね。
山崎:そうですね。1人現地採用の人間がいますけどね。
安倉:現地採用の方は何をされているんですか?
山崎:今は、ハノイの副支店長をやっています。
安倉:マネジメントですか。飲料メーカーさんでのご経験のある方なんですか?
山崎:いや、うちの前はありません。
安倉:なぜその方を採用しようと思ったのですか?
山崎:私がこちらに来る前ですが、合弁会社の時にハノイに支店を作ったので、日本人で現地のことがわかる人がやっぱりほしいということで採用となりました。
安倉:営業系ということですね。
山崎:営業です。実績を残してきて、今は副支店長になりました。今、日本人は16人と多く、会社の各機能に日本人がいるのですが、現地化を進めていく予定です。特に営業については、誰に聞いてもローカルにトップをやらせたほうがいいというのが基本なので。
安倉:私の感覚では、営業力があるベトナム人の方は結構少ない印象もあります。ただ御社の商品はベトナム人が売るというのが基本ですよね。ベトナム人の営業の数字へのコミットについては、どう見られてますか?
山崎:難しいですよね。多分、モチベーションの問題だと思うんですよね。他の部門でマネージャークラスになる人間って、それなりに専門性を持っている自負もあるので、結構プライドも高いんです。ところが営業は、販売の箱数を伸ばすということが目的になってしまって組織知になるようなノウハウというよりは、自分のコネで売ることが多いです。いけそうもないと思ったらやめてしまうし。なので、日本人がフルでついて営業も見てます。これはあくまでマネジメントをきちっとまわせるようにするための過渡期として厚めにやっていますが、ゆくゆくはベトナム人でまわすべきだと思っています。
安倉:KPIを設定したり、何件回ったという管理表を作ったり。そういうことを日本人の方が担当されていると。
山崎:ノートを作ってチェックしてね。
安倉:結構地道ですよね、営業マネージャーの仕事は。
山崎:今はマネジメントをきちんとしていこうということで業務負荷は増えていますが、最終的にはどれだけ単純化できるかだと思っています。今は売りやすい商品だとか、プロモーションかけやすいとか、そういう商品ばかりにいってしまう。なので、どれだけ収益性を営業マネージャーのインセンティブにできるかということが重要です。
今年からは、ブランド損益というのもありますがエリアの損益を見ることで、マネージャーには、箱数ではあるけれど、どれだけ効率よくやれたかというのを成績に反映させようと考えています。今はたくさん売ることしか考えていないので、販促の管理に使用するコード入力とかも正確ではなくて。年間集計してみると、用途はよくわからないけど、箱数の多い人が勝ちになってしまっている。正確に管理するようにして、エリアセールスマネージャー単位で「どれだけ販促コードを使って、どれだけ売った」ということを可視化しようとしています。
安倉:ブラックボックス化しやすいんですね、各営業が。
山崎:しやすいですね。ディストリビューター(=販売代理店)マネジメントシステムを入れたり、GPSで営業活動の管理をしていくのもいいと考えています。各社さん色々されているかと思いますが、私は、モチベーションで、お金を使わずに売ったら勝ちというようにマインドが変わったら劇的に変わるんじゃないかと思っています。
安倉:現状としては、結構お金はかかりますか?
山崎:使っています。
安倉:具体的にはどういった費用になりますか?
山崎:やっぱりプロモーションですよね。1ケース買ったら1本つけるとか、そういうプロモーションをしたり。
安倉:ディストリビューターさんにつけるわけですね。
山崎:そうそう。自分で工夫して、シンプルに売れと。そういう工夫をさせたらすごく強いんじゃないかなと思うんです。
安倉:何箱売ったらいい、じゃなくて。
山崎:いかにセーブできるか。
安倉:セーブして収益性を見る、というふうに評価基準を変えていきたということですね。ディストリビューターさんは毎日顔を合わせるわけではなく、ひたすら売るだけですもんね。評価基準をいかにシンプルにするか。それで変わっていきそうですね。
山崎:できるかどうかですよね。
安倉:物に依存する営業は、なかなか営業の工夫のしどころが難しいですね。
山崎:そうなんですよね。もっと色々トレーニングして、商品の良さだとか、トークでこういうことをいうとかできればいいんですけどね。
安倉:「新商品が出たから、入れたほうがお客様も喜びますよ」とか「割引じゃなくて、これが売れたほうが御社は儲かりますよ」とか、そういうちょっとコンサルっぽいような話ができたらですよね。
“強烈に保守的”ベトナムの消費者心理
安倉:ベトナムに来られる前はシンガポールにいらっしゃったとお聞きしましたが、ベトナムに来られていかがですか?シンガポールのマーケティングではどのようなことをされていたのでしょうか?
山崎:シンガポール国内は事業をやっていませんでした。ベトナムのように事業をやっているところのマーケティング活動と消費者ニーズの調査など、そういう提案をしていました。
安倉:シンガポールにいながら各地のマーケット感は結構わかりますか?国が違うと難しいでしょうか?
山崎:違いますね。ただ利点は、比較できるということです。やっぱり物事の判断基準として相対性って大きいじゃないですか。消費者というものを考えた時に、我々は日本人なのでベトナム人の絶対的な文化的背景とかはわからないんですよ。そういう時には相対的に見るしかない。隣国のタイ、マレーシアなどと比較することが我々日本人というか外国人にとっては尺度となるし、それを持ってるほうが強いと思うんですよね。
安倉:その比較の中で、ベトナムはどのようにに見えていましたか?
山崎:猛烈に保守的です。
安倉:新しい商品に対して。
山崎:ええ、驚くほど。カテゴリーの発展にも反映していますが、やっぱりタイやフィリピンは進んでいます。シンガポールはもういうまでもなく。例えば、飲料なら飲料の機能に対する理解度だとか興味度だとかのレベルが全然違うんですよね。
安倉:機能というのは?
山崎:タイ、フィリピン、シンガポールは桁外れとして、インドネシアと比べてみても、アイソトニック飲料だとか、カフェインが入ったらどんな利点があってどんな弊害があるとか、お茶の茶葉の違いや“緑茶”といっても総称であってタイプが違うものがあるとか。その辺のことを、一般消費者の層でも、なんとなく知ってるんですよね。これがベトナムになるとなかなか浸透していない。
街を歩いていると気づくと思いますが、乳製品なんかはやたら機能について書いてある。「よくわからないけど、いっぱい書いてるからすごく効きそう!」みたいな感覚のようです。
ベトナムって、新しいカテゴリーで“ミルク&フルーツ”とか“エナジーコーラ”とかそういう組み合わせの言葉に対する、受容度ってものすごく低いんですよね。カテゴリーが伸びる時って、いわゆる業際(ぎょうさい)と言われる以前のカテゴリーとカテゴリーにまたがって、新しいカテゴリーができた、という発展があるんですが、ベトナムではそうはいかない。
典型的なのが、アイソトニックなんですよね。あれだけ宣伝しているのに、ボリューム的には全然売れない。飲み物としての需要はあるのですが、あまり理解されていないんです。
安倉:“新しいカテゴリー”という認識に変わらないということですね。
山崎:「水の成分に近いけど、浸透圧が合ってて水よりいいよ!」といわれても、なんだかよくわからない。そういう新しいカテゴリーの発展がものすごく緩やかなんです。タイなんかは対極で「何月何日発売!」っていうと全国のコンビニに並んで、ヘタすると2週間くらいでいなくなっちゃうんです。
安倉:売り切っちゃう。
山崎:売切れればいいんですけど、棚落ちしていっちゃう。
安倉:商品が多すぎて!タイはそんなに商品数が多いんですか?
山崎:多いです。新商品の数が違います。日本はキリンだけで年間150SKUくらい出ますから、全飲料合わせると2000くらい。タイは600とか700。ベトナムになると、20とか30とかそのくらいです。
安倉:年間で新商品がそんなに少ないんですね。
コモディティ化すると、マーケットは伸びない
山崎:実は、値段というのもすごく関係がありまして。日本ではコンビニって高いじゃないですか、一方でスーパーは安い。でも新しいものが出たらまずコンビ二に並ぶ。それをちょっと高いお金を出して買う。やっぱり物って、お金を出して買った物のほうが愛着が沸きやすいんですよ。実は、そういうはまっていく購買のサイクルがあるんです。コンビニで買って気に入ったら、次はスーパーで買い、ブランドができあがっていく。ちなみに、日本のビール業界でも同じことが言えて、ビールのピークって1994年だったんです。
安倉:結構前ですね。
山崎:それ以降はずっと右肩下がり。実は、その翌年の95年は発泡酒ができた年なんです。消費者の意識からすると、安いビールができて今まで高くて買えなかったものが安くなるから、もっと伸びると思いますよね。でも実際は、真逆なんです。コモディティ化して、いつでもどこでも買って安く手に入ると思った途端に、無理して買わなくなっちゃう。嗜好品だったビールが飲料化してしまう。そこに手を出しちゃうとマーケットって伸びないんです。ベトナムのお店で置いてあるのは、物も値段も一緒。コンビニに行こうがスーパーに行こうが、単品で買おうがまとめて買おうが一緒。これってもう習慣化の道しかないんですよね。「わかっているから安心して買える」というのもあるんですけど。こんな感じで、ベトナム人の新しいもの嫌いを痛感しています。
安倉:そんなに新しいもの嫌いなんですね。
山崎:他の国と比べて、断トツですね。「知らないものは悪いもの」みたいな。
安倉:それは国の成熟度も影響してますよね。でもそれだけじゃなく、文化的影響もありますか?
山崎:文化的なものも大きいと思いますね。日本で売れた商品を展開できるか、タイ、ベトナム、インドネシアくらいで消費者調査をやると、タイだとバカ受けでも、ベトナムでは「こんなものは知らない」といって全然ダメ。理由は国民性や文化、教育、色々あると思うんですが、消費の保守性がアジアでも群を抜いて高い。逆に、一度強くなると、強いです。
安倉:ベトナムで一番売れてる飲料って何ですか?
山崎:商品単位では、やっぱりコーラでしょう。あとはお茶ですかね。
安倉:コーラとお茶。なるほど。鉄板ですよね。
留学じゃなく、むしろ仕事の経験をしたほうがいい
安倉:話を変えて、スタッフの方の話をお伺いします。ローカル人材では、どういった人が活躍されてますか?もしくはどういう人を採用したいなと思いますか?
山崎:日系や日本の会社で学びたいという思いがあって来る人は定着率も高く、昇格のスピードも早いです。あとは、マーケティングだとかファイナンスだとか技術だとかのベトナム国内の企業じゃ学べない領域に興味を持って入社する人は、伸びますね。そういう意味で、ほしい人材の採用のためにキリンの名前を使って募集をかけています。ただ、営業はなかなか海外のノウハウってないじゃないですか。マーケティングやファイナンスのようなグローバル基準がなく、現地に根ざした独自性が強い営業の分野でいかに日系企業としての強みを発揮できるか、これは課題です。
安倉:打ち出し方は“日本の企業”。
山崎:ですね。
安倉:最後に、日本人の方について教えてください。基本的に大手企業さんで現地向けのマーケットを展開されている企業さんは、現地化というか日本人を今後減らされると思うんです。とはいってもゼロにはできない中で、どういった人が成果を出すとお考えですか?もしくはどういった人を求めていらっしゃいますか?
山崎:どういった人、という答えになっていないかもしれませんが、日本の企業の駐在員の一番の問題点は、任期が明確ではないことだと思っています。任期を最初に設定して、3年なら3年後のジョブディスクリプションをきちんとタイムラインも決めて「これをいつまでに完成させる。それがミッションだ」というように設定しないと、ずるずるいってしまう。成果を出すために、うちは次からはそれをやろうと思っています。技術員の場合2年、一般は3年という期間を決めて、ミッションを明確に定める。
安倉:決まった期間で必ずやり切る、ということですね。
山崎:全く逆に、アジアスペシャリストとしてずっと継続してやっていくのも1つの手だと思います。海外要員、というよりアジアに特化して。
安倉:韓国系は全部そうですよね。
山崎:そうそう。賢いやり方だと思います。
安倉:よく言われてますよね。韓国系の企業がアジアで成功した理由は、“駐在員”といった仕組みが無いことだと。10年、20年くらい平気でいるので「売り上げをいくらまでにする」というのを目標設定にして全部やり切ってから帰るという感じですよね。
山崎:海外のグローバル企業もそうですよね。任期を決めるというのがキリンの中での1つのソリューションで、対極で、ずっと出たきりで究極はアジア役員みたいなところまでいける制度を作るのも手段の1つとしてあると考えています。
安倉:わかりやすいですね。
山崎:求めている人材としては、若いトレーニーを増やしていきたいです。うちのグループでは、駐在員で来てend to endで企画・意思決定・実行までできるんです。業績のいい大手の会社を買収して、ローカルの仕組みにしていく。それで収益上げる。
人材のトレーニングの場として、こんなにいいところは無いと思うんです。これから駐在員は減らしていきますが、若いトレーニーはどんどん使っていきたい。
安倉:だいたい1年間くらいですか?トレーニーの方は。
山崎:1年半から2年くらいですかね。
安倉:ポジションや職種的には?
山崎:今は営業で1人いますが、そこだけじゃなくて例えばマーケティングでもいい。人材育成ということも加味すると、20代後半や30代くらいで一度そういう経験をして、40歳過ぎて本当のマネージャー職として来る時の糧にしてほしい。外に出た経験があるのと無いのでは全然違うので。私なんかもシンガポールに行ったのが2011年で、入社後22年くらい経った時でした。海外経験は留学で2年アメリカに行っていましたが、次に出たのが45歳ですからね。外に出る時には、留学じゃなくても仕事の経験をしたほうがいいと思うんです。折角ならば。
安倉:留学となると、費用も高いですしね。
山崎:そうですね。それにこれからは欧米じゃなく、アジアですから。こんなに絶好の場があるのだから。
安倉:実地研修したほうがいい。
山崎:そう。しかも現地のメンバーを持って、30代そこそこで例えば8人とかメンバーを持って管理をやれなんて、日本じゃ絶対にありえない。日本だったら50歳近くなっても「部下はまだいません」という人もいるのに。
安倉:日本にいたら経験できないことは多いですよね。
山崎:ですね。ベトナムに来て、国内では味わえない“まくっていかなければならない”経験をぜひしてほしいです。
いつもベトナムに来た意義について考えているのですが、キリンとしてちゃんと利益を出してという前提はありますが、ベトナム人にとっては会社が何をもたらしてくれるのかが重要で。そこに足跡を残したいという思いがやっぱりあります。
もっと大きい会社さんだと、雇用をすごく創出してますよね。巨額の投資も含めて国の発展にも繋がりますから、それは大貢献だと思うんです。
しかし、我々がこの規模で飲料事業をやっていて、何がベトナムに貢献できるかと考えると、医療がまだまだ発達しきっていないという部分もあるので、例えば免疫力向上の飲み物だとか、そういうものを出して少しでも貢献していきたいと考えています。有事の時には利益無しで学校に配ったり。我々だからこそ貢献できることは色々あると考えています。
安倉:素晴らしいお考えですね。本日は貴重なお話をありがとうございました!
山崎:ありがとうございました。
<取材協力先企業>
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■Interviewer
ICONIC Co., Ltd.
代表:安倉 宏明
■Writing
ICONIC Co., Ltd.
桝田 亮