ベトナム・ホーチミンでアメリカ軍が撒いた枯葉剤の後遺症の少年が画家になる夢を追いかける、ドキュメンタリー映画が第88回アカデミー賞の短編ドキュメンタリー部門でノミネートされ、ベトナム国内でも注目されています。
ベトナムを題材にしたアメリカ映画、“Chau, Beyond the Lines”が2016年度のアカデミー賞、短編ドキュメンタリー映画部門にノミネートされました。
映画の内容
ベトナム戦争によってアメリカ軍によって散布された枯葉剤の後遺症を持った主人公が自らの後遺症と戦いながら、画家になるという夢を追いかける短編ドキュメンタリー映画です。
ホーチミンのホアービン村ある、障害者の養護施設「エージェント・オレンジ」にいる後遺症によって手足が不自由になった24歳のレ・ミン・チャウさんが今回の作品の主人公です。この作品は2007年から2014年までの監督自ら7年間彼に密着した作品でもあり、アカデミー賞だけでなく、様々な映画賞を受賞しています。残念ながらアメリカ人監督による映画で日本語版は現在ありませんが、ベトナム国内でもアカデミー賞にノミネートされたということで、この映画も注目されています。(↓映画予告)
後遺症を乗り越えながらも画家を目指すチャウさん
今、彼は10区のレーホングーフォン通りに小さい家に住んでいます。彼が住んでいる家はギャラリーでもあります。その部屋は至ってシンプルで書き終わった絵と美術用品ばかりがあります。全ての道具は彼が自分で買いました。養護施設の人には彼の障害を見て絵師になる夢は叶わないやホアービン村を出るときに多くの人が無理な夢だからあきらめたほうがよいと反対もありながらも、チャウさんは周りの人の聞く耳も持たず、自分の夢のために向かって、毎日毎日絵を描き奮闘しています。絵を描くどころが毎日の普段の生活さえも彼自身の後遺症によって苦労しています。ちゃうさんは不自由な足の代わりに膝で移動しています。筆は手で持たずに、口にくわえて絵を描きます。器用に口で書く彼の絵は繊細なタッチで描かれており、ホーチミン国内だけでなくベトナムのコンテストでも表彰されています。
レ・ミン・チャウさんは「9歳の時にホアービン村で画家に出会い、その画家から絵をもらいました。彼はその画家の影響で、絵に打ち込み始め、自分自身で作品を作りたいと思ったのが画家になろうと思ったきっかけです。それから、絵の勉強に熱中し始めました。私はどこでも、いつでも描いています。夜中に寝ている間でもアイデアが突然思い浮かんで起き、描き始めたら気づいたら朝だったこともあります。」だと話しているそうです。
生活にかかわることは全て自分でやる
彼は移動も困難で、物を持つことでさえままならないにも関わらず、彼は人の手を借りるのを嫌がり、自分でできるように努力します。暇な時間は、友達と映画を見に行ったり、ご飯に行って、会話をするように普通の人と変わらない生活をしています。昔は施設にいる人たちと一緒にサッカーを遊びました。チャウさんは英語と日本語を流暢に話せます。現在、彼は7区で違う国籍の6歳から12歳までの子供達に絵を教えるクラスを開きました。生徒達に英語でも絵を教えているそうです。