日本と言えば「桜の国」。ベトナムでも多くの人がそのようにイメージします。
では、ベトナムと言えば何の国?日本のみなさんは何をイメージしますか?
ベトナムの国花は蓮(ハス)で、ベトナムといえばロータスを思い浮かべる方もいると思います。そしてどの国も国花を決めるときは、いろいろな理由を考えて決定しますよね。
今回は、ベトナム人が蓮の花を好む理由や、蓮の花が私達ベトナム人にもたらす効果などについてお伝えします。
すべてが清らか。「清楚な花」の象徴である蓮の花
まずは、蓮の見た目とそのイメージについて。
蓮の花は沢の水から生えてきて、沼の中で育ち、ピンク色の綺麗な花が咲きます。別名「宇宙の花」と呼ばれています。その美しい見た目からベトナムの象徴的な存在として扱われており、ベトナム航空のロゴにもロータスマークが使用されている他、建築物や芸能関係でも用いられます。
蓮には周辺環境を変える力があり、どこで生えても周りの水が浄化されると言われています。花はふわっとした優しい香りで、「農民は沼に近づいても、泥匂いを嗅がなくて済む」と言われるくらい、清潔な印象があります。花びらの先端はバラのように濃い色で、根本は白く、きれいなグラデーションをしています。
また、蓮は仏教の花とされ、輪廻を象徴しています。蓮の花には過去・現在・未来のすべてがあるからです。花が咲き、そして枯れてることは過去を象徴し、真ん中の大きなめしべは現在を象徴し、めしべの中にある種は未来を象徴しています。仏教では、蓮は純潔と美しい勧善懲悪(善を勧め、悪を懲らしめる)を象徴する花とされています。
根・茎・葉・花びら・種…そのすべてを使い切れる蓮の花
次に、蓮の花の面白さについて紹介したいと思います。
きれいな花という印象の蓮ですが、実はすべての部分を使うことができます。
蓮の根はレンコンみたいな味
泥から生える蓮の花は、晩の露と朝の日差しを迎えて、すくすくと育ちます。幹は柔らかくて粘り気があり、レンコンのような食材として扱われます。ベトナムでは貴重な食材とされ少し高価ですが、美味しくて栄養があります。豚骨や鶏肉と一緒に茹でて食べます。
引用:https://cungcau.vn/mon-ngon-moi-ngay-cach-nau-mon-cu-sen-ham-duoi-heo-d178612.html
蓮の茎は料理に入れる
蓮の茎も食用として使われます。長さは50~60cmくらいで、断面は丸く、細長くて白い珍しい食べ物です。これも美味しいです。
引用:https://baomoi.com/cach-lam-3-mon-tuyet-ngon-tu-ngo-sen-dang-vao-mua/c/27952788.epi
蓮の葉で料理を包むと美味しくなる
新鮮な蓮の葉は、おこわやチャーハンを包むのに使われます。蓮の葉で包むと、食べ物の味・香り・食感が閉じ込められて、より一層美味しくなります。
引用:http://www.monngon-queviet.com/-doc-dao-mon-com-la-sen-xu-hue.html
蓮の花は名物のハス茶に
蓮の花びらは料理を飾るのに使われますし、名物のハス茶にも使われます。
引用:http://dongphultd.com/1056/van-hoa-thuong-tra-cua-nguoi-viet.aspx
蓮の実は定番おやつ
蓮の実はいろいろな料理に役立ちます。生だと柔らかくて、体を冷ましてくれる効果があります。チェー(ベトナム風ぜんざい)に入れても、砂糖漬けにしておやつにしても、飲み物に入れても良いんです。
引用:http://lambanh365.com/cach-lam/cach-nau-che-hat-sen-thanh-mat-cuc-de-lam/
蓮の種は万能薬として
蓮の種の芯は苦くても、乾燥させるとお年寄りによく効く鎮静剤になります。
蓮の中心にあるめしべの中から種を取り出し、乾燥させると良く利く薬にもなります。
このように、蓮はベトナム人の生活に大変役立ちます。ひとつも無駄がなく、そんなところがベトナムの国花に値します。世界から見ても、蓮の花のように高貴な存在で特質がある花は、とても珍しいでしょう。