【スペシャルインタビュー】ベトナム急成長ベンチャー! Ticketbox CEO/Mike Tran氏

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Ticketbox インタビュー

 
発展を続けるベトナムのIT業界で、特に今注目のベンチャー企業があります。

それが、Ticketbox(チケットボックス)です。

Ticketboxとは、オンラインでコンサートやイベントのチケットの売買ができるWEBサービス。
2013年にMike Tran氏が創業し、急成長を続けており、ベトナムでチケットを購入する人で知らない人はいないほど、有名なサイトです。

2016年には、米VCの500 StartupsからシリーズAの資金調達を行い、東南アジアで有数のアワードである「The ASEAN Rice Bowl Startup Awards 2016」では、”Start-up of the year” に輝きました。

また、海外展開も積極的で、2013年ベトナムでの創業後、2015年タイ、2016年シンガポールと驚異的なスピードで海外展開を進めています。

 
今回はTicketbox CEOのMike Tran氏に独占インタビューをさせていただき、故郷ベトナムで起業したきっかけ、ベトナムのエンターテイメントの可能性、海外への事業展開で気を付けるべき点など、ベトナム急成長スタートアップの知られざる秘密に迫りました。

ぜひ一読ください。

 
(過去記事)ベトナムのスタートアップの王者、「Ticketbox」の成功の秘訣

 


カナダに出て気がついた、ベトナムで起業することの魅力

 
―本日はお忙しい中お時間をいただき、誠にありがとうございます。
早速ではありますが、Ticketboxのサービスの概要と、MikeさんがTicketboxを起業したきっかけを教えていただけますか。

 
Ticketbox インタビュー
 

Ticketboxはコンサートやショー、イベントのチケットをオンラインで簡単に売買できるサービスです。

ユーザーは、WEBサイトもしくはアプリケーション上でチケットのオーダーを簡単にできます。
そして、クレジットカードや銀行送金、またチケットカウンターでの購入、チケットのデリバリーで支払いが可能です。
 

逆にイベントの主催者(オーガナイザー)は、オンライン上でイベントを簡単に作成することができます。

ユーザーとのお金のやり取りやプロモーションは、Ticketboxが代行します。
起業については、学生時代の専攻がコンピュータで、ITには昔から興味があり、いつかオンラインサービスを運営する会社を立ち上げたいと考えていました。ただ、当時はカナダに住んでおり、浮かんだアイデアはカナダでほぼ事業化されていたので、実現することは難しかったですね。

 
具体的に起業を決断したのは、数年間カナダで働き、ベトナムに一時帰国したときのことです。

もともと音楽がとても好きだったこともあり、その一時帰国の際に、ベトナムでコンサートを観に行こうとしました。
ところが、イベントのチケットは実店舗でしか買うことができないことを知り非常に衝撃を受けたんです。カナダで生活していた私にとって、オンラインでチケットを買うことは当たり前になっていたので。

まだ成熟していないベトナムのオンラインサービスに驚き、不便を感じたのと同時に、「このアイデアだったら勝負できる(起業して成功を目指せる)かもしれない!」そう感じました。

実際に決断するまでには、いろいろと悩みましたけどね(笑)

そして、最終的に2013年、Ticketboxをベトナムの地でスタートさせました。

 
Ticketboxの受賞の数々
 

起業に際しては悩みましたが、勝負できるアイデアと幸運に巡り会えたこと、そして数か月の滞在で“ベトナム”というマーケットの魅力を感じたことが、私の決断を揺るぎないものへと変えました。

 
ベトナムの産業はまだまだ発展の途中にありますが、海外から新しいビジネスが続々と入り、多くのビジネスチャンスが広がっています。本当にベトナムは魅力的なマーケットだと感じています。

 
 

誰でも簡単にチケット予約ができる「Ticketbox」

 
―どのような方々がTicketboxを利用されていますか。

10代から20代後半の方々が私たちのコアユーザーで、次の層が30代から40代のお客様ですね。
年齢の若い方たちは、オンラインサービスに何ら抵抗がないので、問題なくWEBサイト上で予約(オンラインブッキング)をしてくれます。

一方で、まだ実店舗に行ってチケットを購入する世代も多くいます。テクノロジーに親しみを持っていない層です。

たとえば、私たちは「Disney ON ICE」のチケットを毎年取り扱っています。こちらのショーのメインターゲットは、ファミリー層です。
「Disney ON ICE」のチケットを購入してくださる30代から40代の親世代の方々、もしくはそれよりも上の世代の中には、まだまだインターネット上でチケットを購入することに抵抗を感じていらっしゃる方もいます。そのため、チケットの電話予約やオフィスでのチケット受け取りのオプションもご用意しています。

 
Ticketbox 店舗
 

その他にTicketboxは多くの外国人の方々にもご利用いただいています。

現在、ユーザー全体の内訳としては85%がベトナム人のお客様、残りの15%が外国人のお客様となっています。
現時点でも、多くの外国人ユーザーにご利用いただいていますが、今後は更に多くの皆さんに使っていただきたいですね。

そのためには、Ticketboxは日本人や韓国人、その他国籍の方々にマッチしたイベントを準備していくことが不可欠です。

 
 

最高のイベントこそが、最高のコンテンツ

 
―Ticketboxのビジネスにとって大事なことは何でしょうか。

利便性、価格、そして何より最も重要なものは、コンテンツです。

まず、ユーザーがどれだけ簡単にチケットを予約できるかを大事にしています。
具体的には、週末などの余暇時間に、いかに気軽にTicketboxのWEBサイトを訪れていただき、チケットを購入していただけるかを追求しています。

もちろん、チケットの価格も大切。基本的にはオフィシャルプライスで販売していますが、定期的にディスカウントも行っています。

そして、私たちのビジネスで一番大事なのは、「コンテンツ」です。私たちにとってのコンテンツはイベント、ショー、コンサート。ユーザーは魅力あるイベントを探しにTicketboxのサイトを訪れてくれているわけですから。

有名なアーティストのコンサートや魅力的なイベントをTicketboxで準備できれば、これらが最高のコンテンツになります。
 

arianagrande ticketbox
 
thechainsmokers ticketbox
 

ユーザーにとって魅力的なイベントを企画し、Ticketboxがそのチケットを取り扱うことができるかが、非常に大事なことなんです。

 

―質の高いイベントを提供するためにどのようなことをしていますか。

海外の素晴らしいアーティスト、イベント企画者、投資家を見つけ、コネクションを広げることに注力しています。

ステークホルダーを繋げてから、一つのショーが成功するまで約半年から1年はかかります。
半年で開催できれば、かなり早いほうです。イベントの成功までは、非常に長い道のりですね。しかし、地道な継続の結果として築き上げた実績とコネクションが、何よりもTicketboxの財産になると考えています。

今までお取引したパートナーはもちろんですが、海外のオーガナイザーがベトナムに進出する際、「実績のあるチケットカンパニーをパートナーとして選択したい」と考えるのは、言うまでもありません。私たちはその会社でありたいと思っています。

 
 

海外の投資家が続々と進出する、ベトナムのエンタメ業界

 
―取引パートナーは、どの国の方が多いでしょうか。

主に、シンガポール、タイ、韓国ですね。ベトナムで興行をしたい海外のプロモーターは非常に多く、彼らとイベントの企画段階から一緒に仕事をします。

しかし、投資を検討する海外のプロモーターが、ベトナム市場をよく理解していないケースはもちろんあります。
たとえば、Ticketboxでも人気のK-POPショー。K-POPのチケットは、ベトナム人にとってはとても高いんです。平均的に1枚のチケットが100USD近くの金額です。(編集部注:ベトナムでの四年制大学の新卒の給与は、月収約300USD)
ベトナムにおいてはその値段では、チケットを売ることができません。ベトナム人のお客様にとっては30USD~40USDが適正価格でしょう。

したがって、彼らに対してベトナムのエンターテインメント業界の市場感やどのくらいの初期費用がかかるかを丁寧に説明し、理解してもらう必要があります。

とは言え、多くの投資家がベトナムのエンターテイメント市場のポテンシャルに気付き始めているのは、本当に喜ばしいことです。

 
Ticketbox オフィス
 

―2013年にベトナムで起業されてから、2015年タイ、2016年シンガポールと驚くべきスピードで海外展開していますよね。
海外展開する上で、重要なことはなんだとお考えですか。

海外展開を成功させるためには、優秀なローカルチームが非常に重要であると考えています。
なぜなら、そこに住んでいる人がマーケットを一番深く理解していますから。マーケットへの理解がなければ、ビジネスを、サービスを、誤った方向に進めてしまう危険すらあります。

そのため、私たちはまず優秀なチームを作ることに時間を使いました。
 

チケットに対する考え方は、国によって大きく異なります。

シンガポールのユーザーは、多少お金がかかっても簡単便利にチケットを購入できることを好みます。一方で、ベトナムのユーザーはとてもお金に対してシビアなので、2USDでも節約できるなら利便性よりも価格をとります。

チケットの購入についても、大きな違いがありますね。
たとえば、欧米に近い商習慣を持っている国でチケットを販売したとき、人気チケットはすぐに完売となります。日本でも、人気アーティストのチケットはすぐに売り切れたりしますよね。
ベトナムでは、人気の高いイベントであっても最後の2、3分になるまで値段が安くなるのを待つお客様が多い傾向があります。

こういった市場の志向性を掴むことは、海外展開においては大切です。

 
 

「採用」がスタートアップの成功を左右する

 
―「優秀なチームを作る」とのことですが、実際に御社で働いているのはどのような方が多いのでしょうか。

「自分たちのプロダクト(Ticketbox)を世の中に届けたい」、大げさに言うと「サービスの成長に自分自身を捧げたい」と思う熱意のある人ですね。そのような人を採用できるかが、スタートアップの成功を左右すると考えています。
 

スタートアップでは、やること全てが社員は誰もがまだ経験していないことであったり、仕事の守備範囲に制限はなく、何でも自分で進めていく必要があります。
さらに、スタートアップを取り巻く環境は、常に流動的。昨日と今日では既に違いが生じています。何がベストの選択なのかは、私にも明確にはわかりません。

そんな環境にも耐えることができる人は、プロダクトに対する気持ちが強い人やどんな状況でも自分を鼓舞できる人だと思います。そういったメンバーを仲間に迎えることが、非常に重要です。

そうは言っても、会社のフェーズによっても必要な人材の要件は変わっていきます。
立ち上げ期であれば、とにかくハッスルしてくれるメンバーが必要でしょうし、会社が大きくなってくれば、プロフェショナルなメンバーも必要になってきます。

 

―その熱意ある仲間は、どのように集めていますか。

まず、多くのカンファレンスやピッチイベントに参加します。そこで、素晴らしいチームや能力ある人を見つけては、こちらから声をかけているんです。そして、もし私たちが目指すものと同じ方向を向いている人であれば、一緒に働くことを打診します。

これが、私たちの採用活動の最初の一歩です。

私たちが大企業であるならば、知名度があり、候補者を集めることに困りません。しかし、創業期のスタートアップ企業は知名度がありません。
そのため、多くのカンファレンス、インタビュー、プロモーションなどに積極的に参加して、私たちのサービス、Ticketboxについてやこれまでの経験を共有します。私たちがどのような想いを持って活動をしているのか、どんなことをしようとしているのか、自分たちで発信しない限り、誰も知りませんから。
イベントやカンファレンスであればTicketboxに興味を持ってくれた人からのご質問に直接回答できますしね。情報発信は、素晴らしい仲間を集めていく上で欠かせないことであると考えています。

そういったイベントを重ねていくことで、私たちの知名度もだんだん上がっていきます。やはり、知名度が上がると採用活動はしやすくなりますね。

それが私たちの仲間集めのコツです。

 
 

会社が常に成長し続けることが、仲間を惹きつけるためには必要

 
―縁あって入社してくれた素晴らしいメンバーを惹きつけ続けるための方法はありますか。

会社の成長こそが、社員を惹きつけておく一番の要因だと思っています。

2、3年と時間が経つにつれて、違う景色が見えてきます。一緒に働く仲間、働く場所、お客様などさまざまなものが変化していきますよね。会社の成長スピードを緩めず、仲間がワクワクする景色を作り続けていくことが一番大切です。

そのためには、各メンバーが新しい価値を生み出し、周りの環境を変えていくことを常に意識しなければなりません。
当然、新しく入社するメンバーにも新しい価値を提供してくれることを求めています。

常に環境が変わっていくことは、非常にエキサイティングなことです。

社員に対して支払うことができる給料は決して高くはないのですが、新しい景色を見せ続けられることが、大企業では提供できない私たちスタートアップ企業の価値であると確信しています。

 
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―これからのビジョンは、どのように考えていますか。

直近数年は、まだベトナムのエンターテインメント業界への種まきのフェーズだと考えています。

ベトナムのエンタメ業界は、まだまだ未成熟。タイやシンガポール、日本と比較すると特にそう感じます。だからこそ、私たちTicketboxは、ショーやコンサート自体を創っていくことに引き続き投資していく予定です。

そして同時に、私たちは常にアーティストと共に成長していきたいと思っています。
ベトナムのローカルアーティストの市場は他の国と比較するとまだ小さいですが、ベトナムにも素晴らしいアーティストがたくさんいます。彼らをもっと支援していきたいですね。
 

ベトナムの芸能界はまだ若く、アーティストたちをマネジメントしたり、プロモーションしたりするノウハウも業界としては乏しい。だからこそ、信頼できるパートナーを見つけることも大切な任務だと考えています。彼らのパートナー探しにもコミットしていきます。

 

―では、最後となりますが、日本の読者の皆さんに一言いただけますか。

ホーチミンやハノイでは、ベトナムの文化を学べるイベントが多く開催されています。
たとえば、人形劇、サーカス、ファッションショーなど、特にハノイではローカルショーが非常に盛んです。

ベトナムに住んでいたり、旅行でいらした際には、ぜひTicketboxでイベントを探してみてください!
きっと素敵なイベントに出会えますよ。

もしかしたら、将来的に日本への進出、というのもありえるかもしれません。

そのためにもまずは、ベトナム・タイ・シンガポールのエンターテインメント業界をどんどん盛り上げていきたいと考えています。

 

―本日はお忙しい中、貴重なお時間をありがとうございました!

 
Ticketbox インタビュー


 

いかがでしたでしょうか。
ベトナム急成長スタートアップ、Ticketboxにお話をおうかがいしました。

CEOのMike氏へのインタビューを通じて、ベトナム市場に対するポテンシャルやエンターテインメントへの情熱を感じ、Ticketboxが急成長していることが頷けました。

今後もTicketboxの動向に要注目です!

 

■今回の取材協力企業 Ticketbox CO., LTD.
ベトナム:https://ticketbox.vn
タイ:https://ticketbox.co.th/
シンガポール:https://ticketbox.sg
 

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