ベトナム歴史上の豆知識【国名の由来・漢字の普及・日本留学】

こんにちは、ベトナム滞在歴がそろそろ半年になりつつあるグエン(純日本人)です。
ベトナム転職や移住、旅行、出張などを考えていらっしゃる方、突然ですがベトナムについてどこまでご存知でしょうか?

今回はベトナムの歴史に関する豆知識をお届けすることで、皆さんから「へぇ~なるほど!」と思っていただける記事を目指しました。
ベトナムについて知りたい、学ぶ必要がある、という方は、この機会にぜひご覧ください。

 

「ベトナム」という国名の由来

19世紀初めに、ベトナム最後の王朝である阮朝が始まりました。ちなみに皇帝の姓はNguyen(グエン)です。
今から約200年前となるこの時代は、中国と国境を接している周辺諸国(朝鮮・ベトナム・ネパール・沖縄など。鎖国中の日本を除く)が、中国の皇帝へ「◯◯国王として、清国皇帝の代わりに△△国を統治してもいい」という許可が必要な冊封体制でありました。

そのときに、阮朝の創始者である阮福暎という人が、清国に依頼した国名が「南越」と言われています。しかし、この国名は清国から断られてしまいます。その背景として、主に以下の理由が挙げられています。

【阮福暎が「南越国」と申請した理由】
中国浙江省の地域は昔から「越」と呼ばれていて、その南側にある国だからという説が多いです。越国については、臥薪嘗胆の話でよく出てくる国名ですね。

【清朝から「南越国」という国名を断られた理由】
実は紀元前の時代に、「南越」という国が中国に実在していました。この国は広東地方(今の広州、香港周辺)にあったと言われていますが、阮朝がその国名を使うことで、中国南部まで領土を広げてくるのではないか…という野心を警戒されたためと言われています。

越南

位置関係はこんな感じです。

【結果はどうなったの?】
結局、清国の出した答えは「南越を反対にして、越南ならいいよ!」という答えでした。この「越南」という漢字をベトナム語にすると、Việt Nam、つまりベトナムとなる訳です。

 

ベトナム語の普及と漢字について

【ベトナムと漢字の関係】
友人から「ベトナムって漢字を使うんだっけ?そもそもベトナム語ってあるんだっけ?」と聞かれることがあります。もちろんベトナムという国の歴史において、漢字と無縁だった訳ではありません。

日本もそうであったように、中国から漢字文化を取り入れた国は少なからずあります。ベトナムもその中の1つです。
しかし、朝鮮と同じく現在の中国語と言語体系が異なったり、日本における「ひらがな」のように広く普及させる工夫に乏しかったため、なかなか浸透しなかったと言われています。

【ベトナム語が使われるようになったのはいつ?】
一方、今のベトナム語であるクオック・グーは皆さんもご存知の通り、「アルファベットに声調を付け足したもの」です。これは、フランス人宣教師アレクサンドル・ドゥ・ロードのベトナム語のローマ字転写法によって、1651年に発明された文字と言われています。その後、改良を繰り返されながら普及されるようになり、1945年のベトナム独立時にベトナム語を表記する文字として採用されました。

ただ、1945年以前の王朝時代までは、国字が漢字であったことを踏まえてみても、「フランスが植民地としていた頃、中国からの漢字が気に食わないから勝手に変えた」というのではなく、普及度合いを見た適切な改革であったということが分かりますね。

 
従って、「昔はベトナムでも漢字が使われていたが、現在は中華街在住の人を除くと、漢字を使うベトナム人はほとんどいない」ということになります。

トイレ ベトナム

ちなみに、このトイレ表記はベトナム語ですが、中国語でも男はNam、女はNuと言います!
これが偶然か必然かどうかは、また今度調べてみます。

 

ベトナム人が日本留学を始めた時期

私の友人のベトナム人も日本に留学中ではありますが、このニュースによると、日本を訪れるベトナム人留学生は2009年から19倍にも増えているそうです!となると、日本留学は一過性のあるブームに見えるかもしれませんが、実はベトナム人留学生は、100年以上も前から日本に来ていたのをご存知でしょうか。

それには、東遊運動という「フランスから独立するために、日露戦争で勝利したアジアの先進国・日本から近代化を学ぶ…という留学促進活動」が影響しています。こちらにもあるように、活動の中心社であるファン・ボイ・チャウを筆頭に、ベトナム人留学生が増加しました。

引用:http://hashim.travel.coocan.jp/vietnam03/0225/04.html

(ファン・ボイ・チャウ支援した日本人もいましたが、当時日本とフランスは同盟国であったため、1909年にはベトナム人の国外退去命令が出てしまうことになります)

第二次世界大戦中、日本がベトナムを一時的に支配していたという見方もありますが、それよりも「同じアジアの民族がフランスの支配から解放してくれた」と捉えられるケースも少なくありません。そのような背景もあってか、ベトナム人の親日度や日本語に対する勉強意欲はASEAN諸国の中でも際立っていると私は感じています。

 

おわりに

いかがでしたでしょうか?
国・言語・留学、いずれのテーマにおいても、日本との関係性が感じられます。ベトナム人は日本のサブカルチャー好き…という理由だけで親日と思うよりも、歴史的な観点から俯瞰的に捉えることは大事なのだと、改めて思いました。

ベトナムの歴史といえば「ベトナム戦争の暗い過去」をイメージされる方もいらっしゃるかもしれませんが、歴史を振り返るからこそ、根拠のある前向きな認識に繋がっていくのではと考えています。

こんにちは、4月からICONICでインターンシップをしている Nguyenです。 日本語が上手いベトナム人ではなく、ベトナムによくある姓を勝手に名乗っている日本人です(笑)

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