経済成長とともにペット文化が定着しつつあるベトナム。
日本からベトナムに移住された方の中でも「ベトナムでペットと新しい生活を始めたい」という方も少なくないのではないでしょうか。
とはいえ、「信頼できる動物病院があるのか心配...」「ペット用品はどこで買えるの?」「帰任の際はどうすればいいの?」などと不安に感じる方も多いはず。
今回はそんな方に向けて、実際にベトナムでペットを購入された方にインタビューをし、ベトナムでペットを飼う際に役立つ情報をまとめました。
例えばペットの購入手段や、おすすめのペットショップ、動物病院のほか、日本に帰国が決まった際の移送方法まで幅広く網羅しています。
ぜひ最後までお読みください!
ベトナムのペット事情
現在、ベトナムでは経済成長に伴いペットを飼う習慣が定着しつつあります。
犬の飼育世帯比率は2016年の16.2%から2020年に17.2%、猫の飼育世帯比率は2016年の11.3%から2020年に12.4%と増加しています。
2021年時点では犬の飼育頭数は750万頭であるというデータが出ており、日本では昨年時点で犬の飼育頭数が684万頭なので、いかにベトナムでペットが人気なのかわかりますよね。
筆者もホーチミン1区在住ですが、住んでいる住宅街では3世帯のうち1世帯はペットを飼っているのではないかと思うほど。
また、ペットの中でもトイプードルやチワワのような小型犬が多く好まれている印象です。
<参考データ>
JETRO:https://www.jetro.go.jp/biz/trendreports/2023/d4ca4d5820d3ed63.html
一般社団法人ペットフード協会:https://petfood.or.jp/data-chart/
ベトナムでペットを購入する方法
さっそく、ベトナムでペットを購入する方法から解説していきます。ベトナムでペットを購入する方法は主に3つ。
・ペットショップで購入する
・ブリーダーから購入する
・動物保護団体から譲り受ける
その中でもコストが少なくて済む後半の2つについてお話しします。
ブリーダーから購入する
今回インタビューしたYさんは、Facebookで繋がったブリーダーから購入されました。
ベトナムでは、Facebookは主流のSNSの一つで、例えば物件探しなどもFacebookを経由することがあるほどです。
そして、驚くのはペットの金額。
日本でペットを購入する場合、30万円前後が平均的ですが、Yさんの場合なんと1,000万VND(約6万円)で購入。
※ただし、ブリーダーから購入する場合は金額にばらつきがあるため、自分で好条件の人を探す必要があります。
動物保護団体から譲り受ける
ペット飼育の習慣が浸透しているベトナムですが、未だ虐待や遺棄されるペットもいます。そんな動物たちを保護している非営利団体があります。
『ARC Vietnam Animal Rescue & Care 』です。
公式Facebook:https://www.facebook.com/ARCanimalssaigon/
様々な理由で行き場を無くした犬や猫を保護し、新しい飼い主さんの元へ繋げる取り組みをしている団体です。
また、ベトナム人だけでなく色々な国の方が有志で活動されているため、日本語でのやり取りも可能。非常に安心できますね。
引越し時に知りたい!輸送方法
ベトナムでペットを飼うと、日本への帰任や国内での引越しの時に、飼っているペットをどう扱えばよいのか不安に感じている人は少なくありません。
そんな時に知っておくと役立つ手続きについて解説していきます。
国内輸送の手続き
国内輸送の手続きはそれほど大変ではありません。必要書類は以下の通りです。
・検疫証明書
・狂犬病ワクチン接種証明書(※原本とコピー)
・パスポート(※原本とコピー)
狂犬病ワクチンは一般的に飼い始めたタイミングで打っているケースがほとんどであるため特に何かすることはありませんが、前日か前々日に検疫証明書を受け取りに行く必要があります。
ホーチミンからハノイの国内輸送を体験したYさんは、以下の場所で発行しています。自分の地域でどこで発行するかわからない場合は、普段通っている動物病院に紹介してもらいましょう。
Trạm Chăn Nuôi và Thú Y Liên Quận Phú Nhuận, Bình Thạnh
国際輸送の手続き
続いて、ベトナムから日本へ帰国する場合の手続きです。犬、猫の日本への入国は仕出国・地域によって輸入手続きが異なります。ベトナムからの場合、「指定地域以外」に該当するため覚えておきましょう。
大きく分けて必要な手続きは以下の通り。
・マイクロチップ埋め込み
・狂犬病ワクチン接種2回
・狂犬病抗体検査
国内輸送と同様、マイクロチップの埋め込みや狂犬病ワクチンはペット購入時に済ませているはずです。
注意すべきは狂犬病抗体検査。採血日を0日目として計算すると、出国までに180日間以上の待機が求められます。
つまり、帰国するまでにベトナムでの待機が少なくとも6ヶ月間必要であるということです。
よって、急な帰国を踏まえると、ベトナムに引っ越してから少しでもベトナムに帰る可能性がある場合は、2回目の狂犬病ワクチン接種と同時に抗体検査も済ませておくことをおすすめします。(※採血した時から2年間は証明書が有効)
<参考サイト>
動物検疫所:https://www.maff.go.jp/aqs/animal/dog/import-other.html
機内持ち込みサービスを使ってペットと一緒に移動する
ペットを飛行機で輸送するとき、手荷物として預けることが多いですが、貨物室で過ごさせることに不安を抱く方は多いのではないでしょうか。機内では気圧の変化もあり、予測できない事故があるのも事実です。
そんな皆さんにご紹介したいのが、一部の航空会社で導入されているペットの「機内持ち込みサービス」です。今回は2つの航空会社をご紹介します。
・Vietjet(※国内線のみ)
7kg(ケージを含む)まで持ち込み可能です。公式サイトによると1ペットにつき4,000,000VND(約24,000円)で利用できます。
公式Webサイト:https://x.gd/vtaqF
・ベトナム航空
6kg(ケージを含む)まで持ち込み可能です。
国内輸送の場合、1ペットにつき5,000,000VND(約30,000円)、日本への国際輸送の場合、400USD(約60,000円)で利用できます。
公式Webサイト:https://www.vietnamairlines.com/jp/ja/buy-tickets-other-products/special-services/traveling-with-pet
ペット用品の購入場所
続いてはペット用品の購入場所について解説します。エサはローカルのペットショップや、チェーン店で購入できます。
エサに関しては、ベトナムのものよりも日本やカナダ、韓国のものなどの外国のものが多く販売されているため、特に心配する必要はありません。
おすすめのショップは以下の通り。
・Pet Mart
ホーチミン、ハノイ、ダナン、ハイフォンにある犬猫用品を扱うペットショップチェーン。エサに加えて衣類やケージ、その他の用品など多数揃えています。
公式Webサイト:https://www.petmart.vn/
・Pet Mall
こちらはホーチミンのタオディエンに位置するペット用品のショップ。オンライン販売も充実しているため、店舗に行かなくても購入ができます。日本の製品も多く揃えているためおすすめです。
公式サイト:https://petmall.vn/
・Shopee
東南アジア最大級のECサイトです。主に衣類の購入におすすめ。可愛いものから少し個性的なものまで様々な買い物が楽しめます。
公式サイト:https://shopee.vn/
以下はYさんの愛犬の写真です。Shoppeで購入されたというバナナのベッドが可愛らしいですね!
ペットケアサービス
ベトナムではペット文化が浸透していることから、動物病院やペットサロンも充実しています。それぞれのおすすめを紹介していきます。
動物病院
ローカルの動物病院は「犬はOKだけど猫はダメ」といったケースもあるため、事前調査が必要です。
今回ご紹介する病院は、ペット全般の受け入れをしているため心配いりません。
■ホーチミン
・Japan Animal Hospital
日本語の通訳や日本人の獣医がいる動物病院です。日本レベルの医療サービスを受けることができるため非常に安心ですね。Google map上では「Sasaki Animal Hospital」と表示されるので要注意です。
公式Webサイト:https://japananimalhospital.vn/
■ハノイ
・ASVELIS Veterinary Clinic
フランス系の動物病院で、狂犬病抗体検査を受けるのに便利です。また、ペットホテルサービスも展開しており、旅行中や出張中に預けることが可能です。
公式Webサイト:https://asvelis.com/our-services/boarding
・GAIA Pet Clinic
日本語を話せる獣医がいて、施設内も清潔なため日本人に人気の動物病院です。
公式Facebook:https://www.facebook.com/gaiapets/
トリミングサロン
■ホーチミン
・Head to Tail
ペットサロン兼ペットホテルの施設。5時間、日帰り、1泊の預かりサービスがあります。料金もお手頃なのが嬉しいポイント。例えば10〜20kgの犬の場合、380,000VND(約2,200円)で1泊可能です。
公式Webサイト:https://headtotail.vn/
■ハノイ
・Pawtamin
こちらもペットサロン兼ペットホテルの施設です。英語でのやりとりが可能で、預かり時にペットの様子を写真付きで連絡してくれます。自由な雰囲気なため、他のペットとの交流が活発な印象です。
公式Instagram:https://www.instagram.com/pawtamin/
ベトナムでペットを飼う際の注意点
最後に、ベトナムでペットを飼う際の注意点について解説します。
散歩時の交通量に注意
ベトナムはバイク天国と言われるほど、交通量が多い国です。特に通勤ラッシュの時間帯は歩道までバイクが乗り上げてくるようなケースも見られます。
そのため、ペットを散歩させる場合は十分に注意が必要です。散歩している人が多いエリア(大きめの公園など)などがあればチェックしておきましょう。
また、他の犬と接触する可能性が高いため狂犬病ワクチン接種はマストです。
物件探しは入念に
ペット可能の物件は事前調査をしっかり行いましょう。現状、ベトナムにはペット可能な物件があまり多くありません。
また、物件によってはペット可能なものの、エレベーターを分けているような場合もあります。
水道水は飲ませても問題ない
ベトナムの水道水はマグネシウムや不純物が含まれているため、一般的には飲料水としての使用は不可とされています。
一方、ローカルのペットたちは水道水を飲まされていることがほとんど。Yさんの飼い犬も水道水を飲ませていますが、特に問題はありません。
ただし、ペットによってはお腹を壊す可能性もありますので、それぞれに合ったやり方をおすすめします。
まとめ
今回は、ベトナムでペットを飼う際のお役立ち情報をご紹介しましたが、いかがでしたか?
ペットは家族同然の存在で、私たちの毎日をより豊かにしてくれますよね。
一方で、異国の地での飼育はさまざまな注意点があることも事実です。
今回の記事が、ベトナムでの新たなペットライフをスタートするための手助けとなれば幸いです。ペットとともに素敵な日々をお過ごしください!