小売業や飲食業など、フィリピンに進出する日系企業がここ数年で増加しており、フィリピンへの出張、または駐在という機会もどんどん増えてきそうですよね。
そこで、フィリピンにお仕事で渡航する際、事前に知っておきたいのがビザ(VISA)。目的によって、取得が必要な種類も違います。今回は、短期出張、長期出張、そして駐在員に必要なビザをご紹介します!
ケース1:30日以内の短期出張者は、無査証でフィリピンに入国可能
▼空港のイミグレーションで押されたスタンプ
日本のパスポートを持っているなら、観光や商用(商談、会議、セミナーの出席など)の目的で短期滞在する場合、「無査証」、つまりビザなしで入国することができます。
無査証と言っても、入国する際には2つの条件があります。
1.有効な往復航空券、または第三国へ出国する航空券を持っている
2.パスポートの有効期限が滞在日数+6か月以上ある
※現在は、パスポートの有効期限規定が緩和されたという情報もありますが、正しくは、フィリピンの公的機関にお問い合わせください。
つまり、「フィリピンから30日以内で出国する」という意思を提示する必要性があります。30日以上の滞在を希望する場合は、29日の延長が可能です。入国管理局(Immigration Offices)で手続きができます。
ケース2:30日以上のフィリピン長期出張者が取得するビザ
▼短期滞在ビザ
ビジネス目的で30日以上の長期滞在をする場合は、「9A(短期滞在ビザ)」を取得するケースが多いです。こちらは一般的に「非移民ビザ」、「観光査証(Tourist Visa)」などと呼ばれています。
「非移民目的」というと、こちらも観光目的、スポーツ、会議、教育、商談、友人訪問など。このビザを取得すると、フィリピンに59日間の滞在が許可され、最大2年間延長が可能です!
ケース1でご紹介した無査証で入国しても、延長をすれば59日の滞在が可能ですので、日本でわざわざ取得しない方も多いようです。ただ延長には現地での手続きが必要ですので、面倒に思う方は日本で9Aを取得したほうがよいでしょう。
フィリピン大使館窓口で渡航前にあらかじめ申請をする場合、フィリピン大使館に書類を提出してから発給まで、最低でも5営業日はかかるので、遅くても2週間前までには申請手続きを始めましょう!
ケース3:フィリピンの駐在員、現地採用社員が取得するビザ
フィリピンで長く働く駐在員、現地採用社員には、主に3種類のビザが利用されます。
これらのビザは家族も同じビザを取得できます。
1.9Gビザ/雇用ビザ(Pre-Arranged Employee Visa)
2.9Dビザ/通商航海条約などの基づく貿易取引業者・投資家ビザ(Treaty traders Visa)
3.47A2/投資委員会・特別経済区ビザ(Special Non-Immigrant Visa)
1つ目の「9Gビザ」は雇用契約のある外国人と、その同伴者、子供に発給されるビザです。このビザを取得できるのは、フィリピン人ではできない業務に就く人に限られます。滞在期間は通常2年(会社との雇用期間によって滞在期間が変わります)で、3年間まで延長が可能です。
2つ目の「9Dビザ」は「商業・投資ビザ」と呼ばれ、日本、ドイツ、米国の3か国のみに許されているビザです。
これを取得できるのは、
・フィリピンと日本の間で取引をするフィリピン企業に勤める人
・フィリピンで自らが投資する事業を運営する人
に限られています。
有効期限は1年または2年で、更新も可能です。
3つ目の「47A2」は一般的に「PEZAビザ」と呼ばれ、フィリピン投資委員会(Board of Investment:BOI)とフィリピン経済特区庁(Philippine Economic Zone Authority:PEZA)の登録企業で働く外国人に発給されるビザです。他2つのビザと比べて取得までの期間が短いのが特徴です。
フィリピンでは、フィリピンへ投資する外資系企業に対して様々な優遇制度を設けています。
PEZAは経済特区内にある企業の優遇措置の管理をしている政府機関。またBOIも同じように、特定の分野に投資する企業に対して優遇措置を設ける政府機関です。この機関は、登録企業で働く社員とその家族へのビザ発給ができるのです。
<PEZAに登録できる業種>
輸出製造業、ITサービス業、観光業、医療ツーリズム業、農産業、物流・倉庫サービス業など
<BOIに登録できる業種>
ビジネス・プロセス・アウトソーシング、電子工業、再生可能エネルギー業、造船業、食品製造業、建設業など
これから駐在員になる! という方は、まずはケース2でご紹介した9Aビザで入国し、その後9Gビザ、9Dビザ、PEZAビザのいずれかに切り替えるというケースが多いようです。
ただ、取得には通常数か月かかるため、それまでは9Aビザを延長するといった手続きが必要になります。
ちなみに、旅行会社に勤めていた私が持っていたのは9Gビザ。
9Aビザから9Gビザへ切り替わっているのが分かるでしょうか?
フィリピンでの就労には外国人雇用許可証が必要
9G、9D、PEZAビザを申請するためには、事前に労働雇用省(Department of Labor and Employment)から「外国人雇用許可証(AEP: Alien Employment Permit)」を取得しなければなりません。就労するためのプロセスはこのようになります。
【フィリピンで就労するためのプロセス】
(1)外国人雇用許可証(AEP:Alien Employment Permit)を取得
(2)就労に関する査証(9Gビザ、9Dビザ、PEZAビザなど)を取得
(3)外国人登録証(ACR I−card:Alien Certificate of Registration Identity Card)を取得
いかがでしたか?
今回は、フィリピンでお仕事をするために取得するメジャーなビザをご紹介しました。
このほかにも、様々な種類のビザがありますし、申請にはそれぞれ条件が細かく規定されていますので、詳細は公的機関にお問い合わせください。
ビザ取得には会社がすべて手配をしてくれることもあるかと思いますが、自分のビザがどの種類で、どのようなプロセスで取得するのかを知っておくのはとても大切ですよね。
ぜひ参考にしてくださいね。