シンガポールのエスニック・言語事情

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アジアでも珍しい多国籍な国で知られるシンガポールは、2019年1月時点の外務省のデータ(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/singapore/data.html)によると中華系約74%、マレー系約14%、インド系約9%で構成されています。こうした民族構成に応じて、公用語も英語、標準中国語(マンダリン)、マレー語、タミール語(南インド系が多いため)、宗教も仏教,イスラム教,キリスト教,道教,ヒンズー教と様々です。今回はそんなエスニック事情を感じられるシンガポールの日常場面を綴りたいと思います。

 

1. 多彩な生活・就労環境

中華系は7割ですから、普段行き来している住宅周辺や職場エリアでも、日本人と見た目変わらないシンガポーリアンや中華系移民はやはり多いです。マレー系とも区別がつきにくいので、実際は見た目や雰囲気、性格や話している言語で皆なんとなく判別しているのでしょう。そうすることで、自然と多様なバックグラウンドや文化を尊重する社会が形成されているかもしれません。その他、アジア各国からの労働者や移民として多いのは、海外に多くの労働者を送り出しているインド系やフィリピン系です。また別の記事でも書きましたが、アジアで競争力の高いシンガポールでは多くの欧米人や豪州人も多く住んでいます。ですので、日常やビジネスで使用する言語は「英語」がもっとも一般的です。シンガポールといえば、”Singlish”を思い浮かべる方も多いと思いますが、普段ローカルな環境にいる人ほど、特にSinglishの発音や癖を感じられる傾向が強い気がします。

一方多様性のある職場では、英語圏で高度教育を受けた標準的な英語を話すシンガポーリアンも多く、特に日常英語での会話ができれば困ることはありません。実際私の職場では、シンガポーリアン2割、インド系3割、日本人2割、マレー系2割、西洋系1割の構成となっており、実にヘテロジニアス(異種混在)な空間です。ある意味、様々なイントネーションや発音が混在した英語が受け入れられる寛容な環境であることこそが、多様な人材同士の交流や協業を促し、社会経済的に相乗効果をもたらしていることは間違いありません。

 

2. それでも日常困ること、といえば?

どんなに寛容な社会であっても、シンガポールは中華系で成り立っている国であることは間違いないです。ですので、やはり「標準中国語(マンダリン)」は英語の次に必要性を感じています。特に私のように、数年の駐在ではなく、現地採用で長い年数この国に住み、現地で子供の教育をしていこうとする身であれば、なおさらです。また、個人的には、職場の同僚に中国語で私の愚痴を言われないようにするためです(笑)。幸いにも私は大学在学時代に中国語の基礎の学習終えており、国際的な中国語資格であるHSK(漢語水平考試 – Hanyu Shuiping Kaoshi)の3級(基礎レベル)までは取得していたので、シンガポールに移住してから1ヶ月後には語学学校で実践的な中国語会話から学習を再開することができました。日本での就職後5年間は中国語を学習する暇や使用する機会がなくブランクはあったのですが、こちらにきてから日常でも中国語に接する機会が多くあることによって、モチベーションを保ちながら学習することができています。その国の文化や社会を理解する上で、やはり国民が用いる言語を知ることは非常に重要だと思います。日本語と同様、漢字という共通要素もありますし、中国語学習で新たに発見できる要素も多いです。英語や中国語といった世界でも使用度の高い言語を一度に身につけられる国は多くはなく、シンガポールで言語を習得する上で最大の魅力といえるでしょう。

 

3. 好奇心は旺盛に。いざ、エスニック体験!

さて頭ではわかっても、エスニック文化から疎遠になってしまっては、この国ではもったいない!シンガポールとは真逆でホモジニアス(同質的)な島国の日本人は、ある意味偏見なく中立的に多様なエスニック事情を理解することができると、個人的には思います。今回は少しだけ勇気を出して、他のエスニック文化に踏み込んでみた体験を共有しようと思います。

まずはフィリピン人の同僚と仕事の後に、職場近くのフィリピンレストランでディナーとハロハロ(Halo-halo)を食べてきました。店内ではお馴染みのタガログ語が行き通い、拙いタガログ語でオーダー。ガーリックテイストのライスにシンプルに卵と少し甘めのソーセージが特徴です。フィリピン留学時代はよく朝食に食べていて、本場の懐かしい味が気軽にシンガポールでも食べられることに驚きです。ハロハロはこの店ではメニューにはなかったものの、特別に作ってもらえました。イレギュラーな注文にも対応できるよう材料は常備されていたようで、快く答えてくれるところがさすがフィリピンです!フィリピンで定番のウベ(紅山芋)のアイスクリームと甘さ控えめの豆類、食感の固めのゼリー・氷・ココナッツミルクをごちゃ混ぜ(フィリピン語でハロハロ)にすることでバランスの良い甘みに仕上がります。初めてハロハロを食べた日本人同僚も、とても気に入ってくれました。
 

お次は10月下旬から始まるインドの光の祭典ディーパバリ(Deepavali)を祝うため、インド人の同僚がお宅に招待してくれました。同僚によると、ディーパバリの名物である花火が、シンガポールの集合住宅では禁止されていることが多く、花火が許可されている集合住宅は数カ所に限られているそうです。そこに多くのインド人が暮らしているので、まさにここはインド?と思えるほど、マンションの敷地内にはリトルインディアが形成されていたのでした。

私もインドで購入したクルタ(Kurta)を来て、早速お家にお邪魔すると、ホームメイドの南インド料理がずらり並んでいました。台所でドーサ(dosa)を奥様とおばあさんが作っていました。日本人は自宅に知り合いを招くのに抵抗がありますが、インド人は仲良くなるとすぐにお家に招待し、手料理をご馳走してくれます。シンガポールにはインド料理屋に困らないほどありますが、体質に合わない食材や調味料であるスパイスやオイルもあるので、ほとんど既婚のインド人は奥様の手作りのお弁当を会社に持ち込んだり、外食はなるべく控えてヘルシーな家庭料理を食べるのが基本です。家庭料理は驚くほど優しい味がして、私もインドの家庭料理が大好きです。
 

食事の後は、ヒンドゥー教の神さまに向かって家族みんなでお祈りをします。外では花火をするために沢山の人が集まってきました。
 

エスニック体験はまだまだあるので別の記事でも紹介したいとおもいますが、今回の記事で、シンガポールでは多種多様な民族と交流する機会に日常が満ち溢れているということが少しでも伝わったでしょうか。他人の文化や習慣を尊重し合うことが当たり前な多文化共生が実現している、そんな社会なのでした。

日本の川育ち。海を越えシンガポールに渡りました。

日本の川育ち。海を越えシンガポールに渡りました。

ICONIC

東南アジアにいながら、実は南アジアが専門。日本の低気圧が苦手で、常夏のシンガポールでは何故か活力がみなぎる。小籠包とJolliebeeを愛する外資系ウーマン。日本に残るサラリーマンの夫を連れてくるため、戦略検討中。

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