何かと物価の高い印象のシンガポールですが、現地で生活するとなると、実際1ヶ月にかかる生活費用や貯金額はどれくらいになるのか。今回は生活費用について、ありのままお伝えしたいと思います。
※SGD=シンガポールドル
1. まず考慮すべきは、シンガポールの高額な家賃!
「シンガポールの転職事情1:駐在員 vs 現地採用」では、シンガポールで生活する上で主要な手当の比較をしましたが、家計の支出の多くを占めるのはやはり「住宅費」、「養育費」、「医療費」です。中でも「住宅費」として、シンガポールは国土が小さいため家賃は東京23区並みで、1ベットルームで相場は月額1500~3500 SGD(月額 約12~28万円)ほどと、都市の中心部に近いほど高額になっていきます。これ以下の予算に納める場合は、HDB(公共団地。ただし外国人労働者は住めない)やシェアルーム・ハウス、間取りはStudioタイプを選択しなければなりません。家族で住む場合、2ベットルーム以上必要な場合は、2500 SGD(月額 約20万円)以上はするでしょう。大体月給の3割程度を上限の目安とします。高額に思えるかもしれませんが、集合住宅によっては家賃に駐車場代や共用設備(ラウンジやプール、ジムなど)の利用費が含まれているので、費用対効果は考え方次第です。また光熱費は、ほとんどがオール電化のため、電気と水道代のみとなり、一般的なSingapore Power Groupで一人暮らしの1ベットルームの費用は、毎月100 SGD弱(1万円程度)です。そのほか、ゴミの廃棄費用が10 SGD程度かかります。
2. 子供がいる場合、養育費用は計画性が大切。
家族もシンガポールに帯同し現地で子供を養育する場合、託児所や学校に預けるにはそれなりの費用が必要です。相場では、託児所に新生児の場合は2000 SGD(月額 約16万円)前後、1.5歳以上は1000 SGD(月額 約8万円)前後ほどかかります。小学校はインターナショナルスクール > 日本人学校 > ローカルスクール の順に学費が高く、インターナショナルスクールでは日本の水準と同等かそれ以上で年間200万以上はかかるため、会社から教育手当がない場合は非常に厳しいです。学費も市民権保有者や永住権(PR)保有者は、助成金の適用や入学優先枠などのメリットがありますが、親が永住権(PR)を持たない外国人労働者ではローカルスクールへの入学が困難であったり、学費が最も高く設定されています。日本では幼児教育や高校授業料の無償化などがありシンガポールでの養育は高額に思えますが、シンガポールではより国際的な環境に適用できるよう、カリキュラムでは英語と中国語を身に付けさせたり、STEM教育に特化させたりと、質的なメリットからあえてシンガポールで子育てを選択する日本人夫婦も多数存在しています。
3. 医療費は会社の医療保険を活用する。
日本で医療を受ける際には健康保険を利用し3割負担で済みますが、シンガポールで医療にかかる時は基本的に全額自己負担になります。医療も先進的なため、恐ろしいほど高額に思えるでしょう。ですから、会社員であれば会社が入っている医療保険を利用して、家族一緒に現地の病院にかかりましょう。会社の医療保険で保障されない病気やケガは、民間の医療保険に個人で契約しカバーしておくことが大切です。日本の保険会社の場合は、海外での治療が適用になるかどうかを事前に確認しておきましょう。
4. その他の支出項目(通信費・交通費・食費)
通信費や交通費は日本の3分の1程度で非常に安価のため、固定費として負担になる心配はありません。また、食費は場所にもよりますが日本の1.5 – 2倍程度です。特に市街地での外食やバーでの飲み物は高額です。ただし、ホーカーズなど低所得者向けにも破格で美味しいローカルな食事ができるところもあるため、個人の生活スタイルによって変動しえるでしょう。
ざっと主な支出の項目を見てきましたが、家計の支出をまとめると、一人暮らし(一般的な20代の月額給与 5000 SGD = 40万円)とした場合、合計月額支出(家賃:16万円、光熱費:1万、食費:10万円、通信費と交通費:1万円、娯楽費:2万)が30万円で月額貯金額は10万円ほどです。これに扶養する家族が含まれると、全体の項目の費用が上がるだけでなく、これに高額な養育費が加わるため、夫婦共働きや会社の手当なしでは、非常に厳しい家計となってしまいます。日本での生活との比較の参考になればと思います。