英文履歴書(英文レジュメ)を書く上で覚えておくべきことは、履歴書は応募先の企業に自分を売り込み、面接にこぎつけるためのマーケティングのツールだということです。英文履歴書は身上書ではないので、自分の人生をすみからすみまでさらけ出す必要はありません。応募職に関係のないこと、自分に不利になることは、書かなくてもいいのです。
みなさんも何か商品を売るときには、その長所を強調し、どんなに優れた商品かを力説するはずです。履歴書は、自分という“商品”をよりよい条件で買ってもらうための一種の“宣伝”と考えるといいでしょう。英文履歴書(英文レジュメ)の第一の目的は、いかに優れた第一印象を形づくるかということです。応募職に関係のある経験のみをまとめ、業績を強調することがポイントです。
また、「過去に何をしたか」「現在、何をしているか」よりも、「将来、何をしたいか」に焦点を絞りましょう。
では、効果的な履歴書を書くためのコツをいくつか紹介します。
キーワードを使う
募集広告などに応じる場合は、その広告で使われているキーワード、つまり鍵になる技能や資格を織り込みます。こうすることによって、採用企業が求めているものと自分が提供できるものを一致させることができます。
募集広告に応募する場合以外でも、その職種や業界で仕事をする上で鍵になる経験や技能、資格を記載することが重要です。当然のことですが、応募職や業界でのキーワードを把握しておかなければならないということです。
スキルはハードスキルだけではない
在米日本人の英文履歴書(英文レジュメ)の作成をお手伝いしていたときに、「スキルは何もありません」「何もできないんです」という人がよくいました。しかし、いろいろな形で質問をしてみると、みなさん、自分がさまざまなスキルをもっていることに気がつきます。多くの人は、技能というのは学校や職場で習得する資格やパソコン技術など、“ハードスキル”だけだと思い込んでいます。しかし、仕事というのは大部分が、リーダーシップや対人関係スキル、コミュニケーション力などの“ソフトスキル”を要するのです。
こうしたソフトスキルは、学校や職場だけでなく、日常生活でも養うことができるものです。たとえば、企業に勤めた経験のない主婦でも、一定の予算内で家計を切り盛りしたり、PTAの会長をしたりしていれば、立派なスキルを持っていると言えます。新卒であっても、生徒会長を務めたり、同好会の会長を務めたりしていれば、リーダーシップや組織力などを発揮しているのです。ただし、レジュメにソフトスキルを記載する場合、それを裏付けられる実績を記載する必要があります。
できるだけ具体的な数字で示す
職務や業績を述べるときには、できるだけ具体的な数値を使います。Increased sales significantly in first year(最初の年に売上をかなり伸ばした)ではなく、Increased sales by 50% from ¥200 million to ¥300 million in the first year alone(最初の年だけで売上を1億円から3億円に50%伸ばした)と書くほうがインパクトがあります。Managed a staff(スタッフを管理した)ではなく、具体的な人数を入れ、Managed a creative staff of 5(5人のクリエイティブスタッフを管理した)と書きましょう。
表示通貨ですが、応募先が日本企業であれば日本円でもかまいません。現地企業であれば現地通貨や米ドル、欧州企業であればユーロを使うといいでしょう。
1~2ページでまとめる
英文履歴書(英文レジュメ)は一般に1ページまたは2ページに収めるようにします。4~5ページにもわたるあなたの自伝を読みたいという人事採用担当者はまずいません。経歴の中で、応募職に関連していて最も大事な部分にスポットライトを当て、関係のないものは除外します。
新卒やエントリーレベル職の場合、1ページでいいでしょう。経験が少ないのに、2ページにわたって応募職に関係のないことや重要でないことを書くのは、かえってマイナスです。ただし、1ページに無理やり収めようとして文字がぎっしり詰まったものより、余白のある2ページのほうが読みやすいでしょう。
中級レベル以上では、たいていの場合、2ページが適切と言えます。10年以上の実務経験があったり、管理職や専門職に就いているのに、経歴が1ページに収まるというのでは、経験の中身を疑われかねません。