新型コロナウイルスが収束に向かい、海外渡航に関する制限が大幅に緩和されました。そうした中、日本からの距離が近く物価が安いことで有名なベトナムが、移住先として注目を集めています。
ベトナムでは近年、ホーチミンやハノイといった都市部を中心に、経済が急速に成長しています。それに伴い、日系企業の進出やインフラの整備が進み、日本人にとっても住みやすい国になりつつあります。
ですが、依然として発展途上国という印象が強く、「ベトナムに興味はあるけど実際に住むイメージが湧かない.....。」といった人も少なくありません。
そこで今回は、ベトナム ホーチミン在住歴1年目の筆者(20代・男性)が、ホーチミンでの生活の様子について、日本での生活と比較しながらお届けします!
この記事をお読みいただくことで、日本人目線でのリアルなベトナム事情を知ることができ、ベトナムで生活をするイメージがより鮮明になるはずです。ぜひ最後までご覧ください。
※記事内の情報およびレートは2024年4月時点のものです(1円=0.006VNDで計算)。
食事
ベトナム料理はフォーだけじゃない!
ベトナム料理と聞くと、フォーやパクチーの効いた料理を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
筆者は元々パクチーが苦手で、ベトナム料理は全体的にクセの強い印象あったため、ベトナムへ来る前は現地の食生活に慣れることができるかどうか、少々不安でした。
ですが実際には、クセが少なく味付けも日本食に似ているなど、ベトナム料理に慣れていない人でも十分に楽しめるローカルフードが盛りだくさん!
パラパラの白米にこんがり焼かれた豚肉が乗った「コムタム」や、米粉ベースの太麺を牛骨の出汁が効いたスープと一緒に頂く「ブンボー」など、日本人には馴染みのない絶品のローカルフードがたくさんあります。
都市部ではベトナム料理以外も充実
日本では、「サイゼリア」や「日高屋」といった飲食チェーン店が全国に広く展開しており、和食以外の料理をリーズナブルな価格で気軽に楽しむことができます。
ベトナムでは、そうした飲食チェーン店が少なく、大半が個人経営のローカルレストランです。そのため、提供される料理もベトナム料理がメインとなり、都市部や観光地以外では、和食や中華、イタリアンを頂けるレストランがほとんどありません。
ただホーチミンには、吉野家やマクドナルドといった有名チェーン店や、外国人が個人経営している飲食店も数多く立ち並ぶため、ベトナム料理以外にも様々な国の料理を楽しむことができます。
自炊をするよりも外食の方が安い?!
日本では、人件費や食材費の高騰により、外食にかかる費用が日に日に増加しています。ランチで外食するとなると、1食あたり1,000円前後が相場といったところでしょうか。
ベトナムでも近年、都市部を中心に物価が上昇していますが、それでも日本と比べると依然として物価が安い状態です。例えば、ホーチミン市内のローカルレストランでは、1食あたり300円前後が相場となっています。
また、吉野家やマクドナルドといった外資の飲食チェーン店で食事をする場合でも、日本円に換算するとベトナムで食べる方が安い、といったケースが多く、日本での生活と比べて食費を格段に抑えることが可能です。
そのため、日本人が現地で一人暮らしをする場合、「自炊をして食材を持て余すくらいなら、全て外食で済ませる方が安い」などと言われこともあります。
衛生環境
ベトナムでは水道水が飲めず飲料水は有料
日本では、水道水をそのまま飲むことができ、公園やレストランを始め、外出時でも簡単に飲料水を手に入れることができます。
ですが、日本と比べると水道整備が遅れているベトナムでは、水道水に不純物が含まれている可能性が高く、飲料水を手に入れるにはミネラルウォータを購入するのが一般的です。
ただ、ミネラルウォーターは1Lでも50円程度とリーズナブルで、ベトナムでは一度使用したペットボトルを使い回すような風潮もないため、気軽に安心して購入することができます。
とはいえ、「暑い中帰宅したら飲料水を切らしており、再度外出して買いに行かなければならない」といった場面もつきもので、少々面倒に感じるかもしれません。
ローカルレストランで食事をする際は食器に注意
日本でレストランや食堂というと、ガラスなどで外気から遮断された建物の中で食事をする店舗が大半かと思います。
ですが、ベトナムのローカルレストランの大半は、屋台式の店舗または開放的な作りの店舗で、スプーンやフォークといった食器が外気に晒されているケースが多々あります。
そのため、食事をする際はまず、卓上に置かれている紙ナプキンやおしぼりで食器を軽く拭かなければなりません。
ちなみにベトナムでは、卓上の紙ナプキンは無料ですが、おしぼりは有料であるケースが大半です。とはいえ、2,000VND(12円)程度で、紙ナプキンよりも衛生的なので、ためらわずに使用することをオススメします。
パンデミックに関係なく外出時はマスクが必須
日本では、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴うマスク着用が不要となり、街中ではマスクを着用せずに外出する人をよく見かけるようになりました。
ですが、バイクの交通量が多く排気ガス問題が深刻化している都市部では、パンデミックの有無に関わらず、自己防衛として大半の人がマスクを着用しています。
もちろん、マスクの着用は義務化されていませんし、着用していないからといって白い目で見られることもありません。ただ、街中でマスクを着用していない人は、近所の人か観光客だけ、といっても過言ではないと思います。
筆者は、元よりマスクの着用を面倒に感じていたので、ベトナムへ来た当初は、外出時にマスクを着用していませんでした。
すると、3ヶ月程経過した頃から、咳が止まらなくなり常に息苦しさを感じるように......。
特効薬が無いそうで、マスクを着用しながらひたすら耐えて、完治するまでに1ヶ月を要しました。
日本で生活していると、大気汚染に悩まされることが少ないため、あまり馴染みの無いことかもしれません。ただ、この記事をご覧になっている皆様が同じ苦しみを経験しないよう、外出時のマスク着用を強くオススメします。
言語
公用語はベトナム語で日本語や英語とは別物
ベトナムの公用語はベトナム語で、アルファベットに声調記号をつけた文字を使用します。
中国の影響を受けていた名残で、今でも街中で漢字を見かけることがありますが、基本的にベトナム語は日本語や英語とは全くの別物です。
そのため、英語圏であれば単語の意味を知らなくてもある程度推測することが可能ですが、ベトナム語の場合、「看板やメニューの意味が全くわからない」といったケースも少なくありません。
そうした場合に備えて、Google翻訳などのオフラインでも利用できる翻訳ツールをあらかじめ用意しておくことが大切です。また、ベトナムの人々は比較的フレンドリーな傾向にあるため、翻訳ツールを使用しながらなでも、嫌がられることなくコミュニーケーションを取ることができます。
ホーチミンでは英語や日本語が通じる場所も
ホーチミンには観光やビジネス目的で外国人が多く生活しているため、看板やメニューは大抵の場合、英語でも併記されています。
また、若者であれば日常会話程度の英語でコミュニケーションを取れるケースが多いです。実際、2023年の英語能力指数ではベトナムが日本を上回っており、ベトナム人の英語力の高さを裏付けています。
そのため、ホーチミンで生活される方の場合はまず、ベトナム語よりも日常会話程度の英語をマスターしておいた方が実用性が高いかもしれません。
また、市内中心部や日本人街など限られたエリアにはなりますが、日本語でのコミュニケーションが可能な場所も存在します。特に、中心部の日本食レストランでは、注文から会計までの全てを日本語で完結させることも可能です。
<参考データ>
EF Education First:https://www.efjapan.co.jp/epi/
時間感覚
日本に比べると時間感覚はとてもルーズ
日本では、交通機関や仕事での会議など、多くの場面において時間通りに進行することが当然であるとみなされています。
そのため、タイトなスケジュールで行動したり、電車が少し遅れるだけで不満を募らせたりする人を多く見かけます。恥ずかしながら、筆者もその中の一人でした。
ですが、ベトナムでは日本ほど時間厳守といった風潮がなく、多少の遅れは仕方がないといったスタンスが主流です。
そのため、バスやタクシーが時間になっても到着しないことや、会議の時間になっても参加者が現れないことも度々あります。
余裕を持ったスケジュールを組むことが大切
ただ、時間を意識するだけでは防ぐことができず、仕方なく遅れてしまうケースというのも確かに存在します。
例えば、ホーチミン市内では電車が走っていないため、車またはバイクでの移動がメインになります。ですが、人口集中に伴って交通量が非常に多く、渋滞に巻き込まれると通常の2〜3倍の時間を要することも少なくありません。
その結果、予定では間に合うはずだったのに遅れてしまう、といった事態が発生してしまいます。
ただ、現地で生活する人々はそうした事情を理解しており、持ちつ持たれつで成り立っているのも事実です。
そのため、スケジュール通りに進まないことを想定して、余裕を持ったスケジュールを組むことが、より一層大切になります。
そうすれば、多少の遅れやズレが発生しても、心に余裕を持つことができ、ストレスを抱えずに受け止めることができるではずです。
移動手段
長距離は飛行機・バス、それ以外はバイク
日本で移動する際は、通勤は電車、休日の移動は車、旅行は新幹線や飛行機、といった形で用途に応じて様々な移動手段を活用することができます。
ですがベトナムでは、長距離は飛行機・バス、それ以外はバイク、というのが一般的で、日本と比べると移動手段が限られています。
一応、国土を縦断する形で鉄道が走っていたり、フェリーでの移動も可能だったりしますが、まだ一般的な交通手段としては普及していません。
また、中には車を所有する人もいますが、都市部には細い路地が多く、度々発生する渋滞時には小回りの効くバイクの方が便利といった理由から、乗用車の保有率は日本の1/50程度と、非常に低い水準に留まっています。
<参考データ>
日本自動車工業会:https://www.jama.or.jp/statistics/facts/world/index.html
気軽に利用できるタクシー「Grab」
そうしたベトナムの交通事情がある中で、在住者および観光客から大人気なのが、東南アジアを中心に配車サービスを展開する「Grabタクシー」です。
日本でタクシーというと、やや高級なイメージがあり利用を控える方も多いかと思います。
ですが、Grabタクシーは日本のタクシーに比べて価格が1/5程度とリーズナブルで、さらに目的地までの距離に応じた前払い制なので、金額を上乗せされる心配もなく、どなたでも安心して利用することができます。
特に、筆者のようなバイクを所有しない人にとっては生命線で、初乗りが110円程度と安いことから、「移動時には毎回Grabタクシーを利用する」という人も少なくありません。
休日の過ごし方
ベトナムでも様々な方法で休日を満喫できる
日本では、屋外でスポーツを楽しんだり、屋内で映画鑑賞を楽しんだりと、様々な方法で休日を満喫することができます。
ホーチミンでも、スポーツ施設やアミューズメント施設の数は日本ほど多くはありませんが、不自由なく、様々なアクティビティを体験したり施設を利用したりすることができます。
また、ホーチミンの街中には至る所におしゃれなカフェが立ち並んでいます。そのため、お気に入りのカフェで読書をしたり外の景色を眺めたりしながら、ゆっくりと休日を過ごす、というのもホーチミン生活の醍醐味です。
日中の過ごし方には注意が必要
日本での生活と同様に様々な方法で休日を満喫できる一方、日中の過ごし方には注意が必要です。
というのも、ベトナムでは日本よりも日中の日差しが強く、体感気温が実際の気温を大きく上回ることが度々あります。そのため、想像以上に寒暖差が激しかったり、すぐにバテてしまったりして、熱中症や体調不良につながりかねません。
そのため、知り合いのベトナム人の大半は、朝早くから行動を開始して12時前には帰宅し、暑さが落ち着いた夕方頃に再度行動を開始する、といったスケジュールで動いているようです。
もちろん、適度に涼めば日中も外出をすることは可能ですが、日本で生活するときの感覚で日中に街中を歩き回ったり、観光したりすることは難しいかもしれません。
生活費
依然として生活費が安いベトナム
「ベトナムは世界でもトップクラスに物価が安い」などと言われる通り、確かに、日本での生活と比べて、生活費を格段に抑えることができるのは事実です。
自炊をせずにローカルレストランで全ての食事を済ませたとしても、1ヶ月あたりの食費を25,000円程度に収めることがきますし、交通費や通信費も日本に比べて圧倒的に安いです。
また、ジムやスパといった娯楽も低価格で利用できるため、日本では費用を気にして踏みとどまっていたことにも、ベトナムでは気軽に挑戦することができます。
経済発展に伴い物価は着実に上昇
ですが、ベトナムでは経済発展に伴って、ホーチミンを始めとする都市部を中心に物価が年々上昇しています。
特に、不動産価格の高騰が著しく、ホーチミンで外国人向けのレジデンスを探す場合は、1ベッドルームで2,000万VND(12万円)、2ベッドルームで3,000万VND(18万円)程度が相場となっています。
そのため、以前は月5万円でタワマン生活を満喫できるとまで言われていましたが、現在は少なくても、月10万円程度の生活費を見込んでおくのが良いでしょう。
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まとめ
ベトナム ホーチミンでの生活の様子について日本人目線でお届けしましたが、いかがでしたか?
衛生面や言語に不安が残りベトナムでの生活は難しそうだと感じる方もいれば、想像以上に発展していて自分でも生活できそうだと感じる方もいるかと思います。
実際、日本と比べて整備が進んでいない部分も多々ありますが、経済発展に伴い、住みやすさが年々向上しているのは紛れもない事実です。
そのため、ぜひこの機会に、移住先としてベトナムを検討してみてはいかがでしょうか。