(ホーチミン市内中心部に位置する「統一会堂」)
日中の日差しが厳しく、突然の大雨に見舞われることも多いホーチミンでは、「予定通りに屋外を観光できない......。」といった場面が多々あります。
そうした時に、おすすめの観光スポットが博物館です。
しかし、ホーチミン市内だけでも数多くの博物館があり、「どの博物館に行けば良いのかわからない......。」と迷ってしまう人も少なくありません。
そこで今回は、ホーチミンでおすすめの博物館を以下5つのテーマ別にご紹介します!
- ベトナム戦争の概要
- ベトナムの王朝や文化
- ベトナムの薬学や医学
- ベトナム人女性の活躍
- ベトナム戦争を陰から支えた人々
この記事をお読みいただくことで、学びたい内容に合った博物館を見つけることができ、ホーチミン観光がより充実したものになるはずです。ぜひ最後までご覧ください。
※記事内の情報及びレートは2024年6月時点のものです(1円 = 0.006VNDで計算)。
1. ベトナム戦争の概要を学べる”ホーチミン市戦争証跡博物館”
「ベトナムに来たからには、現地でベトナム戦争の歴史を学びたい」という方にオススメなのが「ホーチミン市戦争証跡博物館」。
ベトナム戦争の悲惨さや残酷さを後世の人々に伝える目的で建てられ、ベトナム戦争の終結(1975年4月)から間もない1975年9月に開館しました。
館内には、ベトナム戦争に至った経緯から当時の悲惨さを物語る写真や手記、さらには各国で起こったベトナム戦争への反対運動の様子まで、ベトナム戦争に関する様々な資料が展示されています。
こちらは、ベトナム戦争で犠牲となった民間人の様子を伝える展示です。
ベトナム戦争では、約140万人のベトナム人兵士が亡くなりましたが、民間人の死者数はその3倍にあたる約450万人にも上りました。中には武装していた民間人もいましたが、犠牲となった民間人の大半は、武装していない子どもや女性、戦争に関わっていない少数民族の方々でした。
ここでは、世界各国から集まってきた戦場カメラマンによって撮影された、当時の様子を鮮明に感じられる写真が数多く展示されています。
こちらは、「ベトちゃん・ドクちゃん」でも馴染みのある枯葉剤の被害を伝える展示です。
ベトナム戦争では、約500万人以上の人々が枯葉剤を浴びたとされており、戦争終結から約50年が経過した今でも、当事者の2世や3世にまでその影響が及んでいます。
そうして、先天的な障害を持って生まれた方々などを撮影した写真が展示されている一方で、悲惨さを物語るだけでなく、被害に遭われた方々が懸命に生きている様子を捉えた写真も多く展示されており、その前向きな姿に勇気づけられる方も多いことでしょう。
館内の説明書きの大半が、英語・ベトナム語・フランス語で書かれていますが、一部は日本語でも表記されています。
また、入り口では日本語での音声解説をレンタルすることもできるため、腰を据えてじっくりと学びたい方にはオススメです。
《博物館情報》
- Webサイト:https://baotangchungtichchientranh.vn/?language=en
- 営業時間:7:30〜17:30
- 入館料:40.000VND(240円)
2. ベトナムの王朝や文化を学べる”歴史博物館”
ホーチミン市内の博物館の大半は、ベトナム建国の父と称されるホーチミン主席やベトナム戦争について展示するものですが、「ベトナムに関する中世やそれ以前の歴史を学びたい」といった方にオススメなのが「歴史博物館」。
紀元前からベトナム戦争直前までの時代に関する展示が充実していて、各時代の文化や王朝の様子について幅広く学ぶことができます。
モンゴル帝国やカンボジアによる侵攻、それに伴う領土の拡大・縮小など、ベトナムが現在の多民族国家を形成するに至ったルーツを学ぶ上で欠かせない博物館です。
こちらでは、2〜19世紀にかけてベトナム中南部を支配していた「チャンパ王国」時代の石像や仏像が展示されています。
シヴァやガネーシャといったヒンドゥー教の神々にまつわる石像や、国宝に指定されている仏像など、並んでいる展示品はどれも貴重なものばかり。
また、チャンパ王国の領土はベトナムのみならず現在のカンボジアにまで及んでいた影響で、展示品の多くはカンボジアの遺跡で見られるものと類似しており、両国の歴史的な繋がりを感じられる場所でもあります。
こちらでは、1802年から1945年まで続いたベトナム最後の王朝「グエン朝」に関する品々が展示されています。
ベトナム人によく見られる「グエン(Nguyen)」という苗字を持つ人の数は、実に人口の約40%にも上るとされており、その由来と言われているのがこちらの王朝です。
ベトナム中部フエにあるグエン朝王宮の遺跡は、世界遺産に登録されていることで有名ですが、こちらの博物館でも王様が実際に身につけていたとされる衣服や、技術の発達に伴い製造が可能となった美しい陶磁器などを見ることができます。
《博物館情報》
- Webサイト:https://www.baotanglichsutphcm.com.vn/en-US/
- 営業時間:8:00〜11:30、13:00〜17:00
- 入館料:30.000VND(180円)
3. ベトナムの薬学や医学を学べる”伝統医学博物館”
ホーチミン市中心部にある博物館を一通り観光し、「ホーチミン主席や戦争以外について展示している博物館に行ってみたい」という方にオススメなのが「伝統医学博物館」。
名前にある通り、ベトナムにおける医学や薬学の歴史に特化した博物館で、海外から技術が伝来してきた当時の資料や、薬品を作るために使用されていた器具などが展示されています。
薬草の香りが漂う館内には、天井からぶら下がっている器具や壁一面に飾られた薬草の標本など、眺めるだけでも十分に楽しめる展示品が多いため、医学や薬学に興味がない方にもオススメです。
写真左は、博物館の目玉である3,000枚にも及ぶ薬草のスケッチです。
1つ1つの絵が説明書きと共に繊細なタッチで描かれており、これまで薬草に興味のなかった私でも思わず見入ってしまうほど圧巻の作品でした。
また、実際に様々な薬草の匂いを嗅ぐことができる場所や、一面中に朝鮮人参やヘビをつけた瓶が展示されている部屋などもあり、他の博物館にはない新鮮な体験をすることができます。
見所満載の展示品に加えて、この博物館が人気を集めているもう1つの理由がオシャレな建築様式。
ベトナム中部のフエや北部の地域、さらにはチャンパー時代の建築洋式など、様々なベトナムの伝統的な建築様式を組み合わせて建てられています。
そのため、市内中心部の建物に多く見られるフランスの文化が混ざった「コロニアル様式」とは一味違い、そのオシャレな空間で撮影をするために訪れる人も数多くいるほどの人気ぶりです。
《博物館情報》
- Webサイト:https://fitomuseum.com.vn/
- 営業時間:8:30〜17:00
- 入館料:180.000VND(1,080円)
4. ベトナム人女性の活躍を学べる”南部女性博物館”
日本よりも女性の社会進出が進んでいるベトナムにおいて「女性が活躍してきた歴史を学びたい」といった方にオススメなのが「南部女性博物館」。
ベトナム人女性の愛国心や活躍を後世の人々に伝える目的で建てられ、ベトナムの伝統的な民族衣装であるアオザイなども展示されています。
市内中心部からすぐの3区に位置していて入場料も無料なので、雨宿りや日除けを目的にフラっと立ち寄るのもオススメです。
館内の展示品は、植民地時代や戦時下における女性の活躍を紹介するものがメインです。
フランス統治時代に投獄されながらも独立運動を続けた女性たちの紹介をはじめ、ベトナム戦争の際に自ら戦地へと赴いた女性兵の衣服や、その功績をたたえた勲章などを見ることができます。
当時の女性たちを撮影した写真や手紙などからは、自国の解放や自由を求める強い愛国心を感じることができ、当然この限りではありませんが、ベトナムで女性進出が進んでいる一因を垣間見ることができるでしょう。
別のフロアでは、約100年前のグエン王朝時代に着用されていたものから、2000年以降の国際的なイベントや会合で着用されていたものまで、様々な種類のアオザイが展示されています。
特に、フロアの中央で展示されているフォトジェニックなアオザイは、2010年と比較的最近に制作されたもので、思わず目を奪われてしまうほどの美しさ。
また、隣の部屋では各民族の伝統的な女性の衣装が展示されており、気温や降水量に応じて素材や色味が少しずつ異なっているのを見て楽しむことができます。
《博物館情報》
- URL:https://baotangphunu.com/en/home/
- 営業時間:7:30〜11:30、13:30〜17:00
- 入館料:無料
5. ベトナム戦争を陰から支えた人々について学べる”サイゴン・ザーディン特殊部隊博物館”
「ベトナム戦争について表にはあまり出てこない裏側を知りたい」といった方にオススメなのが「サイゴン・ザーディン特殊部隊博物館」。
ベトナム戦争の際に、敵の懐に侵入して数々の事件を起こしてきた特殊部隊兵の功績をたたえて建てられた博物館です。
2023年8月にオープンしたばかりで、まだ観光客にはあまり知られていない博物館なので、混み合うこともなく、落ち着いてゆっくりと見て回ることができます。
館内は1フロアでコンパクトにまとまっているため、30分ほどで見て回ることができます。
「ブリンクホテル爆破事件」や「ビクトリアホテル爆破事件」など、ベトナム戦争で重要な役割を担ったものの日本語での文献が少ない事件について、実際の手口や詳細な時間が紹介されており、新鮮な体験になること間違いありません。
また、特殊部隊兵が使用していた武器や乗り物、さらには諜報活動で使用していた道具などが展示されており、コンパクトながら見応え十分な展示となっています。
展示品のみならず、この博物館の魅力はその建物自体にもあります。
チケット売り場があるビルの最上階へと向かうエレベーターは、手動で扉の開閉を行う古風なスタイルで、大人でも思わずワクワクしてしまいます。
さらに、最上階ではカフェとしても営業しており、交通量の多い大通り沿いとは思えないほど、ゆったりとした時間を過ごすことができます。
《博物館情報》
- Facebook:https://www.facebook.com/baotangbietdongsaigon/?locale=vi_VN
- 営業時間:7:30〜19:00(日〜木)、7:30〜17:30(金・土)
- 入館料:50.000VND(300円)
まとめ
ホーチミンでおすすめの博物館を5つご紹介しましたが、いかがでしたか?
まだ行ったことがない博物館があれば、ぜひ足を運んでみてみてください。
ホーチミンには今回紹介した博物館以外にもまだまだ魅力的な博物館があります。
ぜひ、色々な博物館をまわって、ベトナムに関する理解を深めてください!