【マレーシア法務ブログ】第14回:商標登録の出願③

TNYグループのマレーシア事務所の弁護士の荻原と下田です。前回・前々回に引き続き、今回も出願手続について解説していきます。

 

1 概論

審査が終了した後、登録官は出願を受理するか否かを決定します。出願が受理された場合にはそのまま公告がなされ、異議申立がなければそのまま登録へと進むことになります。当該商標が商標登録の要件を満たしていないと登録官が判断した場合には、暫定拒絶の通知がされ、聴聞等を通じて更なる検討がなされることとなります。

 

2 出願が受理された場合

審査の結果、出願された商標が商標登録の要件を満たしていると登録官が判断した場合、その出願は受理されます。商標登録の出願が受理された場合、出願が受理された旨が知的財産官報に公告されます。

 

3 出願が拒絶された場合

出願された商標が商標登録の要件を満たしていないと登録官が判断した場合、登録官は出願者に対し、理由を付して暫定的拒絶の通知をします。これに対し、出願者は登録官が通知において定める期間内に以下の方法で応答をする機会を与えられます。

a. 説明のため書面を提出または聴聞の開催を申請する
b. 登録官が適切と考える条件、修正、制限等に適合するよう出願を訂正する
c. 法定宣誓書等の形式で情報または証拠を追加提出する

当該期間内に出願者が何らの応答もしなかった場合には、出願は取り下げられたものとみなされます。

上記a.、b.またはc.に基づく出願者の応答を検討した後、登録官は出願を受理するか否かを改めて決定します。登録官が商標の出願を受理する場合には、出願が受理された旨が知的財産官報に公告されます。登録官が受理を拒絶する場合には、出願者に対し書面で通知をします。この場合、出願者は、受理の拒絶が決定された日から2か月以内に、所定の費用を支払って、決定の理由を書面で開示することを求めることができます。

 

4 異議の申立手続

(1)異議の申立
商標登録の出願の受理が公告された場合、当該商標の登録に異議がある者は異議の申立をすることができます。異議の申立は当該公告から2か月以内になされなければなりません。また、異議の申立に際しては、所定の費用の支払いのほか、出願者への異議申立書の写しの送付が必要となります。

(2)異議申立の理由
ア 登録所有者からの異議申立
異議申立者が当該商標の登録所有者の場合、異議申立者、異議申立者の前任者、異議申立者の管理下または権限下にある者が以下の日より前から継続的に当該商標を使用していたことを理由に異議の申立をすることができます。

a. 出願者、出願者の前任者、出願者の管理下または権限下にある者による当該商標が使用を開始した日
b. 出願がなされた日

イ 主体を問わない異議申立
以下の理由による異議申立は、何人によってもすることができます。

a. 2019年商標法(TRADEMARKS ACT 2019)23条(絶対的登録拒絶事由)および24条(相対的登録拒絶事由)に該当すること
b. 出願者が当該商標の所有者ではないこと
c-i. 当該商標がマレーシアにおける周知商標と同一であり、当該周知商標と同一ではなく類似もしていない商品またはサービスに登録されること
c-ii. 当該商標がマレーシアにおける周知商標と類似しており、当該周知商標と同一ではなく類似もしていない商品またはサービスに登録されること

ただし、c-i., c-ii.を理由とする異議は、当該商標が当該商品またはサービスとの関係で用いられることにより(a) それらの商品またはサービスと当該周知商標の所有者との間のつながりを示すこととなり、(b) 公衆の一部に混乱の可能性が生じ、(c)周知商標の所有者の利益が損なわれる可能性が高い場合に限り申立をすることができます。

(3)異議申立手続の終結
出願者および異議申立者に対し主張を提出する機会を与えた後、登録官は以下のいずれかについて決定をします。

a. 登録を拒否するか否か
b. 無条件に登録をするか否か
c. どのような条件、修正、放棄事項または制限を付するか

 

5 登録

出願が受理され、異議申立がなされないまま所定の期間が満了した場合または異議申立に対して出願者に有利な決定がされた場合、登録官は商標の登録を行います。登録は出願の日付でなされ、同日が登録日とみなされます。
商標の登録に際し、登録官は出願者に対し印章を付した登録通知を発行します。2019年商標法においては、登録証明書は当然には発行されず、所定の料金の支払いとともに発行の申請がされた場合にのみ発行されます。

 

6 登録の更新

商標登録の存続期間は登録日から10 年間であり、更新によりさらに10年間延長されます。
商標登録の存続期間満了後であっても、満了日から6か月以内であれば 更新の申請をすることが認められています。商標登録の存続期間満了から6か月以内に更新が行われない場合には商標は削除されたものとみなされますが、削除から6か月以内であれば復元の申請を行うことができるものとされています。

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日本国弁護士:荻原 星治
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マレーシア弁護士と共に、会社設立手続き、各種ライセンス取得手続き、雇用契約書や就業規則の作成等の労務関連、売買契約書等の各種契約書の作成、法規制の調査、意見書の作成、DD等のM&A関連、訴訟・紛争案件、不動産譲渡手続き、商標登録等の知的財産権関連等、幅広い法務関連サービスを提供している。多くの日系企業と顧問契約を締結している。 また、ヤンゴン(SAGA ASIA Consulting Co., Ltd.)、バンコク(TNY Legal Co., Ltd)、大阪・東京(弁護士法人プログレ・TNY国際法律事務所)、テルアビブ(TNY Consulting (Israel) CO., LTD.)にも関連事務所を有する。

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