世界中での感染の広まりに伴って、3月上旬から入国制限やSHN措置を拡大したことにより、海外からの帰国者が相次ぎ、国内の感染症例数は大幅に増加してしまったシンガポール(詳細は、シンガポールの新型コロナウイルス感染状況と対策から学ぶ③で紹介しています)。もはや安全とはいえない国内状況となってきました。これにより、シンガポールへの渡航を中止・延期された方も多いのではないでしょうか?個人的にも、同時期にMOMに申請した入国が却下されてしまい、帰国できなくなってしまいました。
1. 3月18日、SHN措置は遂に全入国者に適用
全世界ほとんどの国での感染例の確認されたことに伴い、海外からの入国者が多いシンガポールでは3月18日の国内感染者症例が300件を超えました。国土が東京都並みであることを考えると、同時期の日本の症例数が111人(東京都の発表)と比べて、シンガポールの感染密度は非常に高いことになります。最近3日間の新規症例の約70%が流入症例であり、そのほとんどがシンガポール在住者・シンガポールに帰国した長期滞在ビザ所持者であることを受け、MOHからシンガポール国民に対して即時に全ての海外渡航を延期するよう勧告がだされました。また、21日からSHNは全ての国から渡航し、シンガポールへ入国した者に対して義務付けられました。(これに従わず、永住権を剥奪され、以降の再入国を禁じられた事例もあります)
無事入国できたシンガポール人でさえも、感染リスクがあるまま、家族の元へ帰るわけにはいかないため、14日間(Stay-Home Notice)滞在できる場所(現地ではシェルターと呼ばていれる)を探さなければなりません。しかしながらホテルや民泊を提供している企業も、政府が決定してすぐに施行した政策によって、帰国者から「14日間滞在させて欲しい」との問い合わせに窓口が追いつきません。受け入れ先にとっては、政府は誰がどこにいるのか管理するための滞在を受け入れる許可を正式な文書で発行する手間がかかったり、万が一発症した場合の処置や治療の対応にも追われるため、SHN目的の滞在を断ります。入国者は行き場をなくしてしまうのです。それでも、SHNを遂行しなければ処罰の対象となり、帰国者は滞在場所を探し求めなければなりません。
そこで政府は、国で準備された一時滞在先を確保し、帰国者がSHN費用を負担しなくてもよいようにしました。また空港にも家族が迎えに行くことで接触しないよう、準備した車で帰国者を滞在先ホテルまで送迎するようになったようです。
2. 3月21日、短期滞在者は全て入国・トランジット禁止
国内感染症例の増加は止まらず、21日には400件を超えました。18日以降、約3日ほどで実に100件以上の増加です。22日の発表では、最近の3日間の80%が海外で感染し、そのほとんどがシンガポール在住者またはシンガポールに帰国した長期滞在ビザ所持者のようです。渡航国に限らず全ての短期滞在者はSHNを満たせば入国可能でしたが、24日からシンガポールへの入国及びトランジットが禁止になりました。労働ビザ保持者(帯同ビザ保持者も含む)については、保健・運輸などの必要不可欠なサービス提供に従事する者のみが(再)入国を許可されるとの内容もあり、この時これらの業界に当てはまらない初めて自分の入国申請が却下された理由がわかりました。
3. 3月24日、国内予防措置の強化
23日の発表では500件に達したため、24日には国内の感染拡大を防ぐための新たな措置を公表しています。狭い空間や場所で人が多く集まることを避けるよう勧告しています。これにより、私自身現地で通っていた中国語の語学学校の授業も休校を余儀なくされてしまいました。私自身は日本に帰国以来オンライン授業を受けているため、影響はないのですが。
個人的には帰国できなくなったことにより、上司からの提案もあり、4月から日本からリモートワークをすることが決まりました。次回の渡航申請のタイミングは、ゴールデンウィーク前を予定していますが、状況によっては入国許可が下りず、日本への滞在が延期となるでしょう。また0歳の子供を4月からシンガポールの託児所に入園させる予定でいましたが、そちらも一時保留で、日本の託児所を急遽探さなくてはいけなくなりました(シンガポールの一部の幼稚園でも新たなクラスターが生じたようで、休園しているそうです)。
さて、この先日本への滞在はいつまで伸びるのでしょうか。世界中とつながりを持つ国であるからこそ、一国の状況だけでなく、世界での新型コロナ感染の収束の兆しが見えてこなければ、入国制限は解除されず、日本への滞在が長期化する可能性も否めません。