ベトナム人と一緒に楽しみたい、テト(旧正月)のユニークな風習とは?

みなさん、こんにちは!
ホーチミン在住のベトナム人Hanです。

ベトナムの伝統的なテト(旧正月)では、みなさんはご自身の国に帰国されるか、もしくはベトナム国内で過ごされましたか?テトの概要についてはこちらの記事で知ることが出来ますが、テトをもっと深く理解できるよう、今回はユニークな風習をご紹介します。

幸運な1年を過ごすには、テトを迎える前の準備がとても大切です。ベトナムでは「赤」が王道の色とされ、人々の幸運と金運、そして繁栄を象徴すると言われています。悪魔を追い払う色とも言われ、テトの準備に赤色の物を使用するのはこのためです。

 

中国の思想に由来した、伝統的な飾り

テトに欠かせないのが、バイテット、バイチュンと呼ばれるベトナム風ちまき。ベトナムの伝統料理であると同時に、テトの精進料理とされています。

また、写真のようにマングーワ(Mân ngũ quả)と呼ばれる果実を祭壇に飾ります。豊作・富・長寿・健康・平和を象徴する5色の果物を使用します。古代中国の思想 陰陽五行説にも、五行(金・木・水・火・土)の概念があり、それぞれに、白・緑・黒・赤・黄色が配当されます。これらの色を含む果物として、スイカやバンレイシ、グレープフルーツ、マンゴー、イチジク、パイナップルなどを用意します。南部と北部では使う果物の種類が異なり、バナナはベトナム語で「チュウー」と読み、同音異義語で「倒れる」という意味があるため、南部の人は使用しません。

マングーワ
引用:https://dantri.com.vn/doi-song/chuyen-gia-chi-ra-sai-lam-can-tranh-trong-viec-bay-mam-ngu-qua-ngay-tet-20190125162005751.htm

 

家中を赤く彩る様々な工夫

テトの季節になると、たくさんの花を飾って街中を華やかにします。テトを象徴する花といえば梅と桃の花ですが、赤い花も人気で、幸せを意味するバラやガーベラなどを家の中に飾ります。ベトナム人の家を訪ねると、家中が赤くてびっくりされるかもしれません。

赤色の梅の木
引用:https://hoadepviet.com/hoa-mai-do-dep-ngay-tet/

また、ココナッツや蓮根、金柑などを砂糖漬けにし、色鮮やかに仕上げます。写真の中で特に目を引くのは、真っ赤なスイカの実の塩漬けです。

砂糖漬けと赤いスイカの実の塩漬け
引用:http://chuaadida.com/chi-tiet-tac-dung-chua-benh-cua-8-loai-mut-tet-vo-cung-quen-thuoc-4449.html

中国では、春節などに伝統的な装飾「対聯(ついれん)」を貼りますが、ベトナムでもかつては儒家に「赤い対聯」を飾っていたという話があります。赤色や桃色の紙に、黄色や黒で文字を書いたものを赤い対聯と呼びます。一部の家ではこの風習が今でも続いており、大きいものを壁に、小さいものを桃や梅の木に掛けます。

近年では、ホーチミン市青年文化館の前にPho Ong Doという書道ストリートなるものが出現し、書の購入や写真撮影、書道体験などをすることができます。

赤い対聯
引用:https://www.sendo.vn/nhip-song/cau-doi-tet-co-y-nghia-gi-trong-van-hoa-nguoi-viet/

 

おばけを追い払う、赤いお年玉伝説と竹飾り

次は、子どもも大人ももらうと嬉しい「お年玉」にまつわる面白い伝説を紹介します。ベトナムのお年玉袋は赤色が多いですが、みなさんはその理由をご存知でしょうか?

昔、大晦日の夜中になると出現するイタズラ好きのおばけがいました。子どもたちの頭を触るのが好きで、寝ている子の頭を触って目を覚まさせ、泣かせていたのです。
ある50代の夫婦も、生まれたばかりの息子と共に大晦日を迎えようとしていました。その時、8人の仙人が夫婦の家を訪れ、息子が今晩災難にあうと予言しました。仙人たちは8枚のコイン化けて、夫婦が彼らを赤い紙に包み、息子に枕元に置きました。そして真夜中におばけが出ると、枕元が光りおばけは逃げていったそうです。

この話が言い伝えられ、テトにはお年玉を赤い袋に包んであげる風習として定着しました。今では「幸せなお金」と呼ばれ、災難を避けたり、子どもたちには安全・健康・勤勉を、お年寄りには健康・長寿をもたらすお守りとされています。

赤いお年玉
引用:https://inanlvc.com/tin-tuc/in-bao-li-xi-theo-xu-huong-moi-nhat-nam-2019-3/

そしてこれらの準備が終わったら、新しい服に着替えて新年を迎えましょう。もちろん赤い服が良いですね。赤いアオザイを着て梅の木の側に立てば、立派なベトナム人になれますよ。

また、地方によってはカイーネウー(Cay neu)という、日本のしめ飾りのようなものを用意します。高さ5~6メートルの竹の先端にお供え物やお守り、サボテン、お酒、紙でできた鯉、赤いのぼり、小さい陶器の磬(読経の際に打ち鳴らす中国の仏具)など様々な飾りを掛けます。磬の音が鳴り響き、おばけに「ここには人がいますよ」「いたずらをしてはいけませんよ」と知らせているのです。夜になると提灯を掛けて、祖先たちが迷わずに帰れる道を示します。

カイーネウー(Cay neu)
引用:http://baothanhhoa.vn/van-hoa-giai-tri/cay-neu-trong-tet-viet/96323.htm

 

獅子舞にテト料理…目一杯楽しむ三が日

さあ、これでテトの準備が整いました。一緒に新年を迎えましょう!この時期は楽しいイベントがたくさんあります。テトの三が日は親戚や友達の家を訪れたり、お寺へお参りに行ったり、旅行をしたりします。1年の幸運を願い、自分の年齢に合わせて良い時や方位を選んで出かける人もいます。

テト期間中は、道端でよく獅子舞や龍舞の団に会うことができます。ベトナムの獅子舞や龍舞は、長きにわたる発展や富を願うためのものです。突然現れては見事な踊りを披露し、人々を楽しませてくれます。4~5人の獅子舞団が小さいヘム(路地)を通って、ドアを開けている家の前で、お年玉をもらうために舞を披露します。その影響で渋滞になっても、もちろん誰も文句は言いません。

獅子舞
引用:https://www.mualanhaiphong.com/2017/04/mua-lan-su-rong-mot-net-dep-truyen-thong-cua-nguoi-viet.html

また、テト期間中に食べる料理は地方によって異なります。

北部は伝統的かつ優しい味付けの料理で、肉のゼリー寄せや玉ねぎの漬物、豚足の煮物、乾き物など、肉と野菜を使ったものが中心です。
中部は工夫や趣向を凝らした料理が好きで、バンテットや豚肉のヌクマム漬け、らっきょう・大根・人参・パパイヤの漬物などを用意します。
南部はかしこまった形式を好まず、各々が自由に楽しめるよう、バンテットやゴーヤの肉詰め、らっきょうの漬物などを合わせたテト料理セットを用意します。ゴーヤの肉詰めは、苦難が早く過ぎて楽しいことが訪れるように…という意味が込められています。

以上のように、食べ物から催しまで様々なテトの風習がありますが、これらは全て、家族に幸せが訪れ、何事も順調に進み、仕事が成功するように祈るために行うものです。みなさんもテト期間中にベトナムに滞在したら、ぜひベトナム人と同じように過ごしてみてください。

 

本記事はVIETJO Lifeに掲載されています。
連載コラム:【日本人が知らない】ディープなベトナム案内

 

人生は一度きり!

人生は一度きり!

HanT

大学で日本語学科を専攻していましたHanです。2013年よりICONICでアルバイトとして働き始めました。かれこれ7年もの間、いろいろな外国人の方と接する機会をいただいています。人生は一度きりなので、これからも有意義に楽しんでいきたいと思います。

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