タイ 2020年最新版 インフラ計画進捗状況 Vol.5

アジアへの玄関口・EEC

東部経済回廊(EEC)政策委員会によると、2022年〜25年にかけて完工・利用開始が見込まれている主なインフラ整備計画は以下で、東南アジアおよびアジア太平洋地域への玄関口としての役割が期待される。

 

① 3空港を繋ぐ高速鉄道

タイ国鉄(SRT)のマッカサン駅がターミナルとなり、北郊ドンムアン国際空港とスワンナプーム国際空港、東部ウタパオ国際空港を結ぶ高速鉄道で、24年の開通・開業を目指している。最速250キロで9駅(上記4駅に加えて、バンスー~チャチュンサオ~チョンブリ~シラチャー~パタヤ)を結ぶ。マッカサン駅(約140ライ)とシラチャー駅(25ライ)は公共交通志向型都市開発(TOD)の対象に指定されている。

さらに、実現可能性調査を完了したシラチャーからカンボジアと国境を接するタイ南東端に位置するトラート県クロンヤイまでの複線鉄道整備と並行して、延伸する案が浮上。延伸区間を「東部フルーツ回廊」として整備し、観光促進を図る考えだ。

 

② 第3のハブ・ウタパオ国際空港とその周辺

新たに第2滑走路と第3旅客ターミナル、商業施設、自由貿易ゾーン(FTZ)を23年までに増設。中国やロシア、インドからの団体客を見込んで、旅客収容能力を15年間で2,200万人に引き上げる見通し。また、需要が見込まれる航空機整備(保守・修理・分解:MRO)施設と同産業向けの人材研修センターが22年までに同空港近くに確保している500ライの土地に新設される。

 

③ レムチャバン港(第3期開発)

最先端の自動システムなどを導入し、コンテナ取扱量を年間700万TEUから1,800万TEU(Twenty-foot Equivalent Unit、20フィートコンテナ換算)へ増強。「アジアのデトロイト」からの自動車輸出能力を年間100万台から300万台に25年までに増加させる目標を設定している。

 

④ マプタプット工業港(第3期開発)

天然ガス・液体材料用(それぞれ年間約2,000万トン、1,100万トンの運送能力)と発電所・倉庫関連開発用のターミナルで構成される。25年までに1,000ライ(1ライ=1,600平方メートル)の敷地に、液化天然ガス(LNG)のタンカー接岸港2ヵ所、ガス積替え桟橋3ヵ所の増設、貨物倉庫、天然ガス関連事務所、沈泥溜め、サービス施設、砂防石堤防、防波堤の建造などを行う予定。

 

⑤ 鉄道の複線化

EEC域内の鉄道を複線化。レムチャバン港、マプタプット工業団地港、国内に点在する工業地区、内陸のコンテナ倉庫など、需要な工業団地・物流センターを連結、物流コストの削減による費用対効果の高い運送を実現する。SRTは2月にシラチャーからトラード県クロンヤイまでの複線鉄道整備の実現可能性調査を完了したことを明らかにした。

 

⑥ 都市間を結ぶ高速道路

EECの重要拠点を結ぶ高速道路の建設。7号線などを延長することで、運送・移動時間を短縮。また、都市間を結ぶ道路網により、未開発地域への交通の利便性が向上する。

 

⑦ スマートシティ構想

「タイランド4.0」やイノベーションの奨励に加えて、EEC域内に住む人々の生活をあらゆる面から支える地域づくりを目指す。質の高い教育・医療サービス、インターネット環境など最先端のインフラ整備を進める。

 
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