皆さん、フィリピンのフォークダンス(民族舞踊)を見たことはありますか?
フィリピンには本当に多種多様なフォークダンスが存在します。
7千を超える島々からなるフィリピンには、それぞれの島、地方にはさまざまな民族が住んでいます。そのためフォークダンスもそれぞれ存在。各民族の持つ独自の風習や文化がダンスに表れています。
また、フィリピンは16世紀後半からはスペイン統治下にあったため、スペイン文化の影響を受けているフォークダンスもあるんです。
今回、「チルドレンズ・ミュージアム(Children’s Museum)」というマニラにある博物館で、いろいろな民族のフォークダンスが見られる貴重なイベントがあったので、ご紹介します!
フィリピンの「パシナヤ2017」アートフェスティバルに参加!
2月4日・5日に今年で13回目となるアートフェスティバル「パシナヤ2017(PASINAYA 2017)」が開催されました。
メトロ・マニラにある美術館、博物館、アートギャラリーなどで催されるオープンハウスのイベントです。
今回私が訪れたチルドレンズ・ミュージアムも、このアートフェスティバルに賛同し、2日間ステージショーや館内ツアーなどのイベントを開催していました。その中で見学をしたのは、フィリピン・ハイスクール・フォー・デ・アーツ(Philippine High School For The Arts)の学生たちによるフォークダンスショーです!
フィリピンの多様なフォークダンスショーを堪能!
ミュージアム入口のすぐ左手にある広場に大きなステージが設置されていて、民族衣装に着替えた生徒たちが順番にダンスを披露。
1つのダンスは10分程度で、合計で6つのダンスが披露されました。私が心に残ったダンスは下の3つ!
■カパ・マロン・マロン(Kapa Malong Malong)
「マロンダンス(Malong Dance)」とも呼ばれるこのダンスは、ルソン島に次いで2番目に大きい島、ミンダナオ島(Mindanao)に住むマラナオ族から生まれたものです。カラフルな衣装を身に付け、腕と手を複雑に動かしながら踊るところが印象的です。
衣装は「マロン(Malong)」と呼ばれるマラナオ族の伝統的な衣装。布を腰からチューブのように巻くため「チューブスカート(tube skirt)」とも言われます。カラフルな糸で織られた布が特徴です。
マロンは男性、女性どちらも着ることができます。ミンダナオ島では現在も日常で使用されていて、ドレスだけではなく、ブランケット、日よけ、ベッドシーツ、ハンモック、お祈りをする時に使用するマットなど、いろいろな場面で使うことができます。
ミンダナオ島は、少数民族の数がフィリピンで最も多い島。
多くはジャワと中東からの移民で、ほとんどがイスラム教徒です。フィリピン全体で20%いると言われるイスラム教徒の大部分は、ミンダナオに住む人々が占めています。イスラム教の人たちは神秘主義、尊厳、美を大切にすることで知られ、その精神はマロンダンスにしっかりと表現されていたと感じました!
■サーヤウ・サ・バンコ(Sayaw Sa Banko)
「サーヤウ・サ・バンコ(Sayaw Sa Banko)」は、タガログ語で「ベンチの上でダンス」の意。
名前の通り、男女2人が幅15cmほどの狭いベンチの上で飛び跳ね踊るダンスです。男性ダンサーは首にハンカチを巻き、フィリピンの伝統的な衣装、「バロン・タガログ(Barong Tagalog)」を身に付けています。女性ダンサーが身に付けているのは、カラフルで大きなスカートが特徴の伝統的な衣装「パタッドヤング(Patadyong)」です。
サーヤウ・サ・バンコは、フィリピン北部のルソン島にあるパンガシナン州(Pangasinan)で生まれたダンスで、スペイン統治時代のずっと前から存在している古いダンスです。
狭いベンチの上で、バランスを取りながらステップを踏まなければならないため、とても難しそうですが、ダンサーも観客も楽しめ人気のダンスです。そのため、町のお祭り・フィエスタで披露されることが多いのだそう。
■マリア・クララ(Maria Clara)
スペイン統治下の時代、フィリピン全土にヨーロッパ文化が持ち込まれまれ、ワルツ、ファンダンゴ、マズルカ、ポルカ、ホタといったヨーロッパのダンスも一緒に持ち込まれました。
音楽とダンスが大好きなフィリピンは、それらの文化を喜んで受け入れ、さらにフィリピンスタイルにアレンジをしてきました。そのうちのひとつが、「マリア・クララ(Maria Clara)」です。
ダンスの名前は、フィリピンの国民的英雄ホセ・リザルの小説「Noil Me Tangere」に登場する女性マリア・クララから名づけられました。小説の中のマリア・クララの美しさ・気高さと、「愛」を表現した優雅で華麗なダンスです。
マリア・クララはスペイン文化を残しつつも、フィリピン特有のセンスや、竹のカスタネットを使うなどしてフィリピン文化も取り入れられています。男性ダンサーが身に付けているのはフィリピンの伝統衣装の「バロン・タガログ」。女性ダンサーが身に付けている衣装は「マリア・クララ・ドレス」と呼ばれています。
フィリピン文化の深さを実感
今回、フィリピンのフォークダンスを見て、フィリピンの多種多様で個性的な文化に改めて驚きました!
①さまざまな民族があり、それぞれ独自の文化や風習がダンスに表れている
②ヨーロッパの文化がフィリピン流にアレンジされている
という2つが、ショーからの気づきでした。
とても貴重な体験をさせてくれた、フィリピン・ハイスクール・フォー・デ・アーツの生徒の皆様ともしっかり記念撮影!
いかがでしたか?
フィリピンのフォークダンスは、YouTubeでも気軽に観ることができるので、ぜひ一度観てみてくださいね!