ベトナムの家庭にとって、もち米を使ったライスケーキのバインチュン（Bánh chưng）とバインザイ（Bánh Dầy）がなければ、テトを始めることができません。これはベトナム人にとって、そしてテトにおいて非常に重要な伝統料理だからです。
ベトナムの伝統料理「バインチュン」と「バインザイ」
バインチュンは先祖への感謝を示す、ベトナムの伝統的なちまきです。材料はシンプルにもち米・緑豆・豚肉の3種類。これをラーゾン（Lá dong）などの葉に包んで10時間以上茹でたものを指します。主にテト（旧正月）のシーズンや、ベトナム建国の祖であるフン王の命日など、お祝い事に際してこの料理を作ります。
引用：https://tapchinhabep.net/thuyet-minh-ve-mon-an-ngay-tet-thuyet-minh-1-mon-an-ngay-tet-viet-nam/
バインザイはもち米を炊いてついた所謂「お餅」で、味は日本のものとそう変わりません。但しベトナムのお餅は形が丸く、茹でたり塩コショウで味付けしたり、ハムを挟んだりして食べるのが特徴です。
引用：https://anh135689999.violet.vn/entry/vi-sao-phai-dung-banh-chung-banh-giay-dang-le-gio-to-hung-vuong-cau-hoi-tuong-de-nhung-khong-phai-ai-cung-biet-dap-an-12341451.html
ところで、どうしてベトナムではバインチュンとバインザイを作る習慣が出来たのかご存知でしょうか？次にこれらの起源と、その文化が広まった背景を説明します。
バインチュン・バインザイの歴史
一説によると、バインチュンはベトナム最初の国家とされるバンラン国において、フン王第6王朝の時に作られた食べ物だと言われています。
賊軍を追撃した後で、フン王は王位をどの王子（息子）達に後任させようか考えました。そして新年を迎えるときに、フン王は息子達を集めて、「テトを祝うための供え物として、一番美味しくて素晴らしい料理を見つけたものを次の後継者にする」と宣言しました。息子達は次期後継者になるために、貴重で美味しい料理を部下達と共に必死で探し始めました。
フン王の第18代目の王子であるランリュ（Lang Liêu）は、とても優しくて親孝行な息子の1人です。母親を早くに亡くしてしまったラン王子に、今回のフン王の試みを誰も教えてくれませんでした。しかしある晩に、彼は夢の中で知らない人から助言をもらいます。
それは「この世にあるものの中で、米ほど生きるための食べ物として貴重なものはない。天地の象徴を表すために、もち米を使って四角（大地を表す）や丸（天を表す）に型どったケーキを作れ。そしてそれを葉で包むのだ」という助言でした。ラン王子は奇妙な夢から目覚めた後、緑豆ともち米と豚肉を使って、夢の中で言われた助言どおりにその食べ物を作りました。
そして、フン王に素晴らしい料理を供える重大な日が来ました。全ての王子が美味しくて貴重なものを使った料理を捧げている中で、ラン王子が持参した四角いバインチュンと丸いバインザイは、フン王からひときわ絶賛されました。ラン王子は父であるフン王に彼自身の夢を語りました。フン王はラン王子に王座を譲ることを決め、その後ラン王子が第7代のフン王を襲名しました。
引用：https://healthplus.vn/van-hoa-hung-vuong-lang-lieu-va-su-tich-banh-chung-banh-day-d57111.html
このような歴史から、ベトナムではテトが訪れるたびに、家族と一緒に新年を祝う供え物として、バインチュン・バインザイを作るようになったと言われています。
バインチュン・バインザイを作る習慣
バインチュンとバインザイは、ベトナムのアイデンティティとも深く関わっています。バインチュンの形は四角く、茹でたときに葉の色が染み出して、表面は緑色になっています。これは先述のとおり大地を表しています。バインザイは丸くて白い形で、天（空）を表します。もち米は田んぼから採れたもので、バインチュンに使う緑豆は綺麗な緑色をした体に良い食べ物です。つまりバインチュン・バインザイを作ることは、ベトナムの土地や文化（農耕）を想い、先祖代々の家族に感謝することに値します。
私の家でも、テトが来るたびに家族全員が集まって、一緒にライスケーキを作ります。バインチュンを蒸している間、噴気孔から出てくるもち米と葉っぱの香ばしい香りが漂ってきます。完成したら近所の方々に配ります。最近では忙しくて、スーパーで出来合いのバインチュンを買ってしまいますが、やはり自家製で作るほうが断然おいしいです。
引用：https://www.dienmayxanh.com/kinh-nghiem-hay/cach-chua-banh-tet-banh-chung-bi-song-ngay-tet-778072
