英文履歴書の書き方(1) 日本の履歴書との違い

今回から、英文履歴書や英語面接について書くことになった有元です。

私は日本で大学を卒業し、日本の米企業で勤務した後、大学院入学のために20代半ばでアメリカに渡りました。ビジネススクール卒業(MBA取得)後に独立し、16年にわたりアメリカの市場調査や日米企業間の戦略提携コンサルティングを行いました。
その間に、日本人やアメリカ人から受け取った履歴書、社員を採用した経験を基に執筆したのが、「英文履歴書の書き方」や「面接の英語」(ジャパンタイムズ刊)です。

その後、海外や日本国内の外資系への転職を目指す方々の英文履歴書作成のお手伝いもし、実際に作成した英文履歴書を取り入れた改訂版「英文履歴書の書き方Ver.3」や「新・面接の英語」も出版されています。
この連載では、そうした自らの経験を通じ、実践に基づいたアドバイスができればと思います。

 

①英語の履歴書は、イギリス式・アメリカ式の2パターンに分けられる

海外での就職にあたり、転職エージェントを利用するにしても、まずは履歴書の提出が求められるでしょう。海外でも、日系企業であれば日本語の履歴書を求められる場合がありますが(英語圏の場合、日系企業でも英文履歴書要)、そうでない場合、現地語や英語での履歴書が必要となります。

ここでは、日本語の履歴書とは大きく異なる英文履歴書の書き方を説明します。
履歴書は、アメリカ英語圏ではResume、イギリス英語圏ではCV(Curriculum Vitae)と呼ばれます。日本で使われている「レジュメ」という外来語は、元々のフランス語の「要約」という意味ですが、英語のResumeは「自分の経歴の要約」という意味です。Curriculum Vitaeは元々ラテン語で、英語の“course of life=personal history”にあたります。なお、アメリカでも、アカデミア(大学の教員職や研究職など)ではCVが使われます。

自己PRの強いアメリカ式Resumeに比べ、CVは売り込み色は弱いです。しかし、近年、米IT企業の世界での台頭により、イギリス英語圏でも、とくにビジネスの世界では米語やアメリカ式の浸食が著しいですので、本連載では、アメリカ式Resumeを中心に説明します。

 

②日本語の履歴書とは異なる、英語の履歴書のフォーマットと役割

Resumeは、日本の履歴書とはフォーマット、目的・役割などが大きく異なります。もっとも根本的で重要な違いは、Resumeは自分を売り込むためのマーケティングツールだという点です。

毎年、多数の新卒を雇い、各ポジションに振り分ける日本の企業とは違い、多くの国では、企業は必要に応じて人材募集をし、ポジションごとに細かく職務を決めます。応募者は、自分がそのポジション、職務にどれだけ適しているかという点について、応募先企業を説得しなければならないのです。決まったフォームに表面的なことを書くだけの日本の履歴書をそのまま英語に訳したのでは、自分を売り込むことはできません。

英文履歴書の作成を依頼されて来られる方々の職務経歴書を見て、「日本は売り込みは、職務経歴書で行うのだな」と思ったものですが、Resumeには職務経歴書に書くような詳細な職務内容や業績が入るのです。つまりResumeは、日本語の履歴書と職務経歴書を併せたものと考えればいいでしょう。

 

③日本語の履歴書と英語の履歴書、書き方の違い

●日本の履歴書は市販の定型の用紙に記入するだけですがResumeは自分でフォーマットを選び、コンピュータで作成します。書く内容も順序も自由にアレンジできます。

●日本の履歴書では学歴・職歴ともに年代の古い順に書きますがResumeでは新しい順に書きます。即戦力となる人材を求めているため、過去の経験より最近の活動のほうが重要なのです。

●日本の履歴書はどこの学校で何を勉強し、どこの会社の何課に属していたかを記すだけで、具体的な仕事や活動について詳しく書きません。一方Resumeでは、仕事内容や業績などを詳しく述べます。自分の強みやスキルをいかに強調するかが鍵になるからです。

 

ロングセラー著書多数

ロングセラー著書多数

有元美津世(外部ライター)

日本で大学卒業後、日米企業勤務を経て渡米。MBA取得後、独立。アメリカで16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。その後、投資家に転身。在米30年後、東南アジアやヨーロッパをノマド生活中。訪問国は60ヵ国にわたり、英語のほかにスペイン語も操るが、中国語、韓国語、ベトナム語には苦戦。 著書に、ロングセラーの『英文履歴書の書き方』『面接の英語』のほか、『英語は7つの動詞でこんなに話せる』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(以上ジャパンタイムズ)、『ロジカルイングリッシュ』(ダイヤモンド社)など30冊。韓国語や中国語にも翻訳され、韓国、中国、台湾で出版されている。

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