みなさん、こんにちは。
ホーチミン在住のベトナム人Hanです。
突然ですが、今お腹が空いていませんか?この記事を読んだら、もっと空くかもしれません(笑)
今回はベトナムのある有名な食べ物について紹介します。ベトナムには美味しい物がたくさんありますが、ベトナム人も外国人も好きな物といえば何でしょう?ヒントは外側が茶色くて中が白くて、ちょっと長い食べ物です。
正解は「バインミー」です!バインミーとはベトナム風フランスパンのこと。屋台やコンビニなど、街中のいたるところで手に入ります。しかも安くてお腹がいっぱいになる、まさにベトナムの国民食です。
ベトナム人に欠かせない「バインミー」の起源
バインミーは、ベトナムの発展とともにその形状や用途を変化させてきました。19世紀初期に、フランス人がベトナムにバゲットを持ち込んだことがきっかけです。当初は長さ1メートルの大きさで、表面はパリパリと固く、小麦粉や米粉で作られていました。その後サイゴン(現在のホーチミン)の人々によって改良され、長さ30~40cmのバインミーになったのです。
引用:
フランスのバゲット(左) http://www.tanuljmegsutni.hu/2015/01/bagett-dagasztas-nelkuli-tesztabol-dnk.html
ベトナムのバインミー(右) http://dongtienbakery.com/san-pham/bread/358-mini-banh-my
バインミーはよく牛乳やホットチョコレートと一緒に食されます。私も小さい頃は砂糖をかけて食べました。
近年ではバターやパテを塗り、肉・香草などを挟んで食べる「バインミーケップ(bánh mì kẹp)」や、「バインミーティー(bánh mì thịt)」がお馴染みです。
バインミーは色々な具材やソースを使うため、フランスで食べるバゲットサンドとは味が異なります。例えばバインミーケップは、具材に豚肉・鶏肉・ポークロール・クリスピーローストポークなどの肉類や魚と共に、目玉焼きや香草、なます、きゅうりなどを挟みます。ソースは具材に合わせて、塩コショウやヌクマム、チリソース、醤油などをかけていただきます。
引用:https://news.zing.vn/vi-sao-banh-mi-sai-gon-len-bao-my-post393373.html
この特別な味がベトナム全土に、そして東南アジアに広まったことでバインミーは一躍有名になりました。そして現在、私たちは様々な種類のバイミーを食べるようになったのです。
ベトナムで1番人気!豚肉のバインミー
私は今年で26歳になりますが、今日までに数百本のバインミーを食べたと思います。でも、未だに飽きることはありません。それくらい多種多様なのバインミーがあるのです。使う原料によって、バインミーの名称は異なります。豚肉を挟んだものは「バインミーティー」、豚皮を挟んだ「バインミービー」、目玉焼き入りの「バインミーチュン」、鰯が入った「バインミーカモイ」など。
一番人気はバインミーティーで、パテを塗り、ハムやクリスピーローストポークといった豚肉、野菜を挟んだものが一般的です。豚皮にヌクマムを加えた、深い味わいが特徴です。どの屋台からレストランまで、どこでも食べられるバインミーですね。
ちなみにバインミーカモイは、温めた鰯の缶詰を挟みパクチーとソースをかけたもの。最近では、鶏肉をカリカリに香ばしく焼いて醤油をかけた「バインミーガー」も人気ですね。
ベトナムのバインミー、美味しさの秘訣は?
このように色々な具材を合わせるバインミーですが、本来の美味しさを損なわずに作るためには、大切な4つのポイントがあります。それは、バインミーの外側をカリカリに、中をふんわり柔らかく焼き上げ、具材はたっぷり挟んで、少し辛味を加えるというものです。
このコツを掴めば、自分でも美味しくバインミーを調理することができますよ。材料はどこでも手に入りますし、バインミー屋台で調理の仕方を見て覚えればOKです。まずはバインミーをカリカリに焼き、真っ直ぐ切り込みを入れて開きます。内側にパテを塗り、肉・野菜を挟んで、最後にソースをかければ完成です!
あっという間にできるので、みなさんもぜひ試してみてください。
激安75円の朝ごはん!?バインミーの魅力
ところで、バインミーはいつ食べるものなのでしょうか。朝食・昼食・夕食のどれでしょう?
ホーチミンではほとんどの人が朝食にバインミーを食べます。毎朝忙しくてゆっくりと食べる時間がないため、手軽に買えるバインミーを選ぶというわけです。ベトナム人に限らず、観光客や駐在員の方もよく買っていますよ。
私の会社でも、毎朝日本人の同僚がバインミーとコーヒーを持って出社します。サンドイッチやハンバーガーと同じ感覚で食べるのだと思います。価格も安く1本あたり約15,000ドン(約75円)と懐にも優しいので、人気があるのも納得ですね。
ホーチミンで人気のバインミー店
次に、こうしたバインミーの知名度アップに貢献している、ホーチミンの老舗店を紹介します。
1つ目は、1958年にオープンし創業40年を迎える「バイミー・ホア・マー(Banh Mi Hoa Ma)」です。
当初はパンと具材を別々に提供する西洋式を採っていましたが、ゆっくりと食べる時間がない人のために、具材を挟んで提供するようになったそうです。これがバインミーケップ誕生のきっかけとなり、後に色々な店が真似をしたことで、挟んで食べるスタイルが定着しました。
バイミー・ホア・マーに行けば、普通のバインミーはもちろん、具材を別で出す伝統的なバインミーも楽しめますよ。ただし老舗店だけに毎日とても混んでいるので、注意してくださいね。
引用:http://danielfooddiary.com/2017/11/21/banhmihoama/
次はブロガーに人気の「バインミー・フインホア(Bánh Mì Huỳnh Hoa)」です。
ここは誰もが知るホーチミン1区の有名店で、外国人も大勢買いに来ます。人気の秘密は、バインミーに挟むたっぷりの具材。バターとパテを塗り、ハム・ポークロール・ジャムボン(豚モモ肉のハム)などの肉類を挟むため、分厚くてずっしりと重いのです。
値段は35,000ドン(約174円)しますが、観光ガイドブックに「サイゴンで1番美味しいバインミー店」と紹介されるくらいなので、一見ならぬ一食の価値ありです!
これらの他にも、ホーチミンの老舗パン屋Như Lan、ネットフリックスでも紹介され一躍有名となったBảy Hổ、Nhân Ngãiなどの人気店がありますから、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
潮州料理が融合したファラウバイミー
伝統的なバインミーも良いですが、最近は変わった具材を使うバインミー店が増えています。小さい頃からバインミーを食べている私でも、美味しいと思うものが多いので、みなさんにも紹介しますね。
まずはこちら、「ファラウバイミー(Bánh Mì Phá Lấu)」です。
かつてベトナムに進出した華人達は、ホーチミンの食文化に多くの影響をもたらしました。彼らはチョロン地区を拠点とし、様々な中華風ベトナム料理を生み出しています。
ファラウはチョロン地区に住む潮州人が食べる料理で、豚肉や内蔵類を煮込んだスープに、八角・漢方薬などを加えたもの。これをベトナム人が食べやすいよう調節し、バインミーと合わせる食べ方が出来ました。Pha Lauの具材をバインミーに挟むか、お椀に盛り付けて別々に提供するというスタイルです。
初めて食べた時は、衝撃的な美味しさでした。一口食べるごとに深い味わいが広がり、それ以降何度も買ってしまっています。ホーチミン4区のBà Sáuなどで食べられますよ。
プリプリのシュウマイを挟んだシュウマイバインミー
2つ目は「シュウマイバインミー(Bánh Mì Xíu Mại)」です。シュウマイといえば中華料理でお馴染みですね。
創業40年のバインミー・シュウマイ・コー(Bánh Mì Xíu Mại Khô)は、ホーチミン3区にあるおすすめのお店です。
薄いワンタンの皮に餡が詰まったシュウマイを作り、バインミーにたっぷりと挟んでチリソースをかけていただきます。安くて美味しいので私もよく食べます。
引用:https://vnexpress.net/xe-banh-mi-xiu-mai-kho-gan-40-nam-o-sai-gon-3450745.html
濃厚なスープが染み渡る、黒い乾燥牛バインミー
3つ目は「黒い乾燥牛バインミー(Bánh Mì Khô Bò Đen)」です。
真っ黒な見た目に少し驚くかもしれませんが、食べてみると、これが美味しいのです。黒い理由は、ベトナム中部でのみ作られる黒い砂糖と、サトウキビの葉が使われているから。こちらは青パパイヤのサラダか、バインミーと一緒にいただきます。バインミーに挟む場合は、タデというハーブ、ナッツ、チリソースを加えます。
そして付け合せに絶対に外せないのが、乾燥牛のスープです。スープを含んだバインミーは、噛む度に味が染み渡る美味しさです。ホーチミン1区のPhương Liênなどでお試しできます。
引用:https://guu.vn/3-bien-tau-banh-mi-kep-doc-la-an-la-nghien-cua-sai-gon-0C6hCBIG1k8IW.html
香ばしい味付けが絶品のしじみバインミー
4つ目は「しじみバインミー(Bánh Mì Hến)」です。
みなさんは、しじみがベトナム中部の特産品だということをご存知でしょうか。中部に行けば、しじみ飯やしじみ粥、しじみ麺などを食べることができます。
しじみバインミーは、ちょっと変わった新しい味付けが特徴的。バター、にんにく、オイスターソース、タマリンド(マメ科の果実)ソースで味付けしたしじみを揚げて、バインミーに挟みます。さらにきゅうりやパクチーを加えて、さっぱりといただきます。思わずはっとする美味しさですよ。
ホーチミン10区のAnh Bonなどで購入できますが、やはり中部で食べるのが1番です。
ファン急増中!魚を挟んだグルクマバインミー
最後に紹介するのが「グルクマバインミー(Bánh mì cá bạc má)」です。
クルグマとは熱帯域で穫れるサバ科の魚で、これを蒸したりみじん切りにしたりして、調味料で味付けします。きゅうり、なます、辛いサテ(焼き鳥)、魚の出汁と合わせていただきます。
グルクマバインミーを売っているビンタン区のBánh mì cá Hàng Xanhでは、独特な味付けがファンを魅了し、売り始めて30年間ずっと客足が絶えません。
これらの他にも、ひき肉のバインミー、ソーセージバインミー、焼き肉バインミーなど、工夫を凝らしたバインミーがたくさんあります。かつてはフランスパンとして持ち込まれたものに、ベトナムの人々がアレンジを加え、今や世界中で知られるベトナム名物となりました。
バインミーは私たちベトナム人の誇りです。
みなさんもベトナムを訪れた際は、ぜひ食べてみてください。