こんにちは、マレーシア在住のライターのパンダンです。
他民族国家マレーシアには、1月1日のニュー・イヤーズ・デイ(New Year’s Day) 以外にお正月が3回あると例えられることがあります。というのも中心となるマレー系(モスリム)、中華系、インド系の三大民族の新年が異なるため、おのおの祝日となるからです。
さらに12月25日のクリスマスもマレーシアでは祝日となっています!
というわけで今回は、マレーシアにおける各民族の新年について、ざっとお伝えしたいと思います。
※筆者の個人的な感想となりますが、マレーシアって日本と比べても祝日が多いような気がします。
マレー系の新年ハリラヤプアサ
イスラム教社会では、イスラム暦(ヒジュラ暦)に基づいて断食月ラマダンが決定されます。モスリム(イスラム教徒)の慣習で、夜明けから日没まで飲食を禁止とされています。ラマダン=絶食と考える人が多いようですが、この期間は食事の時間が限られているということです。
ラマダンの時期は役所やショップ、レストランなどが短縮営業になったりイレギュラーな営業時間となります。
一般的な西洋暦とは違い、イスラム暦は太陰暦で年11日ずつズレが生じるため、ラマダンの時期は毎年異なります。
また以前にもこちらでお伝えしましたが、各種届け出や契約書の作成、アポイントメントなどは、時間的余裕を持って行うようにした方がよいかもしれません。
ラマダン開けはハリラヤ・プアサ(Hari Raya Puasa)/ハリラヤ・アイディルフィトリ(Hari Raya Aidilfitri)と呼ばれ、モスリムの方々にとっては新年のため祝日となります。
中華系の新年チャイニーズニューイヤー
中華系マレーシア人にとって最大のイベントが、チャイニーズ・ニューイヤー(Chinese New Year)です。旧暦で祝うため、毎年1月下旬から2月上旬頃となります。
この時期はクアラルンプールじゅうが、その年の干支や赤一色のデコレーションに包まれます。特に赤い提灯は民家の軒先(のきさき)などにもかけられて、華やかさが感じられます。
日本のお正月のように故郷に帰る人で帰省ラッシュとなったり、中華系のレストランが連休になります。経済的にもちょっとスローになる印象です。
アンパオ(紅包)というお年玉袋のようなものに少額のお金を入れて、配ったりします。お年玉と違い、いきつけのレストランのスタッフやコンドミニアムのガード(警備員)など、周囲の人にも配ったりします。
中華系が多いコミュニティーやエリアでは、爆竹が鳴らされ、ドラゴンダンスが舞うなど、カラフルで華やかなお祭りムード一色となります。夜はあちらこちらで花火があがり、中にはそれをチャーターした飛行機で上から眺める!といったセレブもいるそうです。
インド系の新年!光の祭典ディーパバリ
インド系住民のヒンドゥ教徒が新年を祝う日です。美と福の女神ラクシュミーを家に招き入れる祭りで、「光の祭典」と呼ばれることもあります。ヒンドゥ暦6月新月の日とされており、西洋暦では毎年10-11月頃となります。
ショッピングモールなどでは、米に色をつけた絵コーラム(Kolam)が床に描かれたりします。
クアラルンプールはターミナル駅のKLセントラル(KL Sentral)近くにインド人街があり、この時期は新年用に服を買ったり、新年の準備をする人々で大賑わいです。またイルミネーションなども美しく、ヒンドゥ教徒だけでなく多くの人々が訪れます。
この日は各家庭で日頃お世話になっている人を招いたり、あるいは招かれたりして、食事や飲み物ををふるまったりします。
2019年の祝日スケジュール
なお、各民族の新年を祝う2019年のスケジュールは、次のとおりです。
2月5日 チャイニーズニューイヤー
2月6日 チャイニーズニューイヤー
6月5日 ハリラヤプアサ
6月6日 ハリラヤプアサ
10月27日 ディーパバリ
およそ4ヶ月おきに開催されます。中華系・マレー系はいずれも5・6日の開催となっており、分かりやすいですね。
上記の日程はすべて祝日となるため、ご留意ください。
1年のイベントを通して知るマレーシア
このように新年を祝うイベントが多いので、マレーシアで生活をしていると、あっという間に1年がすぎていくような気がします。
季節感がない常夏の熱帯のマレーシアですが、さまざまな民族の行事を通して、月日の移り変わりを感じられるのではないでしょうか。
ちなみに、チャイニーズ・ニューイヤーとハリラヤが重なる年は、帰省や旅行などでありえないほど渋滞・混雑します。日常生活もちょっと大変になりますが、二つのお正月を一度に体験できる貴重な機会とも言えます。
写真:全て筆者撮影