タイ人と働く~タイに住んで、食べて、そして働いて~【コロナ対応】

さて、今回一休みコラムの題材としては、今はもうこのテーマしかないであろうということで、ずばりタイのコロナ対応としました。コロナをめぐってのタイ人の反応や日本人の対応など執筆時点で把握しうる限りの情報や自分を含めた今起きている実体験からご案内しようと思います。

まずはタイトルのテーマでもあるタイ人と働くという観点からすると、日本からきた日本人をはじめ感染国から来た人は一様に私達が思っている以上に警戒されているのが実態です。私なども実は3月始めに日本からタイに戻ったわけですが、午前中に少し事務所に入ったときは違和感を覚えなかったのですが、午後外出したとたんにローカルスタッフ一同を代表した意見としてローカルのダイレクターから長文のLineが来ました。
「皆が怖がっているから事務所に来ないでくれ」との内容でした。
自分の会社に入れないか、入るときは事前に連絡した上で、その時間帯はスタッフは事務所に入らないように事前共有するという徹底ぶりで、これはもうバイ菌扱いですね…(苦笑)。
というわけもあって、どのみちタイにいてもテレワーク的に完全リモートで仕事を進めざるをえないため、その翌週に日本には今回戻ってきているのですが、しばらくはタイに戻らず、今までにないほど日本滞在が長くなりそうです。

日本からタイに入国したら強制ではないものの14日間は人混みのあるところを避けて行動するようにというタイ政府からのアナウンスも少し前からあるため、私のように日本も含めてあちこちの出入りしている人間には大変仕事をまわしにくい状況になっているのが今のタイになります。

こんな状況ですが、少しだけ前向きに良いことといえばこれを機にリモートワークを確立するつもりで業務整理を進める良い機会かとも感じております。最近では複数人によるWeb会議として使い勝手の良いZoomのような無料で使えるコニュニケーションアプリなども爆発的に普及してきておりますし、コワーキングスペースのようなところもタイもだいぶ普及しているので、それらをうまく使いこなすことでまわせる仕事も相当程度あると思います。
 
とはいえ、今の状況は自分だけではなく、身の回りのお客さんもご苦労されています。
日系企業については特にローカルスタッフの反応は概ね同様の反応とのことで、日本からの出張はもちろん取りやめになっており、通常の来客受入も制限が始まっており、日本から入って直近で2週間たっていない場合は入室できないなどの対応も聞きます。

先週日本から出張に来た知り合いの日本人もローカルスタッフには合わせてくれず、出張の目的の半分も達成できなかったようです。

 

タイ政府の対応方針

一方でタイ政府はどのような方針なのかということをここからは見ていきましょう。
この原稿執筆時点の3月12日時点では先程ニュース配信されていた情報だと、中国・韓国といった数日前に入国時の強制検疫検査が取り下げられたと出ていました。この強制適用はつい1週間しないくらい前に出たばかりですが、そこに日本は含まれていませんでした。実はその発表がある前日あたりにはタイ保健省から日本人を含む強制隔離対象のアナウスンスらしき(!?)発表がされたのですが、その数時間後、発表はなかったことになりました。

政治的な動きがあったのか、あるいは発表機関や当局の勇み足なのか、このあたりの顛末はタイに長い人なら、以前本コラムでも触れたようなタイあるあるのパターンとして脳内処理される事象がこの局面でも発生しました。

そういったこともありますが、タイにいる日本人及び日系企業は全般としてはそれなりに冷静に対処している心象です。感染に最大限留意した対応を徹底するくらいしかやりようがないので仕方がありませんが、先程触れた私のように各国間の行き来が頻繁だったり、リアルに面会することを重視する日系企業の企業戦士にとっては、入国制限として強制隔離になるかならないかはここ1,2週間は毎日そのことばかりに耳をそばだてている状況でもあります。

ただ、ここで言う強制隔離というのは何でしょうか?実はこの定義自体もここ1,2週間はそこかしこのSNSなどを含めて情報が錯綜しており、中にはそもそも入国させないとか、指定の場所を設けてそこに軟禁状態になるとかありましたが、現時点でそこまでの対応は聞いたこともありませんし、今回強制隔離対応国がどこにも適用されなくなったという発表があったばかりなので、いまひとつはっきりしませんが、政府が強制隔離という言葉を使う以上は事実上入国しないでくれと言っていると理解すべきでしょう。

これも数日前に聞いた情報ですが、発生源の中国では北京に出張で入ったとある日本人に対してホテル到着後すぐに当局の関係者が来て、今から必要以上に2週間は部屋から出ないようにということでそのような軟禁状況を味わっている人もいるようです。政府が管理している情報がアプリにもなっているようで、このアプリ上から感染者のいる場所の特定ができるようですが、こういった対応は中国だからできることで、さすがにタイではそこまでの対応はありませんし、あるとしたら強制隔離という名前の事実上の入国制限かと思っています。
 
ということで極端にナーバスになる必要はありませんが、現状はタイでは日本からだと特に直接面談しての商談などが非常に進めにくいことと、ローカルスタッフはやや情弱ということもあるようで、日本にいったタイ人老夫妻から2次感染した人が多く発生したことなどネガティブ報道がされて以来極端に厳しくなったというところなので、そういったことを把握して正しい1次ソース情報を取捨選択して行動するといったところです。

昨日WHOの関係者がパンデミック状況であると発表も出され、感染リスクというよりも必要以上なネガティブ情報への感染のほうが個人的には心配ではあります。

次回コラム掲載時には少しでもこの状況が落ち着いていることを願ってやみません。

 
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タイ在住歴8年・累計100社以上のご相談に対応

タイ在住歴8年・累計100社以上のご相談に対応

但野和博(外部ライター)

Accounting Porter Co., Ltd.にてManaging Directorを勤めています。弊社は日本からの進出や会計サービス全般をタイ国で提供して6年経つ会計事務所です。代表である私が日本で2社の上場会社のCFO通算6年の経験を活かして親身なサービスを提供できるよう心がけております。 これまで累計100社以上のお客様からご相談いただいた様々な実例もあり、本コラムではそんな実例の中からタイで就業するあるいは就業を想定した方向けに駐在員、現地採用の方を問わずお役に立てる情報をお届けしようと思います。 内容としては身近な給与などの取扱いから、経理処理、はたまたそれらをひっくるめたタイの日系企業で身近に起きたことなど雑感的なところも交えながら、気軽に読めるようなトーンで展開していきますのでどうぞよろしくおねがいします。

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