タイ人と働く~タイに住んで、食べて、そして働いて~【コロナ対応2】

今回も事業もさることながら皆さんの関心が今一番高い題材として、前回に続いて一休みという雰囲気でももはやありませんが、引き続きタイのコロナ対応及び情報としました。日本からのリモート環境での状況なども含めて実体験を中心にご案内します。

実は私自身が、前回執筆の3月上旬時点に日本に戻ってきて以降、未だにタイに戻ることができていない状況です。この間2回ほどタイへの戻り便を延期したのですが、この執筆時点で既に戻る予定が立たないため、フライト自体を一旦キャンセルしました。

日本にいられる方は概ね把握されていると思いますが、この3月31日付で外務省のほうからはタイを含むほとんどのAsean諸国に対して渡航中止勧告レベル3という発令のもと渡航自粛を強力な要請レベルに上げてしまったうえ、タイ側でもコロナ陰性証明までは求めないまでも、タイへの入国者は一律強制隔離の対象になりうるということでしばらく戻れない状況になってしまったのです。

前回のコラム掲載直後くらいに、このコロナ陰性証明の健康診断書についても色々取りざたがありました。はい、出ました~、タイあるあるの公式発表ですら二転三転するという前回の強制隔離対応に次ぐ事例です。今回は間接的な形をとりましたがタイの航空当局がタイに入る各航空会社への通達として、コロナ陰性証明が記載された健康診断書の提示を義務付け、これがないと入国を事前に拒否するといったものですが、実際は政府主導です。ご存知のとおり医療崩壊を防ぐためにも日本では症状の出ていない人に対して陰性証明は出せないので、事実上日本人は入国できないという措置になります。実際に、数日ほどはこの運用が実施されてました。

私も他人事ではないので、耳をダンボに情報を収集していた中で入ってきたその時の実例としてもこんなことがありました。
多くの日本人がタイに渡航するのに某日系航空会社のカウンターで待たされたという話です。
このとき、一説には陰性証明まで取得しなくても良いという話しも出回ったらしく、普通の健康診断書に毛が生えた、コロナ検査をする必要がないと判断できるというような内容の診断書を携えて、多くの人が空港カウンターに行き搭乗受入の判断を待っていたそうです。航空会社としても搭乗してもらってもタイで入国できないと乗客の皆さんにとっても申し訳ないとの配慮をきかせ、空港カウンターにて、持参してきた人の診断書を事前にタイ航空当局にその場で事前に送付して判断を仰ぐという手続きをとったようでした。そして戻ってきた回答が・・・全員却下でした。あとから、同じ便だったのかわかりませんが、一人だけ搭乗できたという話しも耳にしましたが、私が最初に聞いたのは結局その便は乗客ゼロのカラで飛ばしたということです。どうしても飛ばさないと行けなかったのは、タイから日本に戻る人、特に駐在員の家族などでほぼ予約も埋まっていたためだったようです。

そして上記のことがあった数日後に再度タイ当局から発表されたのが、陰性証明書ではなくても良いので出発72時間前以内の健康診断書とワークパーミット(就労許可証)があれば良いとの通達です。最初に必要だったタイ当地の医療で10万ドル相当をカバーできる保険という条件もこのとき不要になりました。

ほっとしたのもつかの間でその後すぐに今度はタイ人も含めて外国から戻ってきた人全員が政府指定場所に14日間強制隔離という措置が発令されて更に現場が大混乱。これは報道で見た人もいるかもしれません。主に日本からタイに戻った人、そのほとんどがタイ人だったようでしたが、空港でそうとは知らずに自宅に直帰できないという事態に直面し、何を思ったのかそのときにイミグレ前での騒動にいた150人近くが帰宅を強行。その翌日には、従わずに帰宅した人の名前など個人情報が当局から醸し出されたうえに該当者には出頭要請というドタバタぶりがつい最近ありました…。ちなみに、このときに日本人はいなかったようです。

さて、そういった当局の対応でドタバタはあったものの、タイ国内の様子はというと、日本と違って法律上も外出禁止令にはある程度強制力があるので本当に街には人がほぼ出歩いていない状況のようです。そもそもレストランもデリバリーのみで開けることはできないのと、最近では夜間外出禁止令も出たので尚更外を出歩く人は少なく、多くの会社が日本以上にテレワーク対応に移行しています。しかも日本では何もそこまでしなくてもということでは、駐在員にとっても最大の楽しみという人が多いゴルフですが、ゴルフ場もほぼクローズしてしまったので、土日祝日を含めて本当に出歩くことがなくなってしまいました。

そんな中でも政府の保障制度という面では1ヶ月あたり最大7,500バーツまでをコロナを理由に失業した人については受けることができるなど、最低賃金の7割くらいのレベルで基本的な保障内容となっているのはある程度評価できるのではないでしょうか。朝令暮改的な対応ではあるものの、法令の発布・施行が非常に柔軟かつ早いというところでは日本とは雲泥の差です。

これはタイに限らずAsean諸国も概ね同様の対応のように感じます。私は仕事上ベトナムもある程度Watchしていますが、今回のコロナ対応についてもタイとの比較で言うと、ベトナムのほうが一段と対応が厳しく、かつタイよりも数日ほど対応が早いように見受けられます。恐らくある程度は各国間で連携しているのか、状況を見ながら足並みを揃えているようにも思えます。
 
こういった状況ですので、タイ国内の働き方としてもテレワークが3月中下旬から急に始まったというわけです。当社で言うと、社内サーバーで動かしている会計ソフトにアクセスできるように対応したうえで、自宅勤務をメインに切り替えており、最低限対応が必要な人のみ事務所に出社という形をとっています。知る限り他のクライアントさんも同様の対応です。

日中でもほとんど電車に乗っている人を見かけない状況になっているようですが、これが本来の都市部におけるシャットダウンという形なんだろうと強く思います。
実態経済に波及するのはこれからといった感じもしますが、ある程度長期戦を覚悟しながら、生活環境も対応しつつ、仕事のベースもシフトしていかざるをえないのでしょう。
いずれ来たであろうテレワークの環境が思いのほか早くやってきたであろうくらいに前向きに捉え、かつ本格的なAI時代に向けての移行期間に入ったという考え方にパラダイムシフトするくらいに今こそ舵を切るときなのかもしれません。

そうは言いつつも本当に少しでも早く世界中でこの状況が落ち着いていることを願ってやまないことを今回も締めの言葉としつつ、前向きなトピックを次回以降もお届けしたいと思います。

 
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タイ在住歴8年・累計100社以上のご相談に対応

タイ在住歴8年・累計100社以上のご相談に対応

但野和博(外部ライター)

Accounting Porter Co., Ltd.にてManaging Directorを勤めています。弊社は日本からの進出や会計サービス全般をタイ国で提供して6年経つ会計事務所です。代表である私が日本で2社の上場会社のCFO通算6年の経験を活かして親身なサービスを提供できるよう心がけております。 これまで累計100社以上のお客様からご相談いただいた様々な実例もあり、本コラムではそんな実例の中からタイで就業するあるいは就業を想定した方向けに駐在員、現地採用の方を問わずお役に立てる情報をお届けしようと思います。 内容としては身近な給与などの取扱いから、経理処理、はたまたそれらをひっくるめたタイの日系企業で身近に起きたことなど雑感的なところも交えながら、気軽に読めるようなトーンで展開していきますのでどうぞよろしくおねがいします。

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