みなさんは、ベトナムの昇給率についてどのくらいご存じでしょうか?
毎月支払われる給与や決められた時期に支給される賞与(ボーナス)と同じくらい、雇用される人にとって大切なのが昇給率です。
今回は2022年の最新データをもとに、日本とベトナムそれぞれの昇給率や、世界からみた日本とベトナムの現状について解説していきます。
この記事では
- 昇給や昇給率ってなに?
- 日本の昇給率はどのくらい?
- ベトナム転職を考えているけど、ベトナムの昇給率はどうなんだろう?
- ベトナム現地採用で実際に昇給した例はあるの?
といった疑問を解決できる内容をまとめています。
前半では、昇給や昇給率についての基本的な理解を深める内容を掲載しています。
後半では、日本とベトナムの昇給率について具体的な数字に基づいて比較し、さらに現地採用で昇給した実例を紹介しています。
昇給とは?
昇給とは、毎月の給与がアップすることを意味します。
企業の給与規定などで「昇給年1回(評価による)」と明記されていれば、年1回は必ず能力や実績によって給与の見直しがあるということになります。
「ベースアップ」と「定期昇給」
昇給には「ベースアップ」と「定期昇給」の2種類があるのをご存じでしょうか。
厚生労働省は、ベースアップと定期昇給は以下のように定義しています。
“「ベースアップ(ベア)」「ベースダウン」
賃金表の改定により賃金水準を引き上げる、又は引き下げることをいう。”
“「定期昇給(定昇)」
あらかじめ定められた企業の制度に従って行われる昇給のことで、一定の時期に毎年増額する
ことをいう。また、毎年時期を定めて行っている場合は、能力、業績評価に基づく査定昇給など
も含む。 ”
つまりベースアップとは、企業が基本給の給与水準を一律に引き上げることです。
業績の改善や経済状況の変化に応じたもので、年齢や社歴は関係ありません。
一方「定期昇給」は、個人の年齢や社歴、仕事の成果に応じて昇給する仕組みのことを言います。
先述した「昇給年1回」などは、この定期昇給に該当します。
※1
2021 年1~6月実施分「昇給・ベースアップ実施状況調査結果」の概要
https://www.keidanren.or.jp/policy/2022/010.pdf
昇給するタイミングは?
ベースアップの場合は、企業の業績がアップしたタイミングで昇給があります。
定期昇給の場合は、あらかじめ企業によってそのタイミングが決められています。
日本の場合、年1回であれば4月、年2回であれば4月と10月の企業が多いようです。
ベトナムの場合、年1回であれば1月または2月にある旧正月(テト)の1~2ヶ月前のタイミングが多いです。
昇給率の計算方法
昇給率とは、昇給前の給与と比べて「何パーセント昇給したのか」を示す割合のことを言います。
ご自身の昇給率がわからないという方は、上記の計算式に当てはめて昇給率をだしてみましょう。
世界からみた日本とベトナムの昇給率
昇給についての理解を深めたところで、実際に日本とベトナムの昇給率についてみていきましょう。
日本の昇給率は横ばい
日本の昇給率はどのくらいなのでしょうか。
2022年の大手企業の昇給率は2.27%、中小企業は1.92%でした。※2
では10年前はどうでしょうか。
2012年の昇給率について、大手企業では1.81%、中小企業では1.55%でした。※3
2022年の昇給率と比較すると、10年前とほとんど変化がないことが分かります。
昇給率にほとんど変化がないので、平均年収も大きな変化はありません。
国税庁が発表したデータによると、2021年と2011年の平均年収は下記のようになっています。※4
- 2011年:409万円
- 2021年:443万円
その差は10年間でわずか34万円となっています。
日本と世界の昇給率
では、日本の平均昇給率を他国と比べてみるとどうなのでしょうか。
「GLOBAL REWARDS PULSE SURVEY 」で予測された、各国の平均昇給率は下記の通りです。※5
ほかのアジア圏の国々よりも、日本の昇給率(2.1%)は低く予測されていることが分かります。
アジア圏以外の地域でみても、アメリカが3.5%、イギリスが3.0%と日本の昇給率より高く予測されています。
ベトナムの昇給率は先進国よりも高い
一方でベトナムの昇給率は、「GLOBAL REWARDS PULSE SURVEY」によると7.3%と予測されています。※5
これはアメリカ(3.5%)や中国(5.9%)よりも高い予測値となっています。
東南アジア圏内ではどうでしょうか。
上記の表の通り、ベトナムの昇給率は東南アジア圏内のほかの国よりも高い予測値となっています。
▼ベトナムで働くメリットや注意点について詳しくはこちら▼
10年後の給与はどうなるか?
今後10年間でどのくらい給与の上昇に差があるのか、日本とベトナムをそれぞれ比較してみました。
※初任給は200,000円と仮定します。また、基本給があがっていくにつれて昇給率は下がっていく傾向にあります。実際の昇給率とは異なります。
※単位:円
1年目と10年目の給与額の差は、日本が+40,934円、ベトナムが+177,075円となり、その差はなんと約4.3倍。勤続年数が長くなればなるほど、差は大きくなっていきます。
ベトナムで働く日本人の昇給例
実際にベトナムで現地採用された日本人の昇給例をみてみましょう。※すべて額面で記載しています。
まず1人目は、ベトナムの日系企業で3年半現地採用として働いた経験があり、現在KULU-LOG.NETを運営するKURUMAさんの実例です。
転職当初(2018年):329,344円
退職時(2021年):538,550円
差額:+209,206円
※2018年:1USD=106.24円、2021年:1USD=107.71円で計算
当時KURUMAさんが働いていた日系企業では査定が年2回あったとのこと。
日本円で約63.5%も昇給し、給与は209,206円もアップしていますね。
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ベトナム現地採用者の給料いくら?手取り額も大公開!
https://kuru-log.net/1072/
2人目はベトナムで現在も現地採用として働くAさんの実例です。
転職当初(2018年):118,320円
入社5年目(2022年):252,015円
差額:+133,695円
※2018年:1VND=0.0048円、2022年:1VND=0.0058円で計算
転職当初の給与は日本で働くよりも低くなりましたが、その後5年で133,695円も給与がアップしたことになり、昇給率は約212%となります。
※2
2022年春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果(加重平均)
https://www.keidanren.or.jp/policy/2022/072.pdf
2022年春季労使交渉・中小企業業種別妥結結果(加重平均)
https://www.keidanren.or.jp/policy/2022/075.pdf
※3
012年春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果(加重平均)
https://www.keidanren.or.jp/policy/2012/048.pdf
2012年春季労使交渉・中小企業業種別妥結結果(加重平均)
https://www.keidanren.or.jp/policy/2012/049.pdf
※4
民間給与実態統計調査
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2021/pdf/002.pdf
※5
GLOBAL REWARDS PULSE SURVEY
https://www.kornferry.com/content/dam/kornferry-v2/featured-topics/pdf/Global-Rewards-Pulse-Survey-2022-infographic.pdf
まとめ:初任給が低くても頑張り次第で給与アップ
業種や職種によって変わりますが、一般的に東南アジアの現地採用では、日本で働いていた時と比較して初任給が低くなる傾向があります。
しかし、ベトナムの昇給率は世界的にみてもとても高く、長期的に考えるとベトナム転職をすれば給与アップが見込めるのではないでしょうか。
10年間昇給率の変わらない日本で働くのか、ベトナム転職にチャレンジして給与アップを目指すのか、今後の働き方についてぜひ一度検討してみてください。
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