ベトナムはいち早く、経済活動再開に舵を切り、タイもそれに次いで非常事態宣言の緩和をしつつある、この5月中旬ですが様々なことを我慢しないといけない日々かと思います。コロナ禍の影響が実態経済に現れるのはまだこれからかもしれません。そんな中でも、海外で職を求める方や、一方で生き残るためには人員も解雇しないと立ち行かない会社側の立場なども状況も混沌としていいます。今回は、私の身近で耳に入ってきたそういった動きも含めて、AfterでなくWithコロナという前提でみなさんの今後の活動の参考になるような内容をご案内します。
前回コラムの最後のほうにもコメントしましたが、今回のコロナでは仕事のやり方、進め方そのものが大きくパラダイムシフトするきっかけになっていくだろうということが、雇用側も非雇用側にも大きな変化をもたらしつつあります。
特に業務のテレワーク化は顕著で、否が応でもその働き方についていけないと、会社としても、就業者の立場としてもついて行けなくなってくる時代がすぐそこに来ていることを予感させます。
学校教育もしかりです。身近な例で恐縮ながら私の息子の通う日本の公立の小学校ではGW明けからいち早く全授業がWeb化されています。1日4コマを月~金としっかり時間割編成されており、実際に受けている様子を横からみていると、リアルの授業さながらです。画面越しに先生が、こまめに動画を止める指示を出しながら問題を解かせる指示をし、息子はそれに従って手を動かしており、まさに授業そのものです。しかも、動画を止めて課題に取り組む時間は自分で管理しないと、ぼやぼやしていると通常の授業時間枠を大幅に超えてしまうくらいで、それなりに自己管理能力も求められます。もっとも学校教育は単に勉強だけではなく、社会性や身体の向上など他の目的を達成するにはバーチャルだけでは難しい面もありますが、実際にそういった授業ができることを目の当たりにすると、ある意味想像の中にあった未来は実は既に来ていて足元で変わってきていることを改めて実感します。
まさにこのコロナで時計の針が5~10年くらい先に進んだ気もしており、これは捉えようによっては、新しい機会の創出に立ち会うばかりか、当事者としてその機会を生み出せる絶好の時代が到来したのかもしれません。
話のテーマが広がり過ぎかねないので、ここから先は具体的にタイにおける状況を踏まえて話を進めましょう。
まず雇用側の動きから、ご案内します。
一言で言うと、基本様子見の中でも、できることだけ進めようというスタンスです。もっと具体的に言うと、人の行き来はできないけど、従前から検討していた事だけはテレワークでできるWeb会議などを活用して前に進めましょうというところです。
考えれば当たり前で、会社は価値を提供して対価を得るわけですから、お金の流れを生み出す元としての価値を生み出す活動は止められません。今回活動規制業種にあたる飲食等の現金商売などはもっとも割りを食って、活動のしようがかなり限られる業種はかなり厳しいのは当然ですが、それでもできる範囲での活動は必死に進めています。お弁当のデリバリーなどはその際たるところです。
また、当社で相談を受けている進出検討中のお客さんなども事前のFS(フィージビリティスタディ)の見直しなどはあるものの、進出そのものが消失するわけではなく、むしろ今後生き残りをかけて日本から進出してくる会社はこれからも出てくると感じています。ただ、前提の見直しで予算削減になったり、駐在員も最初から赴任させず、様子見になったりなどは出てきています。
更に、当社で今後関与しようと考えている新しい形の進出サポートというのも出てこようとしています。進出には当然のようにある程度の維持コストがかかりますが、リモート進出のような考え方で、現地ローカルスタッフだけGlobal Employment Outsourcing(GEOサービス)という欧米発のアウトソースの仕組みを取り入れて採用する方法です。この手法は税務上の規制も受ける可能性はありますが、要件を満たせば十分クリアできる実績が既にこちらを導入するノウハウを持っている会社があります。うまく活用すれば駐在員を赴任させずに、かつ現地法人も設立せずに現地業務をまわすことが可能となる方法なので、今後はこういった形の進出(!?)も浸透してくるのではとも実感しています。
そして、このことは現地での採用を目指す日本人にとっては考え方によっては追い風です。ここからは非雇用側の視点でご案内します。
昨今、タイの情勢としては、ローカルスタッフ市場としては完全に買い手市場で、エントリーするローカルスタッフがだぶついており、人材紹介会社のほうでも相当登録件数は多いと聞いています。その一方で採用側はやはり様子見ポジションがほとんどのため、人材の流動性はほぼなくなっているため、採用数が大幅に減っているようです。
日本人採用マーケットのほうはそれとは別の動きで、前述のように赴任する予定だった駐在員の代替などのニーズも今後は出てくるのではないかと思われます。GEOサービスを使うと言っても、さすがに最初から全く日本人不在というのもこれまでの日系企業のマインドからしても早々にそこまで切り替わるものではない気もしているからです。もっともその際に求められるスペックはそれなりに高いのは言うまでもありません。タイでは外国人の採用枠はVISAの取得ハードルが高いため、中小企業にとっては希少な枠になるので、それに見合う働きが求められます。
今はまだ新型コロナ対応が優先で、VISAなどの行政の手続きも延長対応措置が取られているなどもありますが、いずれ落ち着いたときに手を打てるよう現地での日本人の求職者の方はテレワーク化を見据えたスキルのアピールなども有効な手かもしれません。
今回はWithコロナということで、Afterコロナを意識しつつ、企業や求職者がそれぞれ今から対応できることを考えるための少しでも材料になれればということで、少し当社で動き始めたことも含めてご案内しました。いずれにせよ、働き方改革以上のインパクトが今回の中で出てきている、あるいはこれから出てくるであろうことは間違いないと思います。新型コロナが過ぎ去るのを待ってばかりでは共倒れですので、本コラムも今後もそういった変化などの動きが出たら随時盛り込んでご案内していきたいと思います。
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