こんにちは。ICONICのNaです。
ベトナムには正月が2つあることはご存知ですか?新暦の正月と旧暦の旧正月です。
ベトナム人にとって、1年間で一番大切な祝日は旧正月です。ベトナム語で旧正月は「Tết」(テト)と呼ばれています。
今回はベトナムのテトを迎えるための準備、大晦日にする事、期間中の過ごし方を紹介します。
(ちなみに、新暦の正月は普通の祝日のように過ごしています)
ベトナムでテト前にすべきこと
ベトナムの家庭では、テトの2週間前から色々と準備をしなくてはなりません。
1.オンタオ(Ông Táo)を見送る
ベトナムでは、オンタオ(Ông Táo)という神様がキッチンに居るとされています。
オンタオは人間の良い行い・悪い行いを1年間分全てメモして、神様に報告する人物です。
オンタオを見送る式は、テト前の旧暦12月23日の夜に行われます。見送りに際しては礼物が必要です。礼物というのは、紙で作った服・靴・帽子、生きている鯉、xôi (おこわ)、chè(ベトナム風ぜんざい)などのことで、これらの礼物を供物台に置いて、お香を炊きます。
オンタオは23日の0時に出発し、鯉に乗って天に行くため、礼物はすべて0時までに供物台に置いておきます。翌日は鯉も自由にしなくてはいけません。なお、年によって五大元素が変わるため、オンタオの服の色もそれに合わせます。
金行年=黄
木行年=白
水行年=青
火行年=赤
土行年=黒
お香を全部燃やしたら、続けて紙の服などを燃やします。
2.家の掃除
ベトナムでは「tống cựu nghênh tân」(古いものを送り、新しいものを迎える)という観念があり、テト前は家族みんなで家を大掃除します。各部屋・リビングルーム・キッチン・家具を掃除し、布団も洗濯し、供物台も綺麗にします。家の周りに生えている木まで整えます。
旧年の不運はゴミや汚い物と一緒に捨てて、フレッシュな環境にすることで、新年の幸運を迎えられると言われています。
3.Tảo mộ(お墓を掃除する)
亡くなった先祖にも家があります。そう、お墓です。ベトナムでは昔からの慣習で、テト前の旧暦12月23日~30日は、家族みんなで集まり先祖のお墓を掃除します。掃除した後はお香や果物、お茶を供えます。
4.食べ物の用意
ベトナム人のテト料理はたくさんありますが、下記のものが一般的で、どの家庭でも食べられます。
Bánh Chưng(バン・チュン)は土地をイメージした四角形の食べ物で、dong(ヨン)という葉でもち米と豆と豚肉を包んで、10時間から12時間茹でたものです。バン・チュンはベトナム北部のテトの伝統的な食べ物です。
引用元:http://www.lamsao.com/cach-giu-banh-chung-khong-bi-moc-sau-tet-p214a59939.html
Bánh tét(バン・テット)は中部・南部のテトの伝統的な食べ物で、丸くて長い形をしています。バン・テットはバナナの葉でもち米と豆と豚肉を包んで、10時間から12時間茹でたものです。
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=DIv9GGOlaJY
Dưa món/dưa hành(ユア・モン/ユア・ハン)は、切り干し大根や人参などの漬物です。玉ねぎやcủ kiệu(らっきょう)の漬物もあります。
引用元:http://toinayangi.vn/cach-lam-cac-mon-dua-ngay-tet/
Giò chả(ヨー・チャ)は挽いた豚肉から作ったハムのようなものです。
引用元:http://tin.tuyensinh247.com/huong-dan-cach-lam-gio-lua-ngon-ngay-tet-c78a15190.html[/caption]
ベトナム風ジャムとお菓子もあります。スイカやヒマワリの種、ショウガやココナッツのジャムなど、色々なお菓子があります。これらは供物台に並べられるほか、来客者にも振る舞われます。
引用元:http://starpress.vn/meo-mua-hat-dua-mut-banh-keo-an-toan-ngay-tet/
食べ物の用意は、旧暦12月30日の夜までにすべて終えなければなりません。
5.忘年会
忘年会は29・30日に行われます。みんなが笑顔で会うための時間で、旧年に何か悪いことがあっても、昔のことは許して、家族や親戚、仲良しの友達と新しいスタートを切ります。
家族の誰かが遠いところで働いていたり、学校に通っていたりしたら、みんなが帰省した後で忘年会を行います。ベトナム語では「bữa cơm đoàn viên」とも言います。「1年間にずっと遠く離れて暮らしていて、会うことが難しいので、久しぶりの食事は心が暖かくなる」という意味です。ベトナム人はどこにいても、テト前の忘年会には帰省したいと思っています。
6.借りた物を返す
ベトナムでは新年を迎える前に、旧年に借りた物を全部返さなかったら、テト後も物やお金をたくさん借りなければならなくなる…という言い伝えがあります。そのため、借りた物は大晦日までに返さないといけません。
7.盆栽を飾る
テトでは家に盆栽を飾ります。盆栽はピンクの桃の花(北部)や、黄色の枚の花(中部と南部)、金柑、黄色の菊の花などです。
引用元:http://agriviet.com/threads/ban-3-cay-mai-vang-dep-co-hinh-chup-2-mat-rat-ro.13148/
この時期はベトナム各地で花市が行われ、街中が花売りで溢れかえります。当日にはグエンフエ通りなどで花祭りも行われます。
ベトナムで大晦日にすべきこと
大晦日は忘年会以外にも、色々なことをします。
1.お供えをする
テト前は供物台に果物・花・お菓子などを並べます。果物は大きいお皿に5つの種類を置き、「Mâm ngũ quả」と言います。ベトナム北部では「幸福、富貴、寿、健康、平気」という意味を持っています。一方南部では、「充実した新年を迎える」という意味です。言葉の意味は地域によって違うので、供える果物の種類も違います。
引用元:http://lovetour.vn/tron-day-mam-ngu-qua-ngay-tet-am-lich/
▼ベトナム北部での供え物の意味
バナナ:子孫が集まる、幸福、幸運、包む、守る
仏手:仏の手で家族を守る
グレープフルーツ:健康、興隆
梨:成功、何をやってもうまく出来る
ミカン:成功
ザクロ:子孫が多い
桃:事業の発展
リンゴ:富貴
ピタヤ:幸運、金運が良い
スイカ:フレッシュ、幸運
いちじく:充足、健康、金運が良い
パパイヤ:興隆、十分
マンゴ:お金を使う
トゲバンレイシ:お祈り
但し、南部ではバナナ・梨・リンゴは忌まわしいと言われています。なぜなら、バナナ・梨・リンゴのベトナム語での呼び方は、悪いものを連想させるからです。
2.花火を見る
テト前夜、ベトナムの若者は家で両親を手伝う人も多いですが、外に出かけて花火を見に行く人も多いです。新暦の正月は0時に花火が始まりますが、旧正月のテトは22時に始まります。なぜなら、花火よりももっと大事なことがあるので、0時前に帰宅しないといけないからです。
3.テレビを見る
花火に興味がない人やお年寄りは、家でテレビを見ます。ベトナムの一般的な年末番組は「Táo Quân – Gặp nhau cuối năm」(オンタオ・年末に会う)で、旧年に起きたことをオンタオが神様に報告するイメージの演劇で、面白い方法や言い方で、1年間の良いこと・悪いことを総まとめにした番組です。テト前の大晦日、20時~22時まで放送します。ベトナム人は誰でもこの番組を知っています。
Táo Quân – Gặp nhau cuối năm」を見終わったら、「Lễ Trừ tịch」を準備します。
4.Lễ Trừ tịch(屋外にお供え物をする)
ベトナムでは大晦日の23時から元日の1時頃まで、家の外にお供え物をします。大晦日の夜は旧年の悲しいことを全て忘れて、平穏・神聖の時間を過ごし、新しい年を迎えるという意味を持っています。オンタオの見送りや神様、亡くなった先祖の亡霊を迎えるために食べ物を供えます。
供える物は果物・お香・花・キンマセット(嗜好品)・塩・米・お茶・お酒・紙で作った服・おもちゃのお金・茹でた雄鶏・xôi (ソイ・おこわ)・バンチュン/バンテットなどをテーブルの上に置き、お香を炊いてお祈りをします。
引用元:http://www.sgtiepthi.vn/mua-cuoi-chuyen-trau-cau/
お香が燃え切ったら、紙の服とおもちゃのお金を燃やします。
5.旧年から新年になる時刻、主席が感謝の手紙を読む
旧年が終わり新年を迎えると、ベトナムの主席が感謝の手紙を読み、その様子はテレビでも放映されます。ベトナム民族が良い1年を過ごせるように願う祝辞です。
ベトナムのテト期間にすべきこと、すべきでないこと
旧暦の元日は、ベトナムで1番大切な日です。
テトには何をする?
テト元旦には、両親や子どもたちにお年玉をあげて、お祝いの言葉を伝えます。
早朝から家族のみんなで新しいきれいな服を着て、一緒にお寺やmiếu(文廟)に行ってお祈りします。その後は亡くなった人のお墓参りをします。
家に帰った後は、親戚や世話をしてくれた人達・先生方・近所の方・友達のお宅を訪問して、新年のお祝いをします。この訪問を通じて周囲との関係が良くなります。
テトの中で1番大切なことは、元日の初めての来客者が、新年の幸運に影響を与えると考えられていることです。この来客者は「Xông đất」(ソン・ダット)の人と言われています。このために、大晦日の晩に出かけた人は0時までに帰らなければいけません。もし0時を過ぎて帰ったら、自分の家の「Xông đất」になってしまうからです。
元旦の夕方になると、新年のための食事も用意します。先祖と神様を新年の食事会に招待するためです。これは普通の食事の形で、先祖の供物台と大晦日に外に置いたテーブルの上に供えます。
また、3日にも先祖を天国に送るために、もう一度食事セットを用意しないといけません。このセットは大晦日の晩のセットと大体同じです。
さらに詳しい行事については、こちらも参考にしてください。
テトにすべきでないこと
テト1日目にはゴミを出してはいけません。この日にゴミを出すのは、新年の幸運も一緒に捨ててしまうと考えられているからです。
また、ライターを他人にあげてはいけません。火は幸運のイメージがあるからです。物を壊したり喧嘩をしたり、ドアを閉めるのもNGです。
ベトナム人にとって、テトは1年で1番楽しいイベントです。テトの準備期間や大晦日はとてもワクワクします。
最近はテト中も家でゆっくりする人が多くなったため、昔より穏やかな雰囲気になりました。
ベトナム人にとってのテトと、日本人のお正月。何が似ていて何が違うのか、この機会に体験してみてはいかがでしょうか。
ベトナム勤務の求人をお探しの方へ
iconicJobでは、「ベトナムで働きたい」「グローバルに活躍したい」方のために転職支援サービスを提供しています。
興味をお持ちの方は、以下の申し込みフォームよりお気軽にご連絡ください。ご利用は全て無料です。